/ ,' 3 「皆さんが静かになるまで5分かかりました」のようです 五時間目 その1
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 18:13:20.63 ID:2oV6dNaR0



 ―――カチ、カチ、カチ、カチ.........



 校庭の一番目立つ場所にある大きな時計。
 惨劇を特等席で見ていたのも、最早昔。
 


 ―――カチ、カチ、カチ、カチ.........



 底なしの海に、アンカーを打ちこむような、音を轟かせ。


 ―――カチ、カチ、カチ、カチ.........



 刻む。
 針が刻む時を刻む切り刻む。




13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 18:14:33.06 ID:2oV6dNaR0
       

 ―――カチ、カチ、カチ、カチ


 眉の太い男が、迷いながら、汗を滝のように垂らし


 ―――カチ、カチ、カチ、カチ

 
 目覚めたばかりの、闘の化身が、求めていた獲物を見つけ、笑みを漏らし


 ―――カチ、カチ、カチ、カチ

 
 死に一刻一刻と、近づきながらも、その強さを増していく魔人がそれを受けて


 ―――カチ、カチ、カチ、カチ


 針は刻む廻り刻む挟み刻む。
 カチカチカチカチ.......

 二つの針は近づき近づけ、その身を重ねる。

 ――カチリ―




17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 18:18:44.39 ID:2oV6dNaR0
         

 長針と短針が、時計盤の中央で一つになった。


 ...............キィーンコォーンカーンコォーン


 最後の授業の開始を告げる、鐘が鳴り響く


 ...............キィーンコォーンカーンコォーン


 交錯する、各々の想いを、断ち切るかのように



 ...............キィーンコォーンカーンコォーン


 鐘は、ただ響く――――


 極限の緊張と、加速する混沌の中
 終りの始まりを告げる鐘が、鳴り響いた。



 〔5時間目開始:残り45分〕




22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 18:23:18.14 ID:2oV6dNaR0
        

 キィーンコォーンカーンコォーン……

 チャイムの音に、混じって聞こえ出したのは




ノパ∀゚)「ひゃははははははは!!!」



 先程生まれたばかりの、“闘”の化身の笑い声。



ノパ∀゚)「お前か!お前が荒巻か!」


/ V 3「………」



 臆する所か、クリスマスプレゼントを開封する子供のような無邪気な笑みをたたえ
 化身が魔人に声をかけた。
 




25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 18:35:09.40 ID:2oV6dNaR0
         

(;‘_L’)(;'A`)(あれは……クー会長…?)


 長年従ってきた彼らが、戸惑うのもムリはない。


ノパ∀゚)「あひゃ、ひゃははははははは!そうだよなあ!荒巻なんだよなあ!!!」


 異質。
 左腕の肘から先が欠損し、腹に一瞥しただけで致命傷とわかるほどの
 深き傷を負い、死すら感ぜられるドス黒き血を多量流しながらも


 残った右手で、太刀をブンブンと振り回し、
 貌に、狂喜の笑みが張り付かせ、
 狂った嗤い声を、壊れかけのラジオのように撒き散らす、その姿

 その姿は、彼らが付き従っていたクーの姿とは余りに異なっていた。
 
 それもそのはず。


 【川 ゚ -゚) 】

 彼女はクーであって、クーでない。
 極上の狂気と触れ、戦う事により生まれ変わった。
 かつての彼女とは、違う生き物なのだから。




30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 18:41:52.63 ID:2oV6dNaR0
               

ノパ∀゚)っ スゥ...

 彼女が突如、笑みを絶ち
 太刀を持つ手を、静かに突き出した。


ノパ∀゚)っ「其れ、お前が壊したのか?」


 突き出した先、其処にあったのは、


 ━━━━━━━━━━━━━

    ( _ゝ )   ( <_ )

 ━━━━━━━━━━━━━

 もう、空を駆ける事はない、地に臥した二頭の龍。



/ V 3「そうじゃと言ったら、どうする?」


 言を返す、魔人。
 それを聞いて、彼女は




36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 18:49:49.85 ID:2oV6dNaR0
           
ノパ∀゚)「そうじゃ――としたら」


ノパ∀゚)「最ッッッ高じゃない!!!」


(;゚∀゚)(〜〜〜〜〜〜〜ッ!?) ビリビリビリ
 

 歓喜に身を震わせ、
 声を大にして発し、大気を木霊させる。


ノパ∀゚)(荒巻―――想像以上ッッ!!)


 幾人もの猛者と戦い、
 あの“双龍”流石兄弟を倒しても尚

/ V 3


 あの男は、此処に立っている、立っていてくれている。

 両目失明、左腕崩壊、右手首、欠損。
 激戦の跡は、たしかにその体に刻まれている、にも関らず、
 戦力の衰えを、いささかも感じさせない。

 いや、消耗を上回る狂気が身を巣食っている……と言った方が正確か。




43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 18:58:23.99 ID:2oV6dNaR0
   

ノパ∀゚)(想像以上……)


 眼前に控えるのは、それほどまで闘に固執する魔人。
 “最強”という甘美な麻薬に身を、脳を犯されし狂人。


ノパ∀゚)(あたしも―― あたしもそうだ――)


 “最強”を追い求め、それ以外は眼中にもはいらず
 くるくるくる、狂狂狂と、狂気の圓舞曲を踊り続けてきた。

 誰にも、もう一人にすら、
 理解されなかった、その想い、しかし――


ノパ∀゚)(眼の前にいる、この男は理解してくれる、同調してくれる
     同じだからだ、あたしと同じ、狂っている、武に固執し、脳髄がトロトロに溶けてしまっている)


ノパ∀゚)(あの男――ショボンもあたしの想像以上だった、が同調までに至らなかった
     だけど、この男なら――)


ノハ ∀ )))ブルブルブル

 歓喜に、身を震わせる。




50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 19:08:49.09 ID:2oV6dNaR0
         

ノハ ∀ )))ブルブルブル


 止まらない、震え。

 彼女の身を襲う震えは、畏れなどからくるものではない。
 ましては、武者震いといった、単純で程の低いものでもない。


 悦楽。

 性交により得られるオーガニズムとは格が違う
 それほどの歓喜、悦楽が脳髄をずやずやと走り、身を震わせる。


ノハ ∀ )))(嗚呼―― 
      これだ、これだ あたしが、生涯追い求めていたものは― ) ブルブルブル


 荒巻と対峙してから、世界が違って見える事に気付いた。
 この世界は、こんなにも美しかったのだろうか。

 毛細血管の隅々まで流れる、この血湧き肉踊る闘争本能。
 “クー”と言う鞘を失い、精神世界を封滅し、武の化身と化した彼女。


 息をすることすら忘れ、
 悦楽に身を、脳を浸し、ただただ身を震わす。




60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 19:17:18.16 ID:2oV6dNaR0
         

ノハ ∀ )))ブルブルブル


 強さへの自信。
 自分はもし神と対峙しても、勝てると断言できる自信があった。


ノハ ∀ )))))ブルブルブルブルブル


 だが、今はどうだ。
 目の前にいる、魔人。

 拮抗している、この自分と。
 あたしですら、勝てぬかもしれない 肌で、溶けた脳で、本能で、そう判断す。



ノハ ∀ )))))))ブルブルブルブルブルブルブルブル


 彼女は初めて、神に感謝した。




63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 19:18:30.88 ID:2oV6dNaR0
                


ノハ ∀ )(有難う御座います―― 有難う御座います――
                  荒巻と対峙させて頂いて―)



 人は神にはなれない、
 かつて龍であった者が放ったその一言。

 すでに、戯れ言である。


 彼女は神どころか、“武”そのものと成った。



ノハ ∀ ))))))))))))):ブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブル


ノハ ∀ ))(き…た…)


 身を襲う震えが限界に達し、
 悦楽が、その身を脳髄を犯しきったとき、それは起こった。




73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 19:32:06.08 ID:2oV6dNaR0
    
     
ノパ∀゚)「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼
    嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚
    呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼
    嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼あ゛ぁ呼嗚あ゛あ゛ぁ゛゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛お゛ぃお゛ぉ゛ぉ゛お゛ぃお゛ぉ゛ぉ゛!!!!」



 愛、喜、憎、怒、恩、喜、恨、怒。
 彼女の情動すべてが込められた叫喚。

 怒声に混じり、血が、汗が飛び散った。
 照明にあてられて、魔王を思わす彼女の影が、床に伸びる。


 発せられた暴れ狂う感情のエネルギーは、空気を揺らし、土煙を巻き上げ、
 その大きさで、周囲の窓ガラスを割るまでであり。

 咆哮ですら、最早人の域でないと、
 耳にしたジョルジュは一人静かに思った。

 そして、散々暴れ狂った感情たちが、辺りの景色を完全に変えきった頃。


ノパ听) 胆ッ―――


 すべてを発した彼女は、
 静かに臨戦態勢にはいった。




76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 19:34:38.66 ID:2oV6dNaR0
      

 瞬間。


ノハ ) 

 ――― オ ォ ン 


 殺気が彼女から、荒巻に向けられた。

 それを、感じ取りジョルジュら



(;゚∀゚) ゾクリッ...
 

(;'A`) ――死ッ― (‘_L’;)


 己たちに向けられた訳では無い。
 僅か漏れ、流れ出た殺気にすら、死を覚悟してしまう。


 それほど濃き、殺気が
 彼女の体を、覆いつくしていた。




80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 19:45:37.36 ID:2oV6dNaR0

 その殺気をうけても尚



/ V 3





 荒 / V 3 巻 ッ ッ!!! 



/ V 3 ニィィ

 口元にうっすらと笑みを浮かべた、魔人。



 臨戦態勢完了。





 緋の混じる髪を揺らし、影絵のような影を伸ばし、
 “闘”の化身が魔人へと足を向けた。




89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 19:53:16.28 ID:2oV6dNaR0
        


( ゚∋゚) クックドゥルドゥー


 キーンコォーンカンコォーン...


 おや、もう一時間もたったのか。
 私は刻を告げる鐘の音を耳にし、私は思う。
 
 
 時間は有限だと云うのに、楽しき事があると、
 夢中になり、すぐ過ぎ去ってしまう。
 

( ゚∋゚) クックドゥルドゥー


 これも又、哲学か。
 顎に手をあて、ふむ、と呟きながら

 私は、再度手の中にある“楽しき事”に戻り
 快楽に、その身を埋めた。


     




95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 20:03:12.33 ID:2oV6dNaR0
        
(*゚∋゚) クックドゥルドゥー

 ガリガリガリ...グニュ...ガリガリ、ブチュ...


;∴∵)。∀从「〜〜ぁな、んばべりヴぁ??」

 
 “楽しい事”、即ち食事。

 先程のニンゲンは頭蓋に孔を開け、嘴を其処に突っ込み
 直接脳漿を啜り食べたのだが

 今度は、頭蓋と共に、ガリガリと噛み砕き、脳を食す事にした。
 食感を楽しもうと思い、試した食事法。

 これが中々。
 先程の啜る食事も良かったが、
 このような食感が伴う食事もまた良し、私は夢中になりながら、そう思う。


;∴∵)。∀从「〜〜う゛う゛、ぁ゛あ゛……」


 最初は物凄い抵抗を見せたこのニンゲンもおとなしくなったきた。
 黙らせる為食べたくもない、腕を、太ももを齧った甲斐がある。
 勿論、食してはいない、それらの肉はすぐに吐き出した。

 私の食欲を満たせるのは、ニンゲンの脳漿だけなのだから。




108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 20:10:49.01 ID:2oV6dNaR0
     

 ガキュ、ガリガリガリ...グニュ...ガリガリ、ブチュ..
 モニュ...プシャ―――、ゴクリ、ガコッ...ドチュ




;∴∵)。∀从「バロぇ゛......モシャピチャグォ゛......」


(*゚∋゚) クックドゥルドゥー


 頭蓋を突き、砕き、湧き出る血を舐め
 蕩け出す脳漿を啜る音と、甘美なニンゲンの声が交わりあう。


 やはり、ニンゲンは美しく、素晴らしい。
 食べながら、私は真にそう思う。

 
 この脳が、どれほど素晴らしい物か。
 獣であった、私だからこそ、ワカるのだ。




114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 20:19:29.80 ID:2oV6dNaR0
      
(*゚∋゚) クックドゥルドゥー


 自由。
 ニンゲンのみに、与えられた権利。

 「鳥は空を気楽に飛べて良い、自由ではないか」
 そう云うニンゲンも中にはいるだろうが、私はそうは思わない。


 自ら考え、己の行動を意志選択する能力。
 これは昆虫や動物には殆ど無い、人間だけが持っている能力
 昆虫は自分の意志などは無くただ本能に操られ、行動す。



 例えば羽虫。
 あれらが光に誘われ、火中に自ら身を投じに死に行くように
 それが、例え死に繋がる行動であっても、本能に従うのみである。

 獣も、同じだ。
 つい先刻まで、そうであった私には、ワカる。


 多少の学習と思考能力があるが、それはあくまで本能に基づいたもの
 大方は、本能に虫と同じ、本能に操られて行動す。

 全能すら感ぜられる、本能。




116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 20:22:39.13 ID:2oV6dNaR0
      
(*゚∋゚) クックドゥルドゥー


 人間だけが、その全能、本能に打ち勝つ事が出来。

 己の置かれた状況から、
 自ら選択し、決道を歩む事ができるのだ。


 ニンゲンは、このあまりに素晴らしき
 自由を勝ち得ているにも関らず、そのスバラシさを自覚していない。

 まったく傲慢だ。



;∴∵)。∀从「ガゲロベェ...ぁ゛ぁ゛ぁ゛……」


(#゚∋゚) クックドゥルドゥー

 グチャ
 頭蓋を噛み千切りながら、私は思う。




127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 20:30:37.79 ID:2oV6dNaR0

(*゚∋゚) クックドゥルドゥー
 
 その素晴らしき特権、自由を持つニンゲンを―――


(*゚∋゚) クックドゥルドゥー!!!

 獣の身であった、私が捕食している!!
 

(*゚∋゚) クックドゥルドゥー!!!

 なんと、素晴らしき事か!


(*゚∋゚) クックドゥルドゥー!!!

 ニンゲンのみが持つ、美しき思想、思考、信念。
 それらが宿る、この世界で唯一無二、“ニンゲンの脳”
 その高尚な脳を“食欲”と云う下等な欲求のみで、ただただ蹂躙し、食べ尽す。

 それが、出来る。

 本能に支配されていた唯の小鳥であったはずの私がである。


(*゚∋゚) クックドゥルドゥー!!!

 なんと素晴らしき事か――!




134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 20:39:05.42 ID:2oV6dNaR0

(*゚∋゚) クックドゥルドゥー

 歓喜に身を震わせ、私は食べる事に夢中となる。

 ペチャ......クチャガリゴリムニュ......
 

;∴∵)。∀从「ぁ゛ぁ゛ぁ゛......ぃ゛......?」


 ニンゲンの声が、次第に小さくなってくる。

 しかし、ニンゲンという生き物は頑丈である。

 頭蓋を砕かれ、脳を半分近く私に吸われ
 手足を砕かれ、失血死を起しても可笑しくない量の出血をしているのにも関らず
 
 まだ、生きている。
 熱を、信念を、思想を、自由を、その脳に秘めている。

 その様を見、私は

(*゚∋゚) クックドゥルドゥー!!!

 ガリッ―― あまりに興奮し、残り半分ほど残っていた脳を、頭蓋ごと、噛み砕いてしまった。

;∴∵)。∀从「あ゛!?」

 先程までと違い、一際大きな呻き声をあげた後、そのニンゲンは動かなくなった。




138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 20:44:06.30 ID:2oV6dNaR0
         
( ゚∋゚) クックドゥルドゥー......

 私は腕の中で輝きを失った、ニンゲンを見て激しく後悔した。
 

;∴∵)。∀从
 
 もう動かない、ニンゲン。


( ゚∋゚) クックドゥルドゥー......


 凄く、残念だった。
 うまくやれば、まだ味わえた、楽しめたであろうに。

 
 ニンゲンの頭部にはまだ、少し、脳漿が残っていたが
 そこには信念や、自由を感ぜられなかった。
 
 矢張り、生きている脳でなければ、ダメなのだ。 


 按配を、間違えた。ギリッと歯噛みし、口内に残っていた脳を飲み込むと
 先程から、此方の様子を伺っているカラスの群れに、ニンゲンの死体を投げ込んだ。

 バッ―――
 ニンゲンの死体を、瞬く間に黒が蹂躙する。
 




146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 20:52:02.51 ID:2oV6dNaR0

( ゚∋゚) クックドゥルドゥー......


 残念な気持ちで胸を一杯にし、私は辺りを見回した。

 視認できたのは、
 大量の死体と、それを啄む鴉ばかりである。

 脚のもげた男も、まだ生きているようだ、
 呻き声が時折聞こえている、興味なき事であるが


( ゚∋゚) クックドゥルドゥー......

 先程と違い、周囲には御代わりがいなかった。
 
 グゥゥ―――

 それでも、私の腹は、未だ満たされていない。

 それにしても、この大量の死体、だれが作り上げたのだろうか、
 状態から察するに、どれも同時間帯に死んだであろう死体たちである。


( ゚∋゚) クックドゥルドゥー
 
 これほど大量の死体を、瞬時に作り出したモノに興味惹かれた
 もし、それがニンゲンであるなら、ゼヒ食してみたいものである、例え、男だとしても




151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 20:57:28.00 ID:2oV6dNaR0
      

( ゚∋゚) クックドゥルドゥー

 グゥゥ―――

 腹は鳴る。
 周りに食べる物がなくとも、容赦無く。


 グゥゥ―――

 その、余りに大きな飢餓感に対し

 私はニンゲンを、自由を、信念を食い尽くせと、
 我が本能が云っているような錯覚に襲われた。

 人智を得たと云っても、私はまだ本能の奴隷なのだろうか

 だが、それも又良いだろう。

 数え切れぬ程の脳を啜れば、
 私にもニンゲンのような自由が与えられるかもしれぬ。

 だったら、そうなるまで喰らいつくそう、ニンゲンの脳を


( ゚∋゚) クックドゥルドゥー

 新たなエサを探そうと、私は足を動かした、その時であった。




157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 21:03:00.27 ID:2oV6dNaR0
       
( ゚∋゚) クックドゥルドゥー?


 ビリビリビリ――――

 どこかの窓が割れる音が聞こえたと思えば、
 すさまじい殺気がそこから漂ってくるのを感じた。

 凄まじい、もしかして其処に
 この死体の山を作り上げた者もいるのだろうか。


(*゚∋゚) クックドゥルドゥー!!

 エサがいる気配を感じ、
 私は音がし、殺気が放たれている場所に向かおうと足を上げた。


 ちゅんちゅんちゅん! 
 ぱたぱたぱた!

 かぜにのって おいしそうな においのするほうへ

 ちゅんちゅんちゅん! 
 ぱたぱたぱた―――――


〔16話終了:五時間目10分経過 残り時間35分〕





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