/ ,' 3 「皆さんが静かになるまで5分かかりました」のようです 朝礼
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 15:03:05.22 ID:w5BJPJOc0
「皆さんが静かになるまで5分かかりました」
血と脳漿で彩られた運動場の真ん中
幾重にも重なる‘元・生徒’屍の中、荒巻校長は一人呟いた。
/ ,' 3 「いや、5分もかかった、かのう」
拳に着いた血をペロリと舐め、呟く。
とある朝の全校集会での事であった。
朝礼を開始しても、ペチャクチャ煩いクソゆとりども。
クソゆとりどもの相手は慣れていたと思っていたのだが
どうにもガマンできなかったらしい、気がついたら一人残らず拳で黙らせていた。
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 15:08:50.44 ID:w5BJPJOc0
/ ,' 3 「しかし、クソゆとりが相手と言えど5分で500人殺しか…
ほっほっほっ、なかなかどうしてワシもまだまだ捨てたもんじゃないのう」
自画自賛。
遠い昔‘剛拳の荒巻’と呼ばれていたが、それも最早今は昔。
格闘家として一線を退き、教員と成り早40年。
強さを捨て、代わりに仕事に打ち込むことで、
小さな小学校でああるが、とうとう校長まで成ることができた。
教育委員会から、声もかけてもらっている。
まだまだ先はある、自己の出世を喜びながらも、
格闘家としての力、性分が失われていく様をみるのは、辛かった。
そんな時である。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 15:12:56.34 ID:w5BJPJOc0
/ ,' 3 「これで出世はストップかのう…」
足元にある元生徒の内臓を足で捏ね繰りながら呟く。
死んだ魚のような目の女の子が生気の無い目をこちらをこちらに向ける。
/ ,' 3 「ほっほっほっ、さすがに全殺しはまずかったかのう」
/ ,' 3 「でも、しょうがないじゃろ?」
/ ,' 3 「お前達、うざかったんだから…ほほ
ふふふ…ゆとりはしねばええんじゃああああ!!!」
両手を挙げ、生徒達の血の匂いと勝利に酔い
叫び声をあげたときであった。
――――シュ
/ ,' 3 「え゛」
己の右手首の先が、飛んでいるのに気付いたのは。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 15:19:39.83 ID:w5BJPJOc0
一線。
迷いの無い、真っ直ぐで気持ちの篭ったいい太刀筋だ。
己の手首が紅の飛沫を飛ばしながら
弧を描き、飛んでいく様を目で追いながら、荒巻は思った。
/ ,' 3 「ほほほ…死体に紛れて気配を絶ち、わしが油断をするのを待っておったか」
宙を舞う右手首を左手で受け取り、
ハンカチで包みながら荒巻は自分に切りかかった者に呟く。
/ ,' 3 「すっかり全員死んだものだと思って油断しておったこれも一線を退いておった弊害かのう…ほっほっ
いや、そう緊張するでないぞ?わしは怒りより驚き、そして褒めたい気持ちでいっぱいじゃ」
/ ,' 3 「死を装い、死体に紛れ機を狙うセンス、そして何より本気で相手を殺しにかかるあの気概
あの一太刀は中々だせるものじゃないからのう、並みの使い手なら、剣に戸惑いが映ったはずじゃ」
/ ,' 3 「のう?5年生剣道部内藤くん?」
( ^ω^)「……」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 15:25:52.04 ID:w5BJPJOc0
( ^ω^)「……」
対峙する内藤は、荒巻の会話には応えず
無言の内に、剣先についた血糊を制服でふき取り、新たに構えに入る。
/ ,' 3 「ほっほっほっ…シカトか、老人は相手にしたくないのかの?悲しいのう悲しいのう」
( ^ω^)「……」
空の構え。
五年生、10歳ながら名家内藤の跡取り内藤ホライゾンは、
気を剣に移しこむ極意を父から教わっていた。
気とは生、故に強。
/ ,' 3 「流石我が校随一の剣の使い手じゃ……ほっほっ、しかし何をそれほど怒ってるのじゃ?」
/ ,' 3 「集会中ぶちきれたわしに殴られたから?それとも」
/ ,' 3 「この、わしの足のしたにある小娘が関係あるのかのう?」
( ゚ω゚)
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 15:32:17.34 ID:w5BJPJOc0
/ ,' 3 「これか?これのことかのう?」
グチャッグチャ
ξ。A。ξ
荒巻は足踏みをしながらブーンを問い詰める。
荒巻の足の下に居たのは、かつてブーンの許婚そして幼馴染であったツンの姿。
肉はそがれ、ありえぬ方向に手足は曲がり、白い骨が顔を見せ、赤黒い血が沸きで、彩り。
もはや、かつての面影は無きにしとしかったが、それでもそれは確かにツンであった
( ゚ω゚)「……」
( ゚ω゚)「うぁああああああああああああああああ!!!」
感情が、爆発する。
いつも彼女とはいっしょだった、学校でも家でも、稽古でも。
はじめは家が剣の名家同士ということで仲良くなったのだが
付き合いが長くなるたび、そんなことはどうでもよくなっていた。
彼女の笑顔が、仕草が、性格が
彼女自身に惹かれていたのだ。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 15:37:24.71 ID:w5BJPJOc0
/ ,' 3 「ほっほっほっ、図星かのう?」
ニイィ...
ブーンの反応を見、荒巻校長が歪んだ笑みを投げかける。
/ ,' 3 「わしはのう、むかーしから古武術をやっておったのう
人体を壊す理を習い続けていたにも関らず、師であるミルナから人体壊す事が禁じられてきたのじゃ」
/ ,' 3 「おかしいじゃろ?人体の壊し方をおしえておる道場がそんな事を言うなんて?」
/ ,' 3 「心身を鍛える為、だなんて尤もぶった建前をならべおって…ワシはずっと疑問に思っておったんじゃ」
/ ,' 3 「しかし、教職につき、周りの目を気にし、わしの業を試す機会はずうっと無かった」
/ ,' 3 「しかし」
ニイィ...
再度、笑顔。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 15:42:22.82 ID:w5BJPJOc0
/ ,' 3 「そんな願いが今日ついに叶うことになった」
/ ,' 3 「ぶち切れるわし!殴られる生徒!飛ぶ血飛沫!豆腐のように崩れる人体!」
/ ,' 3 「特にこの…ツンじゃったか?このボロ雑巾は最高じゃった」
/ ,' 3 「まずこの柔い肉に脆い骨」
/ ,' 3 「最高級の大トロを口の中で転がすように、ワシの拳にあたったこいつの体は」
/ ,' 3 「トローリトロリとろけていった......成人した男じゃこうはいかん」
/ ,' 3 「そして、なにより反応じゃ」
/ ,' 3 「ずーっとこやつブーンブーン!と助けを呼ぶ声をだしおる」
/ ,' 3 「たまらんかった…極上、まさに極上じゃったほっほっ、ほほほっほ…!」
( ゚ω゚)
/ ,' 3 「ほ?憎いか?憎いのであればほれ」
言葉と共に、左手を差し出す荒巻
/ ,' 3 「こっちも切っていいんじゃよ?できればの話じゃがのう」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 15:50:12.66 ID:w5BJPJOc0
( ゚ω゚)「うわああああああああ!!!」
空の構えから繰り出される内藤流奥義‘星砕き’
その異名
―――――最強、最速。
刹那、足場が崩壊するが遅いか、内藤が跳躍した。
右腕で、雷光がたばしったかと思うほどの凄絶な抜刀。
背負った日本刀が、義侠の雷鳴となって降り注ぐ
( ゚ω゚)「‘ 星 砕 き ’」
/ ,' 3
瞬殺無音とは、この事か。
あの荒巻が、一瞬にして、その左腕を肩口から切り落とされた。
かのように思われたが
( ゚ω゚) 「!」
/ ,';:;:∵ サラサラサラ...
(;゚ω゚)「ざ、ざんぞう!?」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 15:56:01.88 ID:w5BJPJOc0
「違うじゃろ、内藤」
「お前はわしを楽しませなきゃいけない」
「その為には怒りを背負った必殺技をわしに放つか?」「違うじゃろ」
「正々堂々じゃわしに勝ち目なんかないじゃろ
……初手のように汚くとも、どこまでも勝ちに執着するお前がわしはみたかったのじゃ」
(;゚ω゚)「残像!?背から声?」
(;゚ω゚)「くっ、本体は――」
(;゚ω゚):∵ 「グガッ!?」
先の荒巻が残像であると気付き、
声がする方に振り向いたと同時、背に走る衝撃。
/ ,' 3 「残念じゃ内藤、まったく残念じゃよ」
/ ,' 3 「いまの攻撃で胃と肺を破裂させておいた、そうじゃのう、持ってあと5分ってとこか」
/ ,' 3 「さて、その5分で今度はわしになにをみてせくれるかのう?」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 16:01:34.75 ID:w5BJPJOc0
(;゚ω゚): グフッ
血が、口から溢れ出る。
紅く、澄み切った色ではない、死をイメージさせる内腑の混じったドス黒い血。
(;゚ω゚):(こ、ここまでかお…)
目が霞む、手足が痺れる、意識が、遠のく。
気を剣に移しこむ、を極意とする内藤流。
だとすれば
(; ω ):(やっぱり怒りを、殺意を移したところで、なんにもならないのかお…)
再三父から教え込まれた
「気を操る時こそ、心静かに」の教えを破ってしまったことにいまさら後悔す。
(; ω ):(嗚呼、無念...せめて...全力をだして死ねたのなら....)
ガクリを膝が笑い、地に着く。
/ ,' 3 「あと3分」
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 16:05:44.44 ID:w5BJPJOc0
バタッ
(; ω ):(う……)
ξ。A。ξ
地に臥してみれば、見えるのはツンの姿。
(; ω ):「ごめんお…ツン」
( ;ω;)「僕がもう少し強ければ...!」:
( ;ω;)っ「せめて、最期は近くで…」
動けぬ身を無理で無理やり這いツンに近づく内藤。
( ;ω;)っξ。A。ξ
( ;ω;)「ああ...ツン!僕は僕は...」
( ω )「あとは頼んだお…アニキ」
ツンのところまで身を寄せると、その場で内藤は息絶えた。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 16:10:57.77 ID:w5BJPJOc0
/ ,' 3 「……5分経過」
/ ,' 3 「つまらん、何故此方に向かってこんのか」
/ ,' 3 「愛に生まれ愛に死ぬだぁ?これだからゆとりは困るのう…」
/ ,' 3 「…・・・喜びに頭を麻痺させ、全校生徒をヤッたとばかり思っておったが」
/ ,' 3 「軽くこの辺りの死体を目算しただけでも、かなりとり逃しておるようじゃな」
/ ,' 3 「これは失態…だが、狩りの時間が増えたと考えよう」
/ ,' 3 「おそらく校内に散った生き残りのゆとりどもの狩りがスタートじゃ…!ほっほっ」
もう息のして無いブーンの手とツンの手が重なった部分にツバを吐き捨てると
荒巻は歪んだ笑みをたたえながら、校内へと向かう出入り口へ足を向けた。
朝礼、終了
1時間目へ
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