/ ,' 3 「皆さんが静かになるまで5分かかりました」のようです 五時間目 その3
373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/24(日) 23:54:18.90 ID:2oV6dNaR0
              


 ―――トクン、トクン






 ―――トクン、トクントクントクン






 ―――トクン、トクントクントクン......トクン





 〔第18話:残り時間25分〕




384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 00:06:58.77 ID:cfsuP9rU0
          


 ―――トクン、トクン



(;゚∀゚)(――――ッ)


 ―――トクン、トクン、トクン


 心臓の、音が鳴り止まない。
 冷や汗が、タラリと頬を伝う。



(;゚∀゚)(何が...一体何が起きた……ッッ!?)




 ―――トクン、トクン、トクン


 興奮と、鳴り止まぬ心臓の鼓動に呼応され

 ジョルジュは、
 ギコから受け継いだ虎が宿りし、右手を再度強く握り締めた、




400 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 00:18:23.35 ID:cfsuP9rU0
       

 ―――トクン、トクン



(;゚∀゚)「一体何が……」



 否、ジョルジュは本当は、見ていた。



    ━━━━━━━━━━━━━━━━━


     ノパ听)っ              / V 3    

 
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━


 2頭を持つ龍すら、超えた荒巻の超躍動
 それを目にしながらも、果敢に突っ込んでいった、ヒート。
 
 だが、瞬間




408 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 00:21:53.94 ID:cfsuP9rU0
   


    ━━━━━━━━━━━━━━━━━


     ノパ听)っ               

 
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━



 ヒートの目前から、荒巻が消えた。
 荒巻が、その強靭な脚力をもってして、光速移動したのだろうか。




(;゚∀゚)「―――否」


 ジョルジュは見ていた。

(;'A`) ――???― (‘_L’;)

 ジョルジュだけが、見えていた。


 




414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 00:28:19.69 ID:cfsuP9rU0
       


 ―――トクン、トクン



(;゚∀゚)「荒巻が、動いたのではない」

(;゚∀゚)「荒巻の超音速による、一撃、
    それを受けヒートのだ吹っ飛んだのだ」


 そして、程なくして、衝撃、頭が爆ぜる。


(;‐∀‐)(衝撃すら、追いつかず
     吹き飛んだ後に、発動する程の早さ‐‐)


 おそらく、攻撃を喰らったヒート自身すら、
 喰らった事に気付く事なく逝ったのであろう。


 ―――トクン、トクン、トクン、トクン

 覚めやらぬ興奮。
 心臓の高鳴りが止まらないでいた。




421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 00:32:43.61 ID:cfsuP9rU0
      

 何故、それを認めたくなかったのか    



(;‐∀‐)(あいつですら通用しねェだなんて、
     認めたくなかったからだ)


 衝突の瞬間、確かに見た。
 ヒートの目に宿る、己を遥かに上回る覚悟。



(;‐∀‐)「実力で、覚悟でおれより遥か先にいる、
     あいつが敵わないのであれば、おれなんて――」


 苦悩。

 目の前の敵が己の遥か高みにいると知りながらも
 それを、認めることができない、葛藤。

 心中にギコがいるからこそである。
 認めれば、それはギコを否定すると同じ。


(;‐∀‐)(ずっと見てきた――荒巻の戦い
     おれが勝てるとこなんて、いっこもねェよ―)




428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 00:40:33.38 ID:cfsuP9rU0
      

(;‐∀‐)(クソ…クソ…なんでおれはこんなにも無力なんだ…!)

 
 右手を、再度強く握り締める。

 少年は、そこまで気付いていながら、
 ある、重大な異変に自身、気付けていないのであった。


(;'A`)   ドクオは勿論――

(‘_L’;) フィレンクトも――


 そして、“闘”の化身ヒートですら、見抜けていなかった。
 荒巻の攻撃が一人見えていた事。その重大性。


/ V 3「……」

 その少年の変化の兆しに、
 荒巻は一人、気付いていた。

 羽化、繭から孵る蝶を見るような。



 ―――握り拳から、血が滴り落ちる。




433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 00:43:43.70 ID:cfsuP9rU0
     

 ―――トクン、トクン、トクン、トクン


 覚めやらぬ興奮。
 右手に宿る、虎が、疼く。



 ―――トクン、トクン、トクン、トクン


(;‐∀‐)


 高鳴る胸、芽生えの予感。
 少年は、それに気付く事なく闘っていた。


 ―――他ならぬ、己の弱さと



 ―――トクン、トクン、トクン、トクン


 心の臓は鳴り止まぬ。
 虎が二度吼える事は――?




434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 00:44:44.26 ID:cfsuP9rU0
      

( ゚∋゚) クックドゥルドゥー?


 音のする方へいこうと足をあげたときである。
 私は、違和感を感じ取った。
 
 
 ―――シュッ

 不思議な音を聞いた、風を割くような、音。

 次いでガリッという、私がニンゲンを食した時のような音が聞こえた。
 ニンゲンの頭蓋を砕いた時の音に、よく似ていたが。
 
 違っていたのは、その音が、
 外からではなく、内から聞こえたという事。


( ゚∋゚) クックドゥルドゥー?


 はてなが私の心中を占めた。次の瞬間である――




436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 00:45:39.07 ID:cfsuP9rU0
      

 瞬間。






             ▂ ▪ ▂▄▅▆▇■▀▀〓◣▬ ▪ ■ … .
              .▂▅■▀ ▪ ■ ▂¨ ∵▃ ▪ ・
   ピュッ       ◢▇█▀ ¨▂▄▅▆▇██■■〓◥◣▄▂
           ■ ▂▅██▅▆▇██■〓▀▀ ◥◣ ∴ ▪ .
  「?」     ▅▇███████▀ ▪ ∴ ….▅ ■  ◥◣
        ▓░█▅▆▇████████▆▃▂  ▪ ■▂▄▃▄▂
   ( ゚∋(▒▒▓_ ■  ¨ ▀▀▀■▀▀▀ ▪ ■ ̄
    




 状況を理解せぬ間に、
 私の頭が爆ぜ、脳漿が飛び散った。




443 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 00:50:13.62 ID:cfsuP9rU0
      
( ゚∋(・;:; クックドゥルドゥー 


             ▂ ▪ ▂▄▅▆▇■▀▀〓◣▬ ▪ ■ … .
              .▂▅■▀ ▪ ■ ▂¨ ∵▃ ▪ ・
   ピュッ       ◢▇█▀ ¨▂▄▅▆▇██■■〓◥◣▄▂
           ■ ▂▅██▅▆▇██■〓▀▀ ◥◣ ∴ ▪ .
  「?」     ▅▇███████▀ ▪ ∴ ….▅ ■  ◥◣
        ▓░█▅▆▇████████▆▃▂  ▪ ■▂▄▃▄▂
   ( ゚∋(▒▒▓_ ■  ¨ ▀▀▀■▀▀▀ ▪ ■ ̄
    


 自分の脳漿が飛んでいると云うのに
 私はそれをどこか他人事のように、見つめていた。

 他人の脳漿を、吹き飛ばし続けていたせいだろうか。


 不思議と痛みは感じなかった、気分も悪くない。

 次いで思ったのは、脳漿が飛び散りながらも
 何故、己が未だ生きているのか?


 と、いう自己に対する問いかけであった。
 答えは、程なくして見つかった。




452 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 00:57:44.94 ID:cfsuP9rU0
     
( ゚∋(・;:; クックドゥルドゥー 



 ―――激しい怒り

 それが、私の心中を秘めていたからである。

 本能より、発せられた命令、怒り。


 本能が、エンドルフィンに、アドレナリン、
 ノルアドレナリン、セロトニン、ノルアドレナリン、、ヒスタミン、ドーパミン ...
 
 数多の脳内麻薬を引き出し、
 私を死なせず、闘えと命令しているのだ。



( ゚∋(・;:; クックドゥルドゥー 


 ならば、私もその本能に従おう
 何故なら、私は絶対的捕食者であり、食われるべき立場ではないからだ。

 それを、証明する――




456 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 01:05:11.10 ID:cfsuP9rU0
      
( ゚∋(・;:; クックドゥルドゥー 


 血を、脳漿を散らしながら、背を振り返る。

 “不味いな、鳥肉は好きなんだが――”


 其処には、私の頭を噛み千切ったであろう、ニンゲンが立っていた。


 女であった。
 30半ばくらいの中年だろうか。
 言いながら、私の脳漿を口から吐き出している。

 そして、悠然と佇んでいる。
 その身に纏っているのは、己に対する絶対的自信と、
 超絶なる、厚き筋肉。


( ゚∋(・;:; クックドゥルドゥー 


 一目見てわかった、
 このニンゲンは今までのニンゲンとは違う
 
 我が、本能が更に刺激された。 




460 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 01:11:13.76 ID:cfsuP9rU0
      
( ゚∋(・;:; クックドゥルドゥー 


 女を怒りの目で見つめる私。
 程なくして、女も此方に気付いた。


“へェ、お前脳みそをぶちまけながらも生きてるのかい、面白ェ”


 ニヤァ〜と
 女は嗤いながら、大気を歪めていた。


 矢張り、今まで私が難なく捕食してきたニンゲンとは違う。
 

( ゚∋(・;:; クックドゥルドゥー 


 用心しなくては。
 怒りに満ちながらも、私は冷静に、構えをとった。   




471 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 01:22:29.93 ID:cfsuP9rU0
         
 ――ポチャ

 宙に舞っていた、ヒートの脳漿が、地に落ちた。

  
 ;^; ∴  ;∴::・;:;    ボトッ
 ∴::・゚・・;:;ミ; ,∴)凵O)
   ノ シ,.   ・;ハ  ∵,' 


 “武”の化身、“最強”を追い求めながらも
 最期は、己が打ち込まれたと気付く間もなく、笑顔で逝く。



(;‐∀‐)(クソ……クソ――......)


 ジョルジュが芽生えの予感を醸し出し、
 己の弱さと葛藤する、傍らで
 

(;‘_L’)(あの覚醒した会長がやられるほどとは―)


 フィレンクトは、その観察眼を用い
 湧き出る恐れを必死で押さえ込み、冷静に思考に耽った。




477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 01:29:09.44 ID:cfsuP9rU0
     
    

(;‘_L’)(まともな戦いでは、勝て得ない――)


 フィレンクトの出した答えは、至極全うである。
 ショボンとの死闘の果て“武”の化身とまで成った。

 限りなく最強に近い力を持つ、会長ですら、
 一瞬で塵にする程の力をこの土壇場で身につけ、進化する荒巻。



/ V 3  止まらぬ武――


(;‘_L’)(強さで対抗しても、駄目だ、勝ち目がない)



(;‘_L’)(不意を付く――いや、ムリだ
     視力を失っても尚、残された4感で、常人より反応が機敏ときている)


(;‘_L’)(銃器――いや、兄者の特注銃ですら、足止めにしかならない)


(;‘_L’)(なにか、なにか1つでも、付け入る隙
     弱点があれば――)




483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 01:32:40.59 ID:cfsuP9rU0
      


 “なにか、一つ”

 呟いたところで、フィレンクトは静かに眼を閉じた。



(;‐_L‐)(それこそある訳が無い、ここまで戦闘を見てきた私がそう断言する
     弱点など、あの魔人にある訳ない、甘き夢なのだ)



(;‐_L‐)(しかし―――)



 “なにか、一つ” “弱点があれば―”

 “それがきっと、打倒荒巻と云う名の開かぬ扉を開くカギと成る”

 “なにか一つ、鍵を”


 “鍵を” “鍵さえあれば―――”




487 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 01:36:12.89 ID:cfsuP9rU0
       

 その場に居る全員が持ち得ない、“鍵”。

 あの魔人に、そのような弱点があるのか、ある訳ない。

 
 しかし、そう断言するのには、少し早い

 

 その“鍵”を持つ者が一人いた。


    ━━━━━━━━━━━━━━━━━

   ワタナベ先生とあいつの戦いで見た

   砂漠に水を一滴垂らすような、儚いものだけど
    だけど、たしかに見えたあいつの弱点。

(-_-)(正攻法でついても、おそらく意味を成さないか細い弱点)
 
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ヒッキー。
 あの惨劇の朝礼をワタナベの手で救われ、
 そして意思を受け継ぎ、修羅と化した、男。




495 名前:訂正:2009/05/25(月) 01:41:16.33 ID:cfsuP9rU0
       


(-_-)(必ずとる...みんなの、ワタナベ先生の仇―)



 フィレンクトが気付かぬのも、ムリはない。

 ヒッキーを知らないのだから。





 そして、“鍵”はもう一つ。

(;‐∀‐)(クソ……クソ――......)


 その才覚を覚醒させつつも、
 己と弱さ戦っている最中のジョルジュ。
 

 
 フィレンクトが気付かぬのも、ムリはない。
 ジョルジュは、自分でも芽生えの予感に気が付いていないのだから。
 




498 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 01:44:13.27 ID:cfsuP9rU0
       

/ V 3


 荒巻。


 戦闘力も、精神力も、至上。
 その上、未だ成長を続けている魔人。



 まさに最強の名に相応しい男である。

 
 だが、しかし――
  




500 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 01:45:19.08 ID:cfsuP9rU0
      




  ━━━━━━━━━━━━━━━━━

   (;‐∀‐)(クソ……クソ――......) 

  ━━━━━━━━━━━━━━━━━


 吼える時を、待つ、虎。


  ━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
   (-_-)(仇を……)
 
  ━━━━━━━━━━━━━━━━━

 唯一人、荒巻の弱点を握る、復讐を誓った修羅。



   




503 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 01:47:59.81 ID:cfsuP9rU0
    

 おぼろげだが、光明を放つ二つの希望。



 二つの鍵。


 それが揃えば


 頑強で、常人では開け得ないであろう

 ―――荒巻という名の扉も・・・・・。



 授業時間も、残り後10分。

 放課後が俄かにだが、眼に見えてきた。



 〔第18話:終〕

 





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