川 ゚ -゚)クーは馴れ合い作者否定派のようです
- 1 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 22:32:35.48 ID:gnvWcxH70
-
川 ゚ -゚)「ふう。今日もそこそこの短編が出来たな」
私の名は素直クール。
趣味は創作文芸で、最近はとある小説サイトに入り浸っている。
川 ゚ -゚) 素直クール PN クー
長編完結数 3
短編完結数 10以上
滞在暦 三年
得意ジャンル 恋愛
川 ゚ -゚)クーは馴れ合い作者否定派のようです
- 2 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 22:36:49.74 ID:gnvWcxH70
-
このサイトで活動するようになってから、三年の月日が流れた。
最初は新参者だった私も、今では立派な古参住人だ。
川 ゚ -゚)「ほぅ。ショボンさんの作品が更新されているな。
……ふむ。相変わらずの手腕だ。見事すぎる」
このサイトは、感想と共に得点をつける事が出来るシステムとなっており
同じ筆を武器とする創作者が、日々、切磋琢磨している。
その硬派な雰囲気が気に入って、ずっとここで活動しているのだが――
川 ゚ -゚)「む。170点だと? 随分、高得点だな。
作者はブーン……最近、よく掲示板で見かける名だな。
読んでみるとしよう」
( ^ω^)←超絶イケメンの俺とマジパネェ彼女の七日間
川 ゚ -゚)「読了」
川 ゚ -゚)「これはひどい……」
- 3 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 22:41:26.60 ID:gnvWcxH70
-
川;゚ -゚)「三点リーダー(これ→……)も使えてないし、文法おかしいし
会話文九割だし、そもそも中身がつまらん。なんでこれが高得点なんだ?」
不思議に思い、感想文を見てみると。
・ブーンさんこのあいだはぼくの作品に感想ありでした!!
さすがブーンさんの作品はかんどーしました!!40点です!!
・感想返しにきました〜>< やっぱブーンさんはすごいですね!
才能がちがうなぁ! 最高得点の50点、いれておきます!
川 ゚ -゚)「何だこれは……。こんな簡単に四十点五十点を与えるなんてありえない」
このサイトでは、普段は十点、二十点が主であり、
四十、五十点となると相当、魅力的な作品でなければ入らない、という見解が一般的であった。
それなのに、ブーンという作者の作品は、明らかに点数がおかしかった。
- 6 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 22:44:35.26 ID:gnvWcxH70
-
川;゚ -゚)「自作自演か? いや、IPは違うようだし……一体」
私はすぐさま、サイトに設置されているチャットに入った。
この時間ならば、同じく古参であり実力者のショボンがいるはずだ。
だが、ログを見て私は愕然とした。
川;゚ -゚)「な、なんだこれは」
ひろし:いやぁ、やっぱWiiは最高ですよ!
田中角栄:PS3はすごい。えらいひとにはわからんのですよ
――どうでもいい、雑談の山。
このチャットは、創作に関係ない話は禁止のはずなのに――
- 7 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 22:46:32.80 ID:gnvWcxH70
-
愕然とした。
おかしい。
ありえない。
最近はチャットに顔を出していなかったが
少なくとも一ヶ月前はこんな雑談をする輩などいなかたはずだ。
川;゚ -゚)「これは一体……」
誰もいなかったが、ログインしてショボンを待ってみる。
すると数分もしないうちにショボンがログインした。
(´・ω・`)「やあ。久しぶりだね」
川 ゚ -゚)「お久しぶりです。実は、話したい事がありまして」
(´・ω・`)「偶然だね。僕も君に相談したい事があったんだ。それは――」
- 11 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 22:50:33.19 ID:gnvWcxH70
-
ショボンの相談は、私が抱えていた疑問のそれと一致していた。
最近、入ってきた新参の住人の馴れ合いが酷いこと。
例を挙げれば、まず感想がないと掲示板で感想を依頼する。
本来、感想というものは、強要や催促するものではなく
それなりに実力があれば、感想がつく……
すなわち、感想数が作者の実力、ステータスとして見られてきた。
だが、
(´・ω・`)「最近入ってきた連中は、感想がないとすぐに投げ出すんだ。
十枚も書いてないのに投稿して、その直後に掲示板で催促する」
川 ゚ -゚)「とんでもないゆとりですね。
私だって最初は感想なんて一個ももらえなかったけど、
その悔しさをバネにして成長したっていうのに」
- 17 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 22:53:53.63 ID:gnvWcxH70
-
(´・ω・`)「そうだね。僕もその意見に同意だ。
このサイトは利用者の年齢が比較的高めだし、
そういった事は今の今までなかったんだがね……」
川 ゚ -゚)「しかし、そういった書き込みは無視されるでしょう。
合わなければ、このサイトから去っていくと思うのですが」
(´・ω・`)「このサイトのルールを覆すような、とんでもない奴が現れたんだ」
私には心当たりがあった。
川 ゚ -゚)「ブーンという作者ですか?」
(´・ω・`)「そうだ。
彼は自作品に感想を書いてくれた人に、感想を返してまわるとのたまったんだ」
川;゚ -゚)「バカな。そんな感想に何の意味があるというのだ。
同情票じゃあるまいし……感想の重みだって軽くなってしまう」
- 20 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 22:58:03.08 ID:gnvWcxH70
-
(´・ω・`)「おまけに、彼は自作品にマイナス得点を入れた人間を執拗に攻撃した。
一時期、それ関連で掲示板が荒れてしまってね」
川 ゚ -゚)「まるで子供だな」
(´・ω・`)「そう。子供なんだよ。恐らく、言葉遣いやチャットの話題からして中学生だろう。
ところが、だ。最近になって、このサイトの知名度があがったせいか
中高生の割合がだいぶ増えてきているんだ」
川 ゚ -゚)「似たような短編は前より多くなりましたね。あと、長編で中途停止が多くなった」
(´・ω・`)「まさに空気が入れ替わった、とでもいおうか。
チャットもこのありさま。掲示板も右に同じ。
この雰囲気に嫌気がさして、古参はどんどん離れていってるよ」
川 ゚ -゚)「通りで、最近は見たことの無い作者が多いと思いました」
- 22 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:01:17.14 ID:gnvWcxH70
-
(´・ω・`)「君はどう思う? この変化」
私は少し考えてから答えた。
川 ゚ -゚)「嫌ですね。このサイトの趣旨は、創作の腕を磨く事。
馴れ合いたいなら別のコミュニティに移ればいい」
(´・ω・`)「僕もこのサイトには愛着がある。昔からずっと投稿してるしね。
だからこそ、ここらへんで流れを打ち止めたいんだ」
川 ゚ -゚)「どうするつもりなんですか?」
(´・ω・`)「掲示板にトピックを立てる。
論議になれば、管理人のモナーさんが動いてくれるはずだ」
川 ゚ -゚)「わかりました。私も暇を見て意見を出します」
(´・ω・`)「うん。お願いね」
その日のチャットはここで終了した。
- 27 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:06:32.41 ID:gnvWcxH70
-
数日後。
ミスタードーナツのバイトを終えた私は、件のサイトの掲示板にアクセスした。
川 ゚ -゚)「む。凄まじい書き込み数だな」
トピック ・感想について
・Re 感想について
・それはおかしい
・Re
トピックの書き込みは要約するとこうだ。
まず、トピック主であるショボンさんは、感想返しは創作の為にならない、
故にやめるべきだと主張。
それに対し、二年前から住人として活動しているギコさんが同意の旨を書き込む。
だが、そこから現在、感想返しを主としている新参住人の反論が始まった。
彼ら曰く
・感想返しは、互いに作品を読んで貰える良い機能。
・感想があるとやる気があがる。自分も感想をかこうと思うようになる
・書き手ばかりが増えたらいやだ。だから感想返しは理想的な機能。
- 33 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:11:39.11 ID:gnvWcxH70
-
(´・ω・`)「しかし点数の誇張化や、感想を書かなければいけない、という義務化は
創作の自由を奪っているじゃないか」
(#><)「点数なんて個人の自由なんです!!ローカルルールにはかかれてないんです!!」
( ,,゚Д゚)「そりゃそうだけどよぉ。こんなインフレおこしたらどれが良作なのか
自分の作品の客観的な評価はどうなのか、わかんなくなっちまうぜ」
ξ゚听)ξ「感想返しの機能がなかったら、よい作品もうもれてしまいます。
それに点数は、本当に良いと思ったから40点や50点をいれてるのです」
匿名希望「高得点入れないと感想返しがこない時があるから高得点入れてる。
あとチャットで気まずくなっちゃうし……」
(´・ω・`)「上のような意見があるが、僕もそういう空気を感じたね」
( ><)「感想もらえないからってひがみですか?
というか創作者としてコミュニケーションも大切だと思います!!」
( ,,゚Д゚)「馴れ合いは違うだろ……」
ξ゚听)ξ「じゃあ基準を示してください。なんだか昔のルールを押し付けられてる気分です」
- 38 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:15:28.29 ID:gnvWcxH70
-
トピックは今までに無いくらい混沌としていた。
言い分としては、どちらも間違ってはいない。
川 ゚ -゚)「……ううむ」
・感想返しは、サイトを活発にして素晴らしい。埋もれている作品を発掘できる。
・感想返しは、馴れ合いに発展して客観的な評価が出来なくなる。閉鎖的なコミュニティになる。
この二点がいたちごっこを繰り返しているようだった。
後半は、新参組がヒートアップしたのか中傷や挑発を書き込んでおり、
匿名の書き込みも含めてかなりカオスな状態になっていた。
川 ゚ -゚)「私は感想返しなんて無い方が良いな。
そもそも、感想を貰う、という事に創作の目的が摩り替わっているじゃないか」
まぁ、感想を貰うと嬉しいのは事実ではあるが……。
そこがビミョウなところなのである。
- 43 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:18:08.14 ID:gnvWcxH70
-
――結局、事態は改善しないまま、サイトはどんどん馴れ合い色を増していった。
古参組の不満はたまったままであったが、古参は古参で固まるようになり
溝はさらに深まっていった。
そして事件は起こった。
( ^ω^)「はぁ〜〜〜い、ブーンですお〜〜〜!!
今日はラジオをやりたいと思いまぁぁぁす!!」
七月七日。七夕の日だった。
感想返しの創始者でもあり、新参組において絶大な人脈を持つブーンが
『ねとらじ』というツールで感想ラジオをやると言い出したのだ。
- 54 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:21:59.12 ID:gnvWcxH70
-
( ><)「キャー!!ブーンさぁぁぁん!!」
ξ゚听)ξ「イケメン声すぎますwwww」
趣旨は単純だ。ブーンがラジオで七夕作品の感想を言っていく、という単純なもの。
掲示板にトピックが立てられ、リスナーはそこで自分の作品の感想はまだかまだかと待ちわびる。
( ^ω^)「はいはい、ビロさんツンさんありがとぅーッスだお!
んじゃ、ラジオはじめるぜぇい?」
当然、拒否反応を起こしたのは古参組だった。
(´・ω・`)「ラジオだと? ありえない。ここは創作文芸サイトだろ」
( ,,゚Д゚)「声出すとかねーわ……」
川;゚ -゚)「……」
流石にこれは予想外だった。
そういうツールがあるのは知っていたが、まさかそれで感想ラジオをやるとは……。
正直なところ、私も同じように抵抗はあった。
しかし、前例は無いが――口頭で感想を言うのは悪い事ではない。
これはなじみがないだけで、良い変化なのではないだろうか。
そう思う私も、確かにいた。
- 65 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:25:11.75 ID:gnvWcxH70
-
ラジオは確かに面白かった。
ブーンは意外と真面目に読んでいるのか、的確な感想を出していたし
自分の作品も、なかなか良い感想を聞けたのでまんざらではなかった。
( ^ω^)「以上でぇぇぇっす!!ありがとうござっしたお〜〜!!」
( ><)「キャー!!」
ξ゚听)ξ「感想ありがとうございましたブーンさんww」
古参の反応も、ぼちぼちだった。
(´・ω・`)「まあ、悪くはなかったけど、ね」
( ,,゚Д゚)「一体どうなってしまんだゴラァ。今回は俺の作品にも感想くれたみたいだけどよ」
川 ゚ -゚)「……」
壮絶な拒否反応を起こすのは、ほんの数名に止まった。
なんだ。
意外とみんな、寛容なんだな。
私は不謹慎ながら、そう思った。
- 71 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:28:00.58 ID:gnvWcxH70
-
それからも、ブーンはイベントごとにラジオを行った。
ゴールデンウィーク、大晦日、etcetc
初めは嫌がっていた古参達も、いつしかブーンのラジオを楽しみにするようになっていた。
(´・ω・`)「ああいう感想の言い方もあるんだな。
リアルタイムなぶん、面白いかもしれない」
( ,,゚Д゚)「でもなぁ……なんか引っかかるんだよな」
(´・ω・`)「まあまあ。大目に見てあげようよ。新しい世代をさ」
川 ゚ -゚)
何様なんだ、こいつら。
今まで神格化していたショボンが、急につまらない人間に映った。
- 76 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:30:56.10 ID:gnvWcxH70
-
だが――ギコの「引っかかる」は確かに正しかった。
おかしくなったのは、スカイプというソフトを使って、
他作者がブーンのラジオに参加するようになってからであった。
( ><)「ツンちゃん熱海中なんですか? おいら箱根だから近いかもwww」
ξ゚听)ξ「うっそ! じゃあ○○ケーキ屋って知ってる?」
( ><)「うはwwww近所wwwww」
( ^ω^)「僕がホストなんすけど」
( ><)「あ、す、すみません」
( ^ω^)「僕のラジオで好き勝手しないでくれるかなぁ」クッチャクッチャ
- 85 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:34:19.52 ID:gnvWcxH70
-
(´・ω・`)「……なんだこれは。全然、感想やってないじゃないか」
古参はチャット。掲示板は新参と、いつの間にかすみわけされていた。
川 ゚ -゚)「何だかんだで聞いてたんですね、ショボンさん」
(´・ω・`)「参考になるかと思ってね。だけど、ほとんど雑談じゃないか。
子供のボイチャなんて聞きたくないよ。僕が聞きたいのは感想だよ、身のある感想」
( ,,゚Д゚)「スカイプ導入してから、あいつら随分リアルな話するようになったよな。
時々話題がわからん」
川 ゚ -゚)「ギコさんも何だかんだで聞いてるのか……」
ところで、作品投稿所はというと――。
相変わらず、インフレが激しかった。
特に、ブーンの作品は出すごとにアベレージ800点を超え、
その代わりに他の作品――特に感想返しをしない古参の作品は、埋もれていった。
- 93 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:37:34.04 ID:gnvWcxH70
-
気付けば、私達は追いやられていた。
かつての古参はどんどん数を減らし、新参組はいまやブーンを中心に
恐ろしい勢いで勢力を増していった。
新参組は、私の見たところ――(すみません、権力が一点に集中するのって何ていうんでしたっけ?)
中央集権化の独裁? だった。
( ^ω^)「おぅ、感想かきにきてやったぞ。そこそこおもろい、と」
(;><)「ぶ、ブーンさんちわっす!!!ありがてぇありがてぇ!!」
( ^ω^)「今度ラジオだしてやるお」
(;><)「ありがてぇ!!」
ブーンに逆らったものは、徹底的にハブかれる――。
出来の悪いいじめ漫画を見ているようだった。
- 107 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:40:50.72 ID:gnvWcxH70
-
(´・ω・`)「……流石に、もう黙ってみてられないな」
動いたのはショボンだった。
(´・ω・`)「ラジオはもはや子供の馴れ合い。しかもオフ会までやってどーのこーの。
おまけに悪口、誰と誰が付き合った、とか。どうでもいい情報ばかり。
もう創作とは全く関係ないじゃないか」
川 ゚ -゚)「私も同意ですね……。正直、今のこのサイトは居辛いです」
( ,,゚Д゚)「……」
(´・ω・`)「ギコ。また掲示板に僕がトピックを立てるから、君も意見を書いてくれ」
( ,,゚Д゚)「え? あ、ああ」
(´・ω・`)「頼んだよ」
八月二十一日。午後八時。
再び、新参組と古参組の議論が始まった。
- 112 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:43:40.89 ID:gnvWcxH70
-
(´・ω・`)「最近の雰囲気はひどい。やっぱ感想返しもラジオも規制すべき。
やるならなん実VIPでやれ」
( ^ω^)「あ? おーい、何かおっさんがまたほざきはじめたおー!
野郎ども、潰せ」
( ><)ξ゚听)ξ(その他新参) わーわー!
正直言って、古参組の勢力は風前の灯だった。
物量で言えば勝てるわけもないし、相手はほぼ中学生。
話し合いで解決できるとは思わなかった。
川 ゚ -゚)「正直、今の状況は良いとは思わない。
もう一度、このサイトの原点に戻りたい」
それでも、私は。
解決しないとわかっていても、口火を切り議論という名の戦場へ駆け出していった。
- 119 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:47:59.89 ID:gnvWcxH70
-
言葉を武器に戦う、古参VS新参の戦争は泥沼状態だった。
明らかに不利と思われた古参組だったが、
从 ゚∀从「正直、ブーンのやりかたは気にくわねぇ。俺はこっちに加勢する」
ζ(゚ー゚*ζ「私もです。ブーンに悪口言われました」
新参組のなかにも、ブーンを嫌う住人は何人もいた。
横暴な人柄が仇となったのだろう。愚かな男だ。
(´・ω・`)「管理人さん。ブーンをアクセス禁止にしてください」
( ^ω^)「はぁ? 頭おかしいんじゃないっすかお?」
(´・ω・`)「あ!!中傷はい中傷!!!アク禁!アク禁!」
我らがトップ(一番書き込みが多いので空気的に)ショボンと、
独裁者ブーンの高度な戦略戦が繰り広げられる掲示板。
その頃、私は――。
川 ゚ -゚)「もっと論理的に説明してほしい。メリットとデメリットをふまえて」
(#><)「てめー!!バカにしてるんですか!!!」
奮闘していた。
- 135 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:53:42.48 ID:gnvWcxH70
-
ところで、戦における幕引きの合図とはどういうものなのだろうか?
江戸時代の戦なら、大将の首をとれば終了。
現代の戦争ならば、完全侵略又は相手が降伏すれば終了。
では、ネットでの論争はどうだ?
答えは簡単だ。終わりなどない。全員が疲弊するまで戦うのだ。
唯一、あるとすればサイトにおける最大の権力者――管理人によるルール変更だろう。
(´・ω・`)「管理人、モナーさんはまだ動かないようだね」
川 ゚ -゚)「そうですね。彼にアクセスしたくとも、メールは返事が返ってこないし」
(´・ω・`)「……ふむ。やはりまだ僕らの説得が足りないようだね。
毎晩お疲れのところ悪いけど、油断せずにいこう」
裏切った新参を加え、勢力を増した古参組。
チャットを拠点として論議をしていたが――
- 138 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:54:48.05 ID:gnvWcxH70
-
( ,,゚Д゚)「すまん……」
(´・ω・`)「ギコ? どうした」
川 ゚ -゚)「ギコさん?」
昔から、硬派な作風と堅実でためになる批評で名を馳せていたギコ。
古参組でも、ショボンから絶大な信頼を受けていた男。
――ここにきて
( ,,゚Д゚)「俺は、ブーン側につく」
裏切り……ッ!
- 148 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:56:52.03 ID:gnvWcxH70
-
(´・ω・`)「なっ……冗談、だろう?」
川;゚ -゚)「ギコさん? どうしてですか!」
俄かには信じられなかった。
あそこまでブーンを毛嫌いし、いち早くねとらじの持つ危険性に気付いた男。
それが、何故。
ここで裏切るのか、私には全く理解できなかった。
( ,,゚Д゚)「俺、俺は!!!」
( ,,゚Д゚)「ツンちゃんとリアルで付き合ってるんだ……!
だから、彼女の味方につく……っ!」
川;゚ -゚)(;´・ω・`)「な……!」
衝撃の、告白――……ッ!
- 164 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/21(金) 23:59:33.88 ID:gnvWcxH70
-
(;´・ω・`)「バカな!!」
ショボンは信じられないのか、動揺してエンターを二回押してしまったのか
(;´・ω・`)「バカな!!」
二回、繰り返した。
( ,,゚Д゚)「本当の事だ」
川;゚ -゚)「え、でも、いつから……?」
( ,,゚Д゚)「この前、ラジオに出してもらって、その後オフ会で」
(;´・ω・`)「お、お前、オフ会に参加してたのか!!!」
古参組は基本的に、オンライン同士はオンラインだけの関係と割り切っている人が多かった。
故に、読めなかった。
まさかギコが。あの、硬派で時々親父ネタを交えてくる――ネタからして30代のギコが
14歳のツンと、リアルで交際しているなんて、
誰も、読むことが出来なかった……ッ!
- 181 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:02:33.18 ID:TQ09xUX30
-
ギコは最後に「すまない」と発言すると、チャットを出て行った。
(´・ω・`)「……」
川 ゚ -゚)「ギコさん……」
右腕を失ったショボンは、画面の向こう側で喪失しているように思えた。
愛するものの為に、旧友を裏切ったギコ。
それほど、リアルというのは重い。
オンラインなど所詮、電気信号でのつながり。
リアルには、逆上がりしても敵わない。
川 ゚ -゚)「ショボンさん」
私は声をかけようと――
J( 'ー`)し「クー、ご飯よ〜」
川;゚ -゚)「ちょ、今いいとこだから後にしてくれ!
仲間が裏切って大変なんだ!」
J( 'ー`)し「は?」
- 195 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:06:06.84 ID:TQ09xUX30
-
邪魔が入った。
確かに今、空腹だがそれどころではない。戦況がひっくり返ったのだ。
川;゚ -゚)「ショボンさん、気をしっかり」
(´・ω・`)「……僕は、何の為に……!」
(´・ω・`)「あいつは、このサイトを愛していたのではなかったのか?
一緒に成長しようと感想欄で誓ったのはなんだったんだ?
得点で競い、共に切磋琢磨してきた絆は、こんなにももろいものだったのか?」
川;゚ -゚)「ショボンさん……」
かける言葉が見つからなかった。
ショボンとギコは仲がよく、硬派なライバルとよく周りから言われていた。
チャットが静まり返る。
古参組の士気が、少しずつ落ちていくのが画面から感じ取れた。
どうする。
どうすればいい。
その時、私は中学時代の、バレーの顧問であるクックル先生の言葉を思い出していた。
- 203 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:10:30.77 ID:TQ09xUX30
-
川 ゚ -゚)「ショボンさん」
(´・ω・`)「……」
川 ゚ -゚)「掌からこぼれ落ちたものを見つめていても、何も変わりません」
それは、私達VIPバレー部が、まさかの地区予選で敗退した時の言葉。
川 ゚ -゚)「このまま、引き下がりますか? 泣き喚いて、負け塩を浴びて、
家にのこのこ帰りますか?」
(´・ω・`)「帰るもなにも今、家だよ……」
川 ゚ -゚)「あなたは!」
私のタイピングが、加速する。
川#゚ -゚)「変えるんでしょう!!今、このサイトを! 昔みたいな硬派なサイトに!!
だったら、立ち止まってる暇はないはずですよ!! 走れ、走れよ!! 走りながら、悩むんだ!!」
(´・ω・`)「……クー!」
それは、かつて自分が浴びせられた言葉。
部長として、ミスを連発し、退部届けを持っていった時に、言われた言葉。
- 216 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:16:46.86 ID:TQ09xUX30
-
川 ゚ -゚)「私は……最後まで戦いたい。
そして、例えサイトが変わらなくとも」
川 ゚ -゚)「後悔しないように、前のめりに倒れたい」
(´・ω・`)「ッ!!!」
僅かに、チャットの空気が動いた。
確かに私達の繋がりは、僅かな電気信号なのかもしれない。
それでも、大切な居場所であるここを、
故郷であるこのサイトを、好き勝手に荒らされるわけにはいかない。
(´・ω・`)「……はは。まさか、君から叱咤をうける日が来るとはな」
川 ゚ -゚)「私ももう、立派な大人の女です」
(´・ω・`)「違いない」
ショボンは、立ち上がった。
きっと、画面の向こうで立ち上がったのだ。私には、それがわかった。
- 220 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:18:08.03 ID:TQ09xUX30
-
(´・ω・`)「皆! 僕は愚かで、弱い人間かもしれない。
土壇場で逃げ出すかもしれない。それでも――このサイトを、愛しているんだ!
誰よりも!」
私の脳裏には、自国の旗を掲げているショボンが浮かんでいた。
きっと、チャットにいる全員が、同じ光景を見ているのだろう。
(´・ω・`)「そんな弱くて頼りない僕だけど、ついてきてくれる人は、
――僕についてきてくる人は、挙手を!!」
沈黙が辺りを包み込む。
チャットのログは動かない。
駄目かと思った、
その時だった。
ノ
- 227 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:19:50.90 ID:TQ09xUX30
-
从 ゚∀从ノ
ζ(゚ー゚*ζノ
川 ゚ -゚)ノ
ノ
ノ
ノ
ノ
ノ
ノシ
ノ
- 232 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:23:01.53 ID:TQ09xUX30
-
(´・ω・`)「皆……!」
チャットを埋め尽くすほどの挙手。
いまだかつて、これほど一致団結したことが果たしてあっただろうか。
古参派は、新参派のように表立って馴れ合うことはなかった。
けれど。
これまで彼らが紡いできた作品。
そして、同じ土俵で、もがき苦しみ創作をしてきたという、暗黙の仲間意識。
その絆は
(´;ω;`)「ありがとうっ……!」
上辺だけの馴れ合いよりも
百倍強いッ……!
- 240 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:26:36.85 ID:TQ09xUX30
-
そして――再び戦争が始まった。
(´・ω・`)「管理人さんへ。僕らはこのサイトに、新たなルールを加える案を提示します」
( ^ω^)「ククク、自治気取りですかお。悪いが数はこちらが上。
民主主義の日本において、多数決は基本ですお?」
川 ゚ -゚)「確かに数ではそちらのが上だが――」
川 ゚ -゚)「魂ならば、こちらのが相当上だ、お山の大将さんよ」
毎晩繰り広げられる、論争。
それは掲示板のみに止まらず、作品の感想欄にも及んだ。
(#><)「なんだこの作品、砂でもまじってんじゃねーっすか!?
ぺっぺ、ぺーーー!!マイナス五十点!!」
- 254 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:30:58.80 ID:TQ09xUX30
-
(#^ω^)「おらおら、古参どもの作品をあらせやぁぁぁ!!」
マイナス得点が次々と投下される。
赤く染まる投稿所。
だが、それでも古参組は、作品にだけは攻撃をしなかった。
それは、創作者としての誇り。
例え場が荒れていようとも、物書きである以上、作品を書かなければ
物書きとはいえず、それはこのサイトの住民ではないということになる。
川 ゚ -゚)「短編書いてきました」
(´・ω・`)「うん。皆、マイナス点にめげずにやろう。
大切なのは点数じゃない。その作品で、読者に何を伝えたいかだ」
「「はい!!」」
新参組は作品を投下せず、変わらずラジオや荒らし、掲示板での論争に精を出しているようであった。
地道とも思える決死の戦い。
だが、私達は止まらなかった。
何故、私達は物書きをするのか。
それは、伝えたいものがあるからだ。
決して、誰かと馴れ合うためじゃない。
- 259 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:33:31.32 ID:TQ09xUX30
-
( ,,゚Д゚)「……」
ξ゚听)ξ「うわー、また古参組が作品書いてるww
ねぇ、ギッコ〜。ギッコもマイナス入れるの手伝ってよ〜」
( ,,゚Д゚)「……お、俺は」
( ,,゚Д゚)(俺は何をしているんだ?)
( ,,゚Д゚)(作品も書かず、毎日毎日、不毛なマイナス点を入れて。
ツンとデートして、キスして、エロいことして……)
( ,,゚Д゚)(これで、いいのか?
俺は大切な何かを、あそこに忘れてるんじゃないか?)
ξ゚听)ξ「ねぇ〜ギッコ。やってよ〜」
( ,,゚Д゚)「……(この作品は)」
( ,,゚Д゚)
ξ゚听)ξ「ねえ、いつまで読んでるのよ〜。
内容なんていいからマイナス点いれてよ〜」
- 265 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:35:03.08 ID:TQ09xUX30
-
( ,,゚Д゚)「なんてこった……」
ξ゚听)ξ「どうしたのぉ?」
( ,,゚Д゚)(こんな、素晴らしい作品がまだ残っていたのか。
まるでジェットコースターのようなスリリングな展開。
魅力的な登場人物に、脅威のどんでん返し……)
( ,,゚Д゚)「一体、誰が……!」
( ,,゚Д゚)「!!!!!」
( ,,゚Д゚)「ショ」
「ショボンッ……!!」
- 270 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:38:25.69 ID:TQ09xUX30
-
( ,,゚Д゚)「ツン、すまねぇ」
ξ゚听)ξ「ギッコ?」
( ,,゚Д゚)「別れよう」
ξ゚听)ξ「え……?」
( ,,゚Д゚)「俺は大切なものを忘れていたよ。
人の顔色見てびくびくして、いつしか感想も内容を見ないで書くようになって。
――違うんだ。
本当にすごい作品っていうのは、思わず感想を書きたくなるような作品なんだ」
ξ゚听)ξ「何、言ってるの?」
( ,,゚Д゚)「すまねぇ。俺はマイナス点はいれられねぇ。
お前の穴にも入れられねぇ」
ξ゚听)ξ「じゃ、じゃあ何を入れる気なのよ!!」
( ,,゚Д゚)「決まってんだろ?」
( ,,゚Д゚)「五十点だよ!!!!」
バタン!!!
- 285 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:42:32.53 ID:TQ09xUX30
- (´・ω・`)「ふふ、馬鹿野郎が」
川 ゚ -゚)「どうしたんですか? ショボンさん」
作品投稿を終えて、チャットに戻るとショボンが嬉しそうにしていた。
(´・ω・`)「見てみろ、これ。
マイナス点と罵詈雑言の中、浮きまくってるぞ」
川 ゚ -゚)「あ……!」
そこには、キチンとした感想が。
ホンモノの感想が。
物語にのめりこみ、感動し、心震えたものにしか書けない
五十点の、感想があった。
そして、締めくくりには、一言。
ごめんよ、ショボン。そう書かれていた。
川 ゚ -゚)「ギコさん……ッ」
(´・ω・`)「ふ、さっそく作品を投稿してやがるよ。
あいつも、思い出したんだろうな。
物書きのさがってやつを」
ショボンは、きっと笑いながら、チャットに文字を打ち込んだ。
(´・ω・`)「僕たちは止められない。
伝えたいものがある限り、物語を紡ぎ続けるのさ」
- 287 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:44:07.03 ID:TQ09xUX30
-
(#^ω^)「クソ!!なんなんだお!!どんどん勢力が減ってるお!!」
(;><)「ぶ、ブーンさん!やばいです!!
何か、マイナス投下みんな飽きちゃったみたいなんです!」
(#^ω^)「なんだと!? どこいきやがったあいつら!!」
(;><)「それが、その、モバゲーにはまってるみたいっす!!」
(#^ω^)「クソがぁぁぁぁ!!あれほど世話してやった恩義を忘れやがって!!!」
- 299 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:49:01.53 ID:TQ09xUX30
- (#^ω^)「おい、お前らいい加減にしろお!!
お前らのせいで、僕の繋がりメチャクチャだお!!」
ブーンがチャットにやってきたのは、大戦開始から一週間後。
マイナス荒らしも落ち着いた頃合だった。
川 ゚ -゚)「……とうとうお出ましか」
(#^ω^)「何なんだお!何で管理人はこいつらアク禁にしねーんだお!!
あいつらも、何で急にモバゲーにいってんだお!!!ふざけんなお!!」
(´・ω・`)「何でもかんでも他人のせいか。自分の胸に聞いてご覧?」
(#^ω^)「なんだと……!」
ショボンは語りかける。
チャットのROMは50人を超えていた。
(´・ω・`)「君は、どうしてこのサイトにきたんだい?」
( ^ω^)「そ、それは、め、目立てると思ったからだお。
最初の作品もけっこううけたし!!!」
ブーンの、最初の作品。
硬派な投稿所には似つかわしくない、ギャグ作品だった。
メチャクチャで、荒っぽくて、しかしそれでも、感想を書いてくれた人はいた。
発想が面白い、と。
(#^ω^)「だから、僕はこのサイトが好きになって、それで、ラジオとかやったり
頑張ってきたのに……!」
- 303 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:51:53.23 ID:TQ09xUX30
-
川 ゚ -゚)「ブーン……」
(´・ω・`)「そうか。このサイトが、好きなのか」
チャット全体が、静寂に包まれた。
なんということだろうか。
ずっと、ブーンは悪者だと思っていた。
誰もが、いつの間にか荒らしとして認識していた。
どうして、忘れていた?
彼がラジオをやったとき、真面目に感想をいっていたことに。
感想返しも、サイトの活発化のためだと言っていたことに。そうだ、彼は
川 ゚ -゚)「私達は――根本では、一緒だったんだな」
このサイトが、好きなんだ。
- 308 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:54:27.81 ID:TQ09xUX30
-
( ;ω;)「……」
誰もが黙り込んでしまった。
不意に、何もかもがむなしくガラガラと崩れ落ちていく。
(´・ω・`)「僕たちは、どこですれ違ってしまったのかな」
きっと、私達はただやり方が違っていただけで
川 ゚ -゚)「……」
些細な事が火種になって
今日まで戦ってきたのだ。
想いは、同じなのに。
私が今、言うべき事は一つあった。
川 ゚ -゚)「面白かったぞ」
( ^ω^)「……え?」
川 ゚ -゚)「君の小説……」
川 ゚ -゚)「発想は、面白かったぞ」
- 316 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 00:58:24.70 ID:TQ09xUX30
-
( ;ω;)「――――ッ!!」
ブーンの泣き声が、画面の向こう側から聞こえたような気がした。
誰も彼も、新参も古参も、ブーンを見つめていた。
ROMという形で、見つめていた。
( ;ω;)「僕は、僕は……!」
(´・ω・`)「やりなおそう、ブーン。
このサイトを、一から考えていこう」
( ;ω;)「ショボンさん……で、でも、僕は」
川 ゚ -゚)「『後悔はするな。後ろには何もない』
――私の恩師の言葉だ」
罪は残るかもしれない。また、問題が起こるかもしれない。それでも、
川 ゚ -゚)「同じ想いがあるのなら、私達はきっと手を取り合って、前に進めるさ」
( ;ω;)「ア、合うあぁうあkふぃあぁぁじfぁいあ!!!!」
遠くから、サイレンの音が聞こえた。
それはまるで、この長い戦いに終止符を打つかのようであった……。
- 321 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 01:01:22.35 ID:TQ09xUX30
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――エピローグ――
あれから二ヶ月がたった。
川 ゚ -゚)「ふう……今日の新作は何があるかな?」
私は学校を中退した。
本気で作家を目指す為だ。
母さんには泣かれたが、夢は親を泣かすものだ、というショボンの言葉に後を押され
とうとう今日、作家として一からはじめることになった。
(´・ω・`)「これで君も作家志望だね」
川 ゚ -゚)「はい。ところでショボンさんは、プロなんですか?」
(´・ω・`)「ははは。そんなわけないでしょ。僕はね」
ショボンさんの答えは。
(´・ω・`)「ニートだよ」
私は思わず笑ってしまった。
- 334 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 01:03:39.00 ID:TQ09xUX30
-
ブーンはあれから黙々と作品を投稿し続けている。
彼はまだ学校に通っているようだ。
ギコさんは、ツンとは結局よりを戻したらしい。
今はケータイ小説を出版し、一躍時の人になっていると聞いた。
川 ゚ -゚)「みんな、今日も頑張っているんだな」
ふと、疑問が残った。
川 ゚ -゚)「そういえば、管理人さんって会った事ないな」
チャットを覗いてみる。
平日の昼間なので、誰もいないと思っていたが
川 ゚ -゚)「管理人……?」
一人だけ、いた。
私は反射的にログインしていた。
- 338 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 01:06:14.20 ID:TQ09xUX30
-
( ´∀`)「こんにちは」
川 ゚ -゚)「こんにちは」
物腰の柔らかそうな挨拶だった。
私くらいになると、挨拶だけでその人がどんな人物かわかる。
川 ゚ -゚)「初めまして、ですね。この間は色々ご迷惑をおかけしました」
( ´∀`)「とんでもない。あの騒動が噂になって、おかげで色々な方が訪れていますよ」
川 ゚ -゚)「あの、管理人さん」
( ´∀`)「はい」
私はずっと気になっていた事を聞いた。
川 ゚ -゚)「感想返し、有りと無し。管理人さんはどっちが良いとおもっていたのですか?」
( ´∀`)「……」
沈黙がおりた。
思えば、あの大騒動の時に管理人さんは一度も動かなかった。
サイトの創始者は、何を想い、何を感じたのか。
聞きたかった。
- 342 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 01:08:22.32 ID:TQ09xUX30
-
( ´∀`)「私はですね」
川 ゚ -゚)「……」
管理人であるモナーは、言った。
( ´∀`)「どちらでもありませんでしたよ」
川 ゚ -゚)「それは……どういう?」
( ´∀`)「人はそれぞれ違う価値観を持っています。
だから、ぶつかり合うのは当然のことです。
要するに、どっちも正しいと私は思っていました」
川 ゚ -゚)「……人それぞれ、ですか」
なるほど、そういう考え方もありだ。
私は、今までの事を思い出しながら、これを作品に出来ないかと思案し――
( ´∀`)「実はですね」
川 ゚ -゚)「はい?」
( ´∀`)「アフェリエイトというものがありまして」
- 348 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 01:09:31.34 ID:TQ09xUX30
-
川 ゚ -゚)「アフィ……ネット広告のことですか?」
( ´∀`)「はい。あれがいい稼ぎになりまして」
( ´∀`)「この間の騒動で、うちもだいぶ稼がしてもらいました」
川 ゚ -゚)「え?」
( ´∀`)「あ、私、自営業やってるんですけどね。
サイト管理は副業です。だけど、こんな楽に儲かるなら
本業にしちゃおうかな笑」
川 ゚ -゚)「え?」
- 359 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 01:11:02.13 ID:TQ09xUX30
-
川 ゚ -゚)「物書きを愛する心とか」
( ´∀`)「ないですよwただ、世の中にはなんちゃって物書きが多いですから」
( ´∀`)「ちょいとCGIを置いてやれば、アクセスがわんさかわんさか。
いやあ、ラノベブームだかなんだか知りませんが、アフィ収入美味しいです」
川 ゚ -゚)「……」
( ´∀`)「あ、そうそう。クーさん」
川 ゚ -゚)「はい」
( ´∀`)「あなたの作品つまんなかったです」
- 377 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 01:13:46.01 ID:TQ09xUX30
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川 ゚ -゚)「……」
( ´∀`)「才能ないと思うんで、アマチュアでがんばったほうがいいと思いますよ。じゃ」
モナーはログアウトした。
残された私に残ったのは、空虚な気持ちと後悔の念だけだった。
川 - )「……走れ、走れ〜。後ろには何もない〜」
私はパソコンの電源を落として、物置に封印した。
そのまま、玄関へ行き靴を履き本屋へと向かう。
大検を受けよう。そしてもう二度と、私のような人間が出ないように
このことを作品にしよう。そしてそれが私の最後の作品だ。
タイトルは―――
川 ゚ -゚)クーは馴れ合い作者否定派のようです
終わり
- 396 名前: ◆KbC2zbEtic :2009/08/22(土) 01:16:38.06 ID:TQ09xUX30
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この作品は
三国志の提供でお送りいたしました。
川 ゚ -゚)ノ
※この物語はフィクションです。
実在の人物、団体名、サイトなどは一切架空のものです。
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