/ ,' 3 「皆さんが静かになるまで5分かかりました」のようです 最終話
- 501 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 02:53:44.43 ID:56idyF4a0
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〔最終話〕
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- 520 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:10:59.71 ID:56idyF4a0
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――トォン。
(;゚∀゚)(な、なんだありゃ......)
荒巻の殺気から逃れ、無事着地を果たしたジョルジュ。
だがしかし、そこに安堵の表情はなく。
全神経が、たった今目の前に現れた女性に向けられた。
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( ノ ) .,.,,....::;:;;.:;;;;;;;;;;;;;; ――― オ ォ ン......
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(;゚∀゚)(ヒートを軽く凌ぐ......あの殺気何者だ!?)
- 523 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:14:51.79 ID:56idyF4a0
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(;゚∀゚)(明らかに...人外...いや、それ以上!?)
荒巻と対峙しても揺蕩う事なく、立ち向かう彼女。
その姿に、ジョルジュはかつての“双龍”を思い浮かべ
同時に、荒巻と近いものを感じ取った。
/ V 3 ニイィ...
母者の殺気を受け、嗤う荒巻。
- 524 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:18:39.57 ID:56idyF4a0
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/ V 3 「凄まじい殺気......ほっほっほっ、身を刺されるようじゃな」
/ V 3 「のう、お主かわったの」
/ V 3 「あの時より、弱くなっとる」
荒巻は正確に見抜いていた。
あの時の無邪気で最強だった、母者とは違う。
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「......」
凄まじい殺気を放てる、ではなく
凄まじい殺気を放たなくては荒巻と対峙できなくなっている母者の弱さを。
- 528 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:24:01.91 ID:56idyF4a0
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@@@
@#_、_@
( ノメ) 「うるせェよ......」
傷が、疼く。
身ではない、心の疵。
/ V 3「ほっほっ...代わりにその肉を手に入れたか」
/ V 3「うまらんなぁ?母者そんなもので埋まらないモノを、失くしておる」
/ V 3「......で、何しにきたんじゃ?
凄まじい殺気を放ち、身を奮い立たせ強がらなければ、ワシと対峙もできんお主」
/ V 3「......ほほほ、そこの“ゴミ”二人の仇をとりにでもきたのかのぅ?
涙ぐましいなあ、母者、美しい母子愛じゃ、ほほほ......」
荒巻が指差す方には、瓦礫に埋もれ、
疵だらけになったかつての龍の姿。
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「......」
- 529 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:25:28.87 ID:56idyF4a0
-
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「......関係ねェよ」
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「そいつらは、そいつらで闘い、そいつらで死んだんだ」
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「あたしは、一切関係ない......ただ」
@@@
@#_、_@
( ノメ)っ
―――スゥ...
拳を突き出す、母者。
- 530 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:27:13.80 ID:56idyF4a0
-
@@@
@#_、_@
( ノメ)っ 「あの日なくした、大事なモンを返しにもらいにきた」
@@@
@#_、_@
( ノメ)っ 「それを埋めようと、身を鍛え、性格を変え
他の強者との戦いに明け暮れたが......お前の言うとおり、それじゃ埋まらなかった」
@@@
@#_、_@
( ノメ)っ 「だから、お前と直接対峙して、返してもらう」
@@@
@#_、_@
( ノメ)っ「“最強”をな――」
- 537 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:33:35.48 ID:56idyF4a0
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(;-_-)「な、なんなんだこの状況は......」
2階から、吹き抜けとなっている1階を眺めるヒッキー。
この場で、一番状況が飲み込めてない人間である。
(;-_-)(多数の死体、尋常でない程飛び散っている血肉
崩れ、抜けた床、激戦の跡、か――)
(;-_-)「こ、ここまで凄いものなのか......」
ヒッキーは無意識に、今まで自身が体験した死闘を思い出していた。
(;-_-)(教頭兼体育教師渋澤とのデスマッチ
狂気の調理教師カーチャン
彼らとの死闘も凄かった......が、この跡の前では霞む...)
つまり、眼前で繰り広げられているのは、己が体験した事のない領域。
(;-_-)「何度も限界を超えてきたつもりだけど......
此処でもまた限界とかち合うとはね......」
イヤな汗が背を伝う。拳を、強く握る。
- 540 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:37:37.39 ID:56idyF4a0
-
(-_-)「――なら、また越えてやるまで!!」
脳裏にクラスメイトがワタナベ先生が、そしてしぃが思い浮かぶ。
それが、自分に出来る唯一の事だから。
だからヒッキーっは足を踏み出した。
その先が、地獄であるのは、目に見えているにも関らず。
そして、ワカらぬ事ばかりだが、
ワカる事が一つだけ、ある。
(-_-)「荒巻校長と対峙するあの女の人......
素人のボクでもワカる、あの人は強い」
(-_-)「ぼくの持つ、“荒巻の弱点”を伝える事ができれば...」
いいながら、瓦礫に混ざり階下に身を投げ、すべり落ちる。
(-_-)「ウォオオオ!!!」
ヒッキー、自ら地獄へ降り立つその姿、それは、まさしく――
- 551 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:56:18.18 ID:56idyF4a0
-
(;゚∀゚)(会話から察するに……流石兄弟の親か!?)
目の前に立つ二人の余りの強大さに
眩暈を起こし、ぐにゃりと歪む景色を見ながら、ジョルジュは一人決意する。
(;゚∀゚)(血を失いすぎているし、目の前の二人が凄すぎて
正直目を開けるのもつれェ)
だが
( ゚∀゚)「見届けよう、歯ァ食いしばって、目ン玉ひん剥いて
ケツ抓りながらでも、この闘いはみとどけねぇといけねぇ」
己の内に生じた迷いを吹き消すように、呟く。
対峙する、魔人と闘神。
――ガラッ
ヒッキーが、 瓦礫に混ざり、駆け落ちてくる。
それを合図にしたか
闘神、閃光のように地を蹴り、荒巻へ向かっていった。
刹那、流れる大気が怒濤と化した
- 614 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 13:08:57.77 ID:56idyF4a0
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@@@
@#_、_@
( ノメ) ――― シ ュ ッ
吼える力を、足に溜める。一歩を踏み出す、糧とした。
ガラガラと。落ちくる瓦礫を物ともせず、
とてつもない、跳躍を見せる母者。
/ V 3 「!」
一呼吸で、荒巻の懐へ。
だが――
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「………!?」
(;゚∀゚)「あぶねェ!」
それを予想していたのか、
拳のない右腕を、ソコ目掛け振り上げている荒巻の姿。
/ V 3 「焦ったな、母者、怒りに身を任せるからじゃ丸ワカりじゃ」
/ V 3 「矢張り、弱くなっとる」
- 619 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 13:16:05.68 ID:56idyF4a0
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頭部。
移動直後の膠着の間を狙った。
荒巻の筋肉超躍動を用いた、一撃。
(;゚∀゚)(とてつもなく疾い!避けようがねえぞ!)
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「………」
母者、其れを見てすうっと風に乗るように、前に出てきた。
間合いに――
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「弱くなった、か……」
- 622 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 13:20:40.21 ID:56idyF4a0
-
@@@
@#_、_@
( ノメ) (どんな美酒でも決して味わう事の出来ない甘美さ―――
気を抜くとすぐに蕩けてしまいそうな妖艶さ―――
それを感じさせてくれる“闘争”
そんな魅力的な“闘争”を恐れるようになっちまったんだからよォ...そりゃ弱いわな...)
@@@
@#_、_@
( ノメ) (アンタの言うとおりだ……もうかつてのあたしじゃねェ
殺気を放たなければ、対峙もできねェ
己を強く見せ、相手を下に見ねぇと、会話すらままならねぇ
吼えねえと、なにもできねぇチキンだ)
@@@
@#_、_@
( ノメ) (でもよォ…こんな弱くなってばかりのあたしだが……
この30年で一個だけ、強くなった部分があるんだぜ?)
- 628 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 13:27:49.10 ID:56idyF4a0
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――家族――
彡⌒ミ
(;´_ゝ`) ( ´_ゝ`)b d(´<_` )
l从>∀<ノ!リ人 ∬´_ゝ`)
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@#_、_@
( ノメ)「お前に奪われ、すべてが弱くなった
あたしが唯一得た、かけがえの無いもんだ」
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@#_、_@
( ノメ)「こいつらの前では、強がらずにすんだ
こいつらの為なら、前以上の力もだせた――ヘッ、不思議なモンだぜ」
@@@
@#_、_@
( ノメ)「あたしは“家族”の前では、かつての“最強”でいられた」
「だが――」
- 636 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 13:35:44.92 ID:56idyF4a0
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( _ゝ ) ( <_ )
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@@@
@#_、_@
( ノメ) 「護れなかった、失っちまった」
/ V 3「ほほほ......ならどうする?
敵討でもするかのう?大事な大事な子供をヤラれたうらみでも晴らすか?」
言葉を交わしてる間にも、
母者の頭部に走る、突き。
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「そんなんじゃねェよ……唯、家族の前じゃねぇからよ…
“最強”でいなくて済む....それだけか」
/ V 3「ほほほ...言い訳か?ますますらしくないのォ矢張り弱くなったこれで散れェエエ!!」
- 639 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 13:41:16.46 ID:56idyF4a0
-
―空を切る荒巻の攻撃―
当らない。
右腕が空を、切った、
とォ――ん、 と母者に懐に入られていた。
/ V 3「!」
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「“最強”でいなくて済むという事
それはつまりこの胸に沸いている黒い感情に身を、心を、すべてを委ねるという事だ」
「気負いも、強がりも、なにもねェ………
もうどうでもいい......あたしの中にいる“ケモノ”に委ねるだけだ――」
バラバラ…と舞い散る瓦礫の中、
むせ返るような血と臓物の臭いのなか、陶然とした笑みが母者に張り付いた。
- 641 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 13:44:13.26 ID:56idyF4a0
-
刹那。
荒巻の顔面を射抜くものがあった。
/ V 3「ガァブ...!?」
叩きつけるものがあった。
ひしゃぐものがあった。
打ち貫くものがあった。
@@@
@#_、_@
( ノメ)「この意味がワカるか荒巻ィィ......?」
怪鳥のような声が、獣の喉を突き破り、ひしりあげた。
闘神が、天を舞っていた、天に躍っていた。
@@@
@#_、_@
( ノメ)「手段を選ばず貴様を殺すと言う事だッッ!!!」
(;゚∀゚)(最強―― 否 最凶―― ?)
- 645 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 13:49:47.24 ID:56idyF4a0
-
母者。
茫とした瞳で、ゆらゆらと揺らめいている。
母者の、連続蹴りを、まともに浴びた荒巻が、血を巻いて跳ね起きた。
その瞬間、荒巻は烈風のように走り出していた。
/ V 3「ナメるなよ......!」
鋭い呼気をほとばしらせ、荒巻が右の爪先をおもいきり上に跳ねあげる。
それを見て、跳んだ。
@@@
@#_、_@
( ノメ)
母者が、である。
―――ジュッ
荒巻の右の爪先は空を裂いた。
空気に焦げ臭い、擦過痕を残すような強烈な一撃だった。
- 652 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 13:57:45.54 ID:56idyF4a0
-
@@@
@#_、_@
( ノメ)(ナメる、ナメない、勝てる、勝てない……
そんなのは……どうだっていい…そう、どうだって……)
@@@
@#_、_@
( ノメ)(心から湧き出てくる......荒巻をつぶしたいこの欲求...
それだ......それに身を委ねるまでだ......
―――― ド ッ ゴ ォ ォ オ ン !!
空気が、破裂する音が響いた。
/ V 3「グガァアアア!!!」
荒巻。
焦げ痕を残して、
筋肉の超躍動を用いての、荒巻の突きが奔り抜ける。
正真正銘、全力を尽くし、創りだした拳の弾幕。
- 655 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 14:02:25.87 ID:56idyF4a0
-
―――ブンッ
/ V 3「!?」
だが、それも宙を切る事となる。
同時、母者の蹴りが、荒巻の爪先を踏み抜いていた。
ミシィ…と、筋肉で覆われた荒巻の足の甲が軋む。
苦悶に顔をしかめ、バランスを崩す荒巻。
そこへ―――
@@@
@#_、_@
( ノメ)「アァアアアアアアア!!!!!」
真下から突き上げるような、急角度の端脚。
―――― ド ゴ ッ ッ
次いで、炸裂。
巨木のような荒巻の首でさえ、支え切れぬほどの威力。
/ V 3「クッ......」
視線が激しく揺れ、荒巻の腰が大きく沈んだ。
かろうじて踏み堪えるが、度し難い隙が生じる。 母者の眼光が、猛禽のごとく唸った。
- 656 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 14:06:57.40 ID:56idyF4a0
- @@@
@#_、_@
( ノメ)「憤ッッ!!」
母者の裂帛が、崩壊しつつある戦場に響く。
時折、二人の間に崩れ落ち来る瓦礫が挟まるが、関係ない。
二人にとっては、埃と似たようなものだ。
裂帛と共に、固めた両拳が、荒巻へと走った。
完全な形となった突きが、激しく渦を巻きながら、放たれる。
/ V 3(体勢を崩された....避け得ぬ……ならば…“化頸”……!)
が
ド カ ァ ッ ッ ! ! !
/ V 3(―――!?うけながせn――)
@@@
@#_、_@ ソレ
( ノメ)「―――化頸を弟者に教えたのは、誰だとおもってやがる」
- 662 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 14:10:28.17 ID:56idyF4a0
-
―――ド カ ァ ッ ッ ! ! !
凄まじい残響音が、部屋を満たした。
天井からぱらぱらと砂塵がこぼれ落ち、静まりかえる。
焦げ臭い煙が晴れると、そこにあったのは。
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「―――胆ッッ!」
両拳を、突き出す母者と。
/ V 3「……ガッ・・!?」
腹に極大の一撃が突き刺さっている、荒巻の姿。
荒巻の腹が、兄者の腹のように、大きくえぐれていた。
次いで、溢れんばかりの血が、荒巻の口から、腹から流れ出る。
- 667 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 14:15:08.26 ID:56idyF4a0
-
(;゚∀゚)「す、すんげェ――」
その光景を目撃したジョルジュが息を呑む。
(;゚∀゚)「なんだアリャ...あの強さ、どっからくる?意地か?」
(;゚∀゚)「あのキチガイ染みた強さ、
あれなら、もしかして――――」
沸く、ジョルジュ。
しかし、放った母者本人の顔に浮かんでいる表情は、
勝利の確信などではなく――
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「……」
- 668 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 14:17:03.33 ID:56idyF4a0
-
/ V 3 「 ゴ フ ッ 」
ビシャッァと、荒巻が口から大量に血を吐いた。
/ V 3 「――素晴らしい」
魔人が、血と共に呟く。
/ V 3 「素晴らしい」
再度、呟く。
/ V 3「はは、ははははは......」
- 672 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 14:22:57.89 ID:56idyF4a0
- はははははははははははははははははははは
はははははははははははははは
ははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
ははは / V 3 ははははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははは
ははははははははははははははは
はははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははは
- 685 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 14:31:39.16 ID:56idyF4a0
-
/ V 3 「はははははははは!!!」
/ V 3 「楽しい…愉しい…楽しいなあ……」
/ V 3「うれしい くて、 たまらなくて、
心がはずんで、ウキウキするのう――」
/ V 3「今までも、何度か危機はあった、
だがしかし、それはワシが自ら視力を差し出したり、手加減したり――」
/ V 3「自ら、階下に降り立つ事で、起きた、いや、わしが意図して起した危機じゃった」
/ V 3「何故か」
/ V 3「誰も、ワシがいる領域にこれんからだ......
だからワシが、手心を加え、お前らのいる領域に降り立つ事で
初めて危機が生じておったのじゃ――」
/ V 3「じゃが、あれではダメだ、所詮養蚕もの
危機がきても、本気を少しだせば切り抜けれるとわかっておるから、
心のソコから震えることが出来ぬ」
- 687 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 14:36:38.45 ID:56idyF4a0
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━━━━━━━━━━━━━
( ゚ω゚)「‘ 星 砕 き ’」
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不意を狙い来たアレも
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从'ー'从「あれれぇええええ!!!」
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生徒を護るが為、ワシの前に立ったアレも
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(´<_`#)「―――――― 双 龍 砲 ッ ッ ! ! ! 」
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二つの力を合わせ龍と成ったアレも
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ノパ∀゚)「ひゃははははははは!!!」
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“武”の化身と化していたアレも
- 692 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 14:45:41.55 ID:56idyF4a0
-
/ V 3 「すべてが茶番―――
ワシが手心を加え、演出を施したからこそ、生まれた死闘、創り物」
/ V 3 「じゃが……“アレら”に比べ、お主は素晴らしい
力の根源は、わからぬが…兎も角、素晴らしい」
荒巻が、にっ、と太い唇で笑った。
笑みを零しながら、己に腹に刺さっている
母者の放った両手の指拳の内、小指2本を、優しく、握っていた。
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「―――ッ」
次の瞬間、母者、その両小指の感覚が消失していた。
そして音を、聴いた。
――ペキッ......ポキッ
乾いた小枝を折るような音が2つ。
小さいけれども、それは、はっきりと、その場に響いた、指の骨の折れる音だ。
/ V 3 「すまんなあ、これはワシなりの嬉しさの表現じゃ」
/ V 3「今日ワシは、初めて本気をだせそうでな……ほほ、嬉しくて、嬉しくて、つい――」
- 694 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 14:49:33.83 ID:56idyF4a0
-
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「―――本気を出せそうか......其れはよかったな...」
折れた指など、気にも留めず。
荒巻を払い、拳を握る。
そして、放つ。
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「 あ た し も だ 」
/ V 3 「ほう......」
空気が、グニャリと蜃気楼のように、揺れる。
(;゚∀゚)「ふ、二人ともあれで本気じゃなかったっていうのかよ......」
その時。
- 697 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 14:52:09.19 ID:56idyF4a0
-
―――ドスンッ
(;゚∀゚)(な……!)
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「……」
/ V 3 「............」
崩れ往く瓦礫と共に、丁度対峙する二人の間に降り立った男。
(;-_-)「イテテ...」
ヒッキー。
- 750 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 17:26:29.12 ID:56idyF4a0
-
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
現れたヒッキーなど眼中にないのか、
母者は居ぬものとして扱い荒巻に駆けた。
瞬間、薙ぐ拳。
荒巻に向かいし、8つの激撃。
見事な、攻撃であった。
“秘中”
“胸尖”
“章門”
“背梁”
“天倒”
“人中”
“牙顎”
“村雨”
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「――――“八闘”ッッ!!!」
- 753 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 17:27:53.02 ID:56idyF4a0
-
闘神が持つ奥義。
瞬時に8つの急所を的確にねらい、同時に突く絶技。
どこに当てられても、それが正確にHITすれば、瞬時に致命傷と化すだろう。
機械のように精確で、修羅のように荒々しい拳の弾幕。
生ぬるい手は、ひとつもない。
──しかし、対するこの男、魔人。
/ V 3「ふんッッ!!」
見えぬはずの目で、すべての打撃を追い
空気の動きから察す気配だけで、それらを正確に見極め
筋肉で覆われた大柄な体型からは
想像もつかぬ程の華麗な体捌きをもってして、ぎりぎりかわし切っているのだ。
- 755 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 17:32:35.17 ID:56idyF4a0
-
衝突する人外たちから、ヒッキーが逃れることが出来たのは
他でもない
(;-_-)⊂(;゚∀゚)「ハァハァ......」
咄嗟に駆け、ヒッキーの身体を掴み
激突は始まるかどうかの刹那、
その場から脱出する事を成功させたジョルジュのおかげである。
(;-_-)⊂(;゚∀゚)「お、おまえ...」
ミ
(;゚∀゚)っ(-_-;) 「なんのつもりだああああ」
壁に、ヒッキーを投げつけながら、咆哮。
(;゚∀゚)(あぶねぇおれまで巻き込まれるとこだったぜ…)
- 761 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 17:41:21.47 ID:56idyF4a0
-
(;゚∀゚)「アホかてめぇ!!いきなり降ってきやがって!
しかもよりによって、あの二人の間にだぁ!?
死にてえのかよアホ!むしろ殺すぞこら!」
ハァハァと、息を切らしながら、言うジョルジュ。
(-_-;)「い、いやだって!まさかあんな真ん中にいくだなんて――」
(-_-;)「って、言ってる場合じゃない!」
(-_-)「あれだけ、荒巻と接戦を繰り広げてる人だ
ボクの持っている弱点をしらせれば勝てる――はず!」
(-_-)「いかないと……!」
≡=-_-) 「疾ッ!」
ジョルジュを振り切り衝突する二人に近寄り行こうとする、ヒッキー。
- 764 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 17:45:27.38 ID:56idyF4a0
-
が。
≡=-_-)
≡=-_-) |ii||ii| シュッ
パシ
≡=-_-)⊂(゚∀゚;) 「だから」
<<
\( )/
(-_-)
∩ ムンズ
(゚∀゚;)
ミ
(-_-;=≡⊂(゚∀゚;) 「邪魔すんじゃねっての!!」
ジョルジュにつかまれ、再度壁際に投げつけられるヒッキー。
- 768 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 17:51:05.15 ID:56idyF4a0
-
(-_-;=≡
(-_-;=≡ ガツン
(;-_-)::,;∵ ゴ、ゴフゥ...
(゚∀゚;)「一体なんなんだよ、てめーは」
(;-_-)「じゃ、邪魔をするな...」
(゚∀゚;)「邪魔なのはてめーだろうが!
バケモノ二人の闘いに首突っ込んで、何がしてェんだよ!」
(;-_-)「......託すんだ...」
(゚∀゚;)「託す?」
- 773 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 17:57:50.34 ID:56idyF4a0
-
(;-_-)「そう……先生から...みんなから託された想い......
そして得た“荒巻の弱点”を……」
(;-_-)「僕じゃ……狙えないようなか細い弱点だけど
あそこで闘ってる女の人なら…使いこなせる荒巻を“死”においやれる」
(;-_-)「だから……だから…ッ!」
ヨタヨタと、壁から背を離し
再度激突する人外たちへと足を伸ばそうとするヒッキー。
(゚∀゚;)「弱点だァ?んなもん荒巻にあるはずが……」
(;-_-)「あ゛る゛ッッ!!!」
ビリビリビリ......
空気が気迫で、震える。
(゚∀゚;)「……」(ここまで、信じれるってことは……)
(‐∀‐;)(成程な、それがあのバケモノたちに立ち向かおうとする原動力かい)
(;-_-)「ワカってくれたみたいだね、なら――」
- 776 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:01:21.54 ID:56idyF4a0
-
(‐∀‐;)「成程、それが本当に荒巻に通じるのか、
それともお前がただ思い込んでるだけなのかワカらねぇが」
(゚∀゚ )「お前の中では、あるんだな、それが」
(;-_-)「ああ、そうさ、だから託さないと...」
(;-_-)「ワカってくれたみたいだね、なら――」
言葉と共に、歩みを再開させようとするヒッキー
が
⊂ スッ...
進行を、遮る手が現れる。
⊂(゚∀゚ )「だったら......尚更いかせられねェな」
ジョルジュの手。
- 781 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:07:04.40 ID:56idyF4a0
-
(;-_-)「ワカってくれたのなら、何故――」
⊂(゚∀゚ )「おめェのバケモノ2人を恐れず近づこうとする行動
さっき放った気迫、そしてお前のその目、
ワカる、お前も数々の死線を潜り抜け、限界を超え」
⊂(゚∀゚ )「受け継ぎ、決意し、此処に至ったんだろ?」
⊂(゚∀゚ )「そして出した決意、答えが“受け取った弱点”を闘える人に託す事」
⊂(゚∀゚ )「………そうなんだろ?」
(;-_-)「そこまで察してくれているのに、何故……」
⊂(゚∀゚ )「ワカる、ワカぜ、
でもよォ〜〜〜〜……それがどうした?」
(;-_-)「!!」
- 783 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:09:49.56 ID:56idyF4a0
-
(;-_-)「それは一体どういう意――」
⊂(゚∀゚ )「お前が体験してきた事、受け継いで来たモノ
そしてだした答えを、否定する訳じゃねェよ」
⊂(゚∀゚ )「でもなぁ、目の前の闘いに、お前の想いなんて、何一つ関係ねーんだ」
(;-_-)「そんな事ない!!これを伝えれれば勝てる――!」
⊂(‐∀‐ )「“勝てる”?それがどうした」
⊂(゚∀゚ )「よぉく見てみろよ、目の前の闘いをよ」
- 789 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:16:25.92 ID:56idyF4a0
-
「あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
―――ド ゴ ォ ン !!
ビリビリビリ......
(;-_-)「……やっぱり、凄い闘いだ...」
⊂(‐∀‐ )「規模の話じゃねぇよ」
⊂(゚∀゚ )「大事なモンを奪われ、息子たちを殺され、葛藤し
闘う事でしか、自分の気持ちに整理をつけることができずに」
⊂(゚∀゚ )「闇雲に、全力に闘っている武人であり、母であるあの人」
⊂(゚∀゚ )「ここまで惨劇を起し、自らを追い詰める程
武に固執し、ついに全力を出せる相手と合える事叶った魔人」
⊂(゚∀゚ )「本当の“最強”を決める、この闘い」
⊂(゚∀゚ )「お前が託されたものが、いかにデカくても、この闘いに入り込む余地があるか?その資格があるってのか?」
- 792 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:19:02.54 ID:56idyF4a0
-
⊂(゚∀゚ )「“弱点”」
⊂(゚∀゚ )「そんなものを、他者から受け取って、勝利したところで」
⊂(゚∀゚ )「母者の気持ちはどうなる?それで勝利したところで
失われた物は帰ってこない、息子たちの敵をとったとも言えない」
⊂(゚∀゚ )「いいか、もうただ“勝利”するって次元の話じゃねぇんだ」
⊂(゚∀゚ )「お前の受け継いだモノのデカさはわかった
だが、目の前の闘いにも、負けないほど色々つまってんだ」
⊂(゚∀゚ )「だから、おれは其れを踏まえて
お前に“邪魔をするな”と言ったんだ、この理屈、ワカるか?」
- 794 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:23:15.96 ID:56idyF4a0
-
(;-_-)「だったら……」
(;;_;)「ぼくは一体、ここまで何をしにきたというんだ!」
(;;_;)「受け継いだものを、無駄にしろっていうのか!?
闘える人に託すため、ここまできた、色んな物を犠牲にしてきた」
(;;_;)「ぼくは…ぼくは……!」
ポンッ
⊂(゚∀゚ )
遮っていたジョルジュの手が、ヒッキーの肩に、触れる。
⊂(゚∀゚ )「無駄には、させねェよ」
⊂(゚∀゚ )「母者には、もうなにかを背負う余裕はねーが“おれ”にはある」
⊂(゚∀゚ )「お前が受け継いで、出した答え、このおれが受け継いでやる…無駄にはしねェ…!」
- 797 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:28:06.12 ID:56idyF4a0
-
此処で、ジョルジュがヒッキーから
託される事を意思表示した理由は3つある。
一つ、目の前のヒッキーが出した答え
それは無駄にすべきではない、重き物だと察したから。
二つ、ヒッキーに、散って欲しくなかったからである。
今激突する二人のバケモノに接近すれば、間違いなくヒッキーは死ぬ。
そして三つ。
ジョルジュは、どこかで察していたからである。
⊂(‐∀‐ )(……)
母者が、荒巻に負け
近いうちに、また自分が闘う事になるであろう事を。
- 799 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:32:14.22 ID:56idyF4a0
-
@@@
@#_、_@
( ノメ)「オラァ!!!」
―――キシッ
四つ目の“八闘”を放ったときの事。
母者は、自身の両腕の筋肉の軋む音を、聞いた。
@@@
@#_、_@
( ノメ)(……チィ、そろそろ限界か――)
“八闘”究極があわさった連撃。
威力は絶大だが、その分使用者の筋肉を酷使し、削る。
いかに、母者と言えど、日に2回が限度であった。
だが
@@@
@#_、_@
( ノメ)「言ってる場合じゃねェよな……“八闘”!!」
本日5つ目の“八闘”を、放つ。
- 803 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:37:35.04 ID:56idyF4a0
-
が。
極限の状態で放たれた“八闘”
それを、又も、ギリギリで避ける、荒巻。
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「チイッ!!」
/ V 3
どこまでも、魔人――!
母者の顔に、今日始めて焦りが浮かんだ。
@@@
@#_、_@
( ノメ)(“八闘”がここまでつうじねェとは……)
“八闘”が通じぬという事は、闘神が通じぬという事と同意。
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「―――認めねェよ、そりゃ」
本日6つ目の“八闘”に入る。
- 806 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:44:26.22 ID:56idyF4a0
-
/ V 3「無駄じゃよ」
―――シュッ
@@@
@#_、_@
( ノメ)「!」
“八闘”の構えに入る瞬間、刹那の隙を狙われ
親指を、捕らわれる、母者。
/ V 3「つーかまえた」
先程小指を折ったように
このまま親指ヘシ折られるのか、と思われたその時。
@@@
@#_、_@
( ノメ)「つかまえただァ?」「それはこっちのセリフだッッ!!!」
――頭突きッッッ!!!――
- 808 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:45:47.46 ID:56idyF4a0
-
――頭突きッッッ!!!――
――頭突きッッッ!!!――
――頭突きッッッ!!!――
/ V 3「ガハッ...」
その隙を見計らったかのように、
母者が空いた頭で、渾身の頭突きが荒巻の顔面に炸裂。
あらゆる格闘技において手足につぐ人体第三の武器は頭である。
しかも、その破壊力は手足をも凌ぐ場合がある。
まともに顔面に喰らってしまい、鼻から夥しい血をほとばせる荒巻。
常人なら顔面ごと、背骨が陥没しかねない強力無比な一撃、
その太い首の筋肉で、なんとか踏みとどまる。
その踏みとどまった事で、更なる連撃をくらうのだが。
@@@
@#_、_@
( ノメ)「まだ、おわらねぇよ」
- 811 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:49:41.08 ID:56idyF4a0
-
――頭突きッッッ!!!――
――頭突きッッッ!!!――
――頭突きッッッ!!!―― 対する荒巻、空いたヒザを用いて
母者の腹へ、膝蹴りで反撃す――
――頭突きッッッ!!!――
――頭突きッッッ!!!――
――頭突きッッッ!!!―― ――膝蹴りッ!!―― ――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!―― ――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!――
零距離で、まともに鳩尾に、放たれる魔人の膝蹴り
――頭突きッッッ!!!―― ――膝蹴りッ!!――
しかし、闘神は崩れない、それどころか
――頭突きッッッ!!!――
痛みをバネに、頭突きの威力を上げ反撃してくる。
――頭突きッッッ!!!――
/ V 3「おもしろいのう...」
――頭突きッッッ!!!―― 魔人が、鼻先に頭突きをくらいながら、静かに笑みを見せた
――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!―― ――膝蹴りッ!!――
- 813 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:51:22.58 ID:56idyF4a0
-
――頭突きッッッ!!!――
――膝蹴りッ!!―― ――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!――
――膝蹴りッ!!―― ――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!――
――頭突きッッッ!!!――
――膝蹴りッ!!―― ――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!――
――頭突きッッッ!!!―― ――膝蹴りッ!!―― ――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!―― ――膝蹴りッ!!――
――膝蹴りッ!!―― ――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!――
――膝蹴りッ!!―― ――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!―― ――膝蹴りッ!!――
――膝蹴りッ!!―― ――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!――
――膝蹴りッ!!―― ――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!――
――膝蹴りッ!!―― ――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!――
――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!―― ――膝蹴りッ!!――
- 816 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:55:55.90 ID:56idyF4a0
- ――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!――
@@@
@#_、_@
( ノメ) 「オラァアアア!!!!」
―頭突きッッッ!!!――
――頭突きッッッ!!!――
――頭突きッッッ!!!――
/ V 3 「グォオオオ!!!」 ――頭突きッッッ!!!――
互いに足を止め。
致命になる程の一撃を ――膝蹴りッ!!――
相手の急所に、防御も考えず
――頭突きッッッ!!!――
打つ、ただ打つ。
――膝蹴りッ!!――
何にも邪魔はできない。 ――頭突きッッッ!!!――
極限の、意地の闘い。
降り来る瓦礫など、攻撃の余波を受けただけで
蒸発する、そのような、闘い。
――頭突きッッッ!!!―― ――膝蹴りッ!!――
互いの血しぶきが、肉片が空を舞う。
――膝蹴りッ!!――
――頭突きッッッ!!!――
とても、美しい光景であった。
――膝蹴りッ!!――
- 817 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 18:59:46.94 ID:56idyF4a0
-
/ V 3 「グォオオオ!!!」
――頭突きッッッ!!!――
魔人―――
対
@@@
@#_、_@ ――膝蹴りッ!!――
( ノメ) 「ウォォオオオオ!!!!」
――――闘神!!!
魔人 対 闘神!!!
人 対 闘神!!!魔人 対 闘神!!!魔人 対 闘神!!!人 対
魔人魔人魔人 闘神!!!魔人 対 闘神!!!魔人 対 闘神!!!
魔人 対 闘神!!!魔人 対 闘神!!!魔人 対 闘神!!!魔人 対 闘神!!!
魔人 対 闘神!!! 魔人 対 闘神!!!魔人 対 闘神!!!魔人 対 闘神!!!
人 対 闘神!!!魔人 対 闘神!!!魔人 対 闘神!!!
魔人 対 闘神!!!
人 対 闘神!!!魔人 対 闘神!!!魔人 対 闘神!!!
魔人 対 闘神!!魔人魔人魔人魔人魔人魔人魔人魔人魔人!
人 対 闘神!!!魔人 対 闘神!!!魔人闘神魔人闘神魔人闘神魔人闘神魔人闘神魔人闘神魔人魔人魔人魔人
魔人 魔人!魔人魔人魔人魔人
そして――
- 821 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 19:03:36.65 ID:56idyF4a0
-
意地と意地との闘いの結果。
骨が断ち切られて、ても尚、打ち。
肉体のひしゃげても尚、打ち。
関節が捻くれても尚、打ち。
血飛沫が宙を舞っても尚、打ち。
限界まで、死の間際まで、打った結果――
@@@
@# @
( ノメ) ―――ドシャッ......
荒巻の膝蹴りの連打により、
腹の肉がえぐれ、背骨を折られ、それでもまだ打たれた事で
上半身と下半身が、ねじ切られた状態となり。
母者は、ついに、倒れる事となった。
- 826 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 19:09:42.01 ID:56idyF4a0
-
/ V 3 「ハァハァ......」
頭突きを打たれ続けた
荒巻も、また限りなく消耗していた。
貌が崩れ、それは最早人の顔の形を保っていなかった
頭蓋が砕け、脳皮が軽く顔を見せているほどである。
膝蹴りを連発した、
左膝は完璧に壊れ、自分で意思で動かせそうにない。
だが、生きている。
だが、立っている。
/ V 3「見事……まことに見事じゃった――」
血を、口の端から垂らし。一礼。
“真の最強”が決まった瞬間である。
- 832 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 19:15:12.02 ID:56idyF4a0
-
/ V 3「“弱くなった”……」
/ V 3「先ほど放ったあの言葉、訂正しよう」
/ V 3「強くなっていた、あの時より、限りなく
わしの域に、立っておった、あの最期の打ち合いの時、お主は間違いなく」
/ V 3「素晴らしい...素晴らしい...」
/ V 3「――――で、君たちはなんなのかのう?」
/ V 3「蛇足は、嫌いなんじゃがな」
――ザッ......
“真の最強”となった荒巻の前に
二つの影が、現れる。
(;-_-)
ジョルジュと、ヒッキーである。
( ゚∀゚)
- 838 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 19:24:24.93 ID:56idyF4a0
-
━━━━━━━━━━━━━━━━━
480人を相手に闘い、皆殺しにした
━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━
( ゚ω゚) 許嫁を殺され、逆上した男を殺した
━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━
从'ー'从 生徒を護る為身を投げた教師を殺した
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 839 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 19:27:06.91 ID:56idyF4a0
-
━━━━━━━━━━━━━━━━━
(,,゚Д゚) 親友を護ったヤンキーを殺した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━
( ´_ゝ`)(´<_` ) 2頭を持つ龍を殺した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━
ノパ听) “闘”のみに生きがいを見出す少女を殺した
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 842 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 19:30:06.66 ID:56idyF4a0
-
━━━━━━━━━━━━━━━━━
(‘_L’) 自身を囮にする事で、事を成す男を殺した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━
@@@
@# @
( ノメ) 失ったもの以上を得た
闘神を殺した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 844 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 19:30:40.12 ID:56idyF4a0
-
殺した。
殺した。
殺した。 殺した。 殺した。
- 845 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 19:32:41.88 ID:56idyF4a0
-
殺して殺した、殺した。
殺す事でしか、
己を最強と
認めさせる事が、できなかったから。
だから、
幾重もの屍の上に立つ事で
荒巻は“最強”と成る事が、できたのだ。
- 860 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 19:41:40.78 ID:56idyF4a0
-
( ゚∀゚)「―――どこまでも、独りなんだよ、おめーはよ」
( ゚∀゚)「いいか、一人じゃなくて、独りだ」
/ V 3「独り……それがどうしたのじゃ?」
( ゚∀゚)「“それがどうした”
お前だから、言える言葉」
( ゚∀゚)「事実、お前は独りで、幾人もの猛者と闘い、葬ってきた」
( ゚∀゚)「弱点が、無かったからだ」
( ゚∀゚)「補うべき弱点が無い、だからお前は独りでも問題なかった」
( ゚∀゚)「其処が、唯一の弱点
“弱点が無い事が、弱点”―――」
/ V 3「……言ってる意味がようわからんが…」
- 866 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 19:51:25.19 ID:56idyF4a0
-
(-_-)「……ワタナベ先生と戦ってるアンタを見て
僕は、気付いたんだ」
(-_-)「あんたは、闘に飢えていた、最強を証明したかった」
(-_-)「強者を葬りさっていき、過程で
手首を、腕を、視力を、腹を、失い、傷つきながらも」
(-_-)「闘に対する飢え、気迫でそれをカバーし、闘い続けた」
( ゚∀゚)「それで、勝って来た」
( ゚∀゚)「問題なく」「でもよ」
( ゚∀゚)「“最強”と成り、闘いに満足してしまった
今のアンタには、一体何が残っている?
たった独りで、幾人もの屍の上で、自慢気に“最強”を掲げてよ」
/ V 3「……」
( ゚∀゚)「……何も、ねェよな」
( ゚∀゚)「決着だ」
- 871 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 19:57:20.40 ID:56idyF4a0
-
( ゚∀゚) 「……」
ジョルジュは振り上げた右拳を、
――ポスッ
( ゚∀゚)っ
荒巻にぶつけた、
呼応するように、荒巻の身が、崩れた。
荒巻は、母者に勝った瞬間、もう死んでいたのだ。
満足できる闘を欲し、“最強”を目指すが故
幾人に与えられたダメージ、それを証明するまで押さえ込んでいた気迫、
“最強”への執念が消え去ったからである。
( ゚∀゚)「……これは、勝ちなのか、負けなのか……」
荒巻にぶつけた拳を見ながら、ジョルジュは呟いた。
- 886 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 20:01:46.11 ID:56idyF4a0
-
( ゚∀゚)「結局、荒巻の願いが叶ったから、
あいつの勝ちか、いや――――」
ブーンが切り裂いた手首。
ワタナベが託した想い。
ジョルジュが執念でもぎ取った視力。
流石強大の連携と、覚悟で破裂させた左腕。
ショボンを喰い、
武の化身と化したヒートと対峙した消耗。
命を賭して、隙を作りだし
浴びせた2発の究撃。
現れた、失ったものを取り戻したもう一つ最強との闘い。
すべてが、合わさり、荒巻は倒れたのだ。
独りだった故に、すべての疵を荒巻は一人で背負ったのだ。
( ゚∀゚)「勝ち―― でいいのかよ、畜生。。。。」
- 889 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 20:04:32.35 ID:56idyF4a0
-
( ゚∀゚)「クソ―――」
悔恨の声が、
風にのり、溶けていった。
答えの出ぬ、自問自答。
外を見る。
もう暗かった。
何も残さなかった闘いが、静かに終りを告げた。
−終−
-
-
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