/ ,' 3 「皆さんが静かになるまで5分かかりました」のようです 五時間目 その4
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 18:31:16.15 ID:PcGbjwsu0
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(;‐∀‐)(クソ...クソ...)
右手を握り締め己と戦うジョルジュ。
(;‘_L’)
ジクソーパズルを暗闇にて、手探りで組み立てるような
諦観の中、どうにか勝機を探す、フィレンクト。
―――ザッ...
/ V 3 「!」
そんな“止”の二人を横目に、
荒巻の前に迷わず立った男が居た。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 19:05:47.07 ID:PcGbjwsu0
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―――ザッ...
流石兄弟との戦いで生じた煙幕が、
ヒートが死ぬ事で飛び散った死臭が
ジョルジュの己との戦いが、
フィレンクトの答えの出ぬ思考が
周囲の喧騒が、その一瞬で静まりかえった。
―――ザッ...
カツカツと、硬い音を響かせながら
血で紅く彩られた魔人に近寄りつつある男。
('A`) ―――ドクオ
/ V 3「……!」
ジョルジュの変化に気を取られていた魔人だが、
その足音、臭いで近づいてきた男がドクオだと判断し、
泰然と、優雅に、表情を変えた。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 19:14:58.96 ID:PcGbjwsu0
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/ V 3「ほう、なんのつもりじゃ?」
今更、と。
荒巻が嘲笑を貌に滲ませながら、問いかけた。
ムリもない。
“双龍”流石兄弟が、
“武の化身”ヒートが、
二人の人外を以てしても、勝つ事が敵わなかった“人外中の人外”
最強――
荒巻の前に、異能の能力を持ちながらも人の域にいるドクオが、
戦意をむき出しにして、眼前に立ったのである。
(;‘_L’)(死ぬ気か、ドクオさん!)
フィレンクトがそう思うのも、ムリはない。
だが、しかし、ドクオは静かに、声を発した。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 19:21:12.99 ID:PcGbjwsu0
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('A`)っ 「は?決まってんだろカス
お前をぶっ潰しにきたんだよ」
スッ――、と
拳を荒巻に突き出しながら、ドクオはそう言う。
/ V 3 「笑えん冗談だな」
('A`)「笑えん?負けるのが怖いのか?」
('A`)「最強だあ?魔人だあ?笑わせんじゃねーぞ、こら」
/ V 3 ピク...
荒巻に怒りの表情が浮かぶ。
(;‘_L’)(ドクオさん......!)
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 19:30:21.07 ID:PcGbjwsu0
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(;゚∀゚)(何故だ……何故立ち向かえる!?)
その状況を見てジョルジュ。
かつてないほど、揺蕩っていた。
あの時もそうだった、己と荒巻との戦いに乱入してきた時のドクオ。
対峙する相手との力量差を考えず、突っかかるその姿勢。
(;゚∀゚)(勝てる……とでも思っているのか!?本物のバカなのか!?)
筋肉操作を用いたところで、
四足が辛うじて、ほんの短時間あの頃の荒巻と互角になる程度である。
(;゚∀゚)(勝てるわけねェ!)
自明の理。
今ドクオの目前にいる荒巻はかつての荒巻とはまた別次元にいる。
勝つどころか、勝負にすらならないのは目に見えている。
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 19:36:36.12 ID:PcGbjwsu0
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/ V 3 「死ぬのが怖くないか...ときたか、ほほほっ...
そうか、そこのうんこ臭い君、わしより強いといいたいのかのう?」
('A`)「ちげーよ、確かにおまえは強え」
('A`)「そして、対する俺は、弱い」
('A`)「これは、紛れもない事実だ、認めよう」
('A`)「だが」
('A`)「だが、それがどうした」
('A`)「火を見るより明らか、って言葉がきらいでなあ」
('A`)「だって、そうだろ?火見ても何が明らかって感じじゃねーか?
そうだよな?そうなんだよ」
('A`) 「やってみなきゃ、わかんねーことだってあんだろ」
('A`)っ 「潰し合おうぜ、魔人さんよ」
/ V 3 「ほう......」
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 19:42:55.81 ID:PcGbjwsu0
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そのドクオの姿を、見、ジョルジュ。
(;゚∀゚)(ゾクゥ―――)
感銘を受けずには、いられなかった。
(;‐∀‐)(目の前にいるうんこ――
余りに弱いはずなのに、揺るがないでいる)
(;‐∀‐)(勝てないとわかっている相手に、対峙しながらも
その揺るがなさはなんだ……!?)
その強さの意味。
己自身と戦っている最中のジョルジュには、
身に染みて、伝わってくるものがあった。
( ‐∀‐)(――思い上がってんじゃねェぞ この…
――チンピラが………… )
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 19:51:50.36 ID:PcGbjwsu0
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( ‐∀‐)(唯の泣き虫であったおれ、それが
ギコと出会い、空手を学び、ヤンキーと成り
ギコの隣でいる事で、誤解していた ――己が、強いと
オレのどこが強い? 何が強い?
ギコに救ってもらった心、授かった空手
強がりで塗り固められた態度、受け継ぎし右手の虎
――全部、借り物じゃねェか
借り物の強さ、
そこのどこにも、オレはいない
その通り ワカってる ワカってた
認めるるよ
―― オレはただの………… )
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 19:57:43.46 ID:PcGbjwsu0
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「なァ、そこの隻腕のアンタ」
(‘_L’)「.........は、はい?」
隣にいる、フィレンクトが声をかけられ
焦りが生じたのもムリはない。
(‘_L’)(これは……)
胎動。
先程までのジョルジュとは、
明らかに放つオーラが違っていた。
( ‐∀‐)「一つ、聞きてェ事がある」
( ‐∀‐)「おれは、おれは強いかい?」
(‘_L’)「………」
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 20:03:14.23 ID:PcGbjwsu0
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(‘_L’)「………」
(‘_L’)「強い、ですよ」
ポツリ、フィレンクトが放った一言。
(‘_L’)「直接目にはしてませんが、荒巻校長の視力を奪った実力
そして、覚悟、とても小学一年生とは思えない強さです」
(‘_L’)「ですが」
一拍。
( ‐∀‐)「……・……」
(‘_L’)「ですが、それだけです」
(‘_L’)「あくまで、それは“人”としての武
先程まで荒巻校長と戦っていた人外の方々と比べるとなると――」
( ‐∀‐)「そうか.........」
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 20:08:35.61 ID:PcGbjwsu0
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( ‐∀‐)「ありがとう」
( ‐∀‐)「弱い、か」
( ‐∀‐)「それでいい、それがいい」
――それが、ありのままのおれなのだから
( ゚∀゚)「有難う」
そういい残すと、
ジョルジュは荒巻へと向かっていった。
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 20:09:58.40 ID:PcGbjwsu0
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ジョルジュのとった選択。
それは、受け入れること。
( ゚∀゚)(己の弱さ、強さ、全部ひっくるめて“オレ”なんだよな...)
開き直りなどでは、ない。
目の前で繰り広げられた、激戦。
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( ´_ゝ`) (´<_` )
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―――信頼と覚悟を武器に戦う龍。
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ノパ听)
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―――闘う事にすべてを見出し、死をも恐れなかった化身。
- 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 20:16:15.94 ID:PcGbjwsu0
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( ゚∀゚)(彼らの人外の力に驚き、
尊敬し、そして嫉妬した―――)
( ゚∀゚)(何故、こうも力の差があるのかと
歯噛みした、見守るしかできなかったことが、悔しかった)
( ゚∀゚)(でも、それは違っていた)
( ゚∀゚)(彼ら人外との、一番大きな差、それは“力”などではない
受け入れる事、自分を知り、弱さを認める強さ)
( ゚∀゚)(塵芥の如く、矮小な存在である俺、だが、それがどうした)
武とは、己の弱さを知り、それを補う事で強くなること
( ゚∀゚)「だから……どこまでだって強くなれんだ……
俺が! "ジョルジュ"である限りよ! 」
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 20:24:09.99 ID:PcGbjwsu0
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―――ザッ...
(‘_L’)(行きましたか.)
フィレンクトとの受け答え、それを切欠に
ジョルジュの貌から迷いは、消え、荒巻へと向かって行った。
その光景を見てフィレンクト。
(‐_L‐)(己の弱さを知り、対峙し、受け入れる
それはいい、それでいい
だからこそ、強くなれる、闘える、でも――)
(‘_L’)「そこまで、気付いた所でようやく対峙できるかどうか」
(‘_L’)「“心”だけでは勝て得ない、
だから最強、だから魔人」
(‘_L’)「そこまで行き着いたとしても、勝機は果たして――」
- 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 20:29:26.33 ID:PcGbjwsu0
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(‐_L‐)(勝ち目無き戦い、それに一体何の意味が……)
;^; ∴ ;∴::・;:;
∴::・゚・・;:;ミ; ,∴)凵O)
ノ シ,. ・;ハ ∵,'
(‘_L’)「クー会長」
不意に昔クーに切られた左腕が疼く。
(‘_L’)「意味などない戦い、か」
(‐_L‐)「彼らを見て、無償に腹が立つ理由がわかった昔の私にそっくりだ」
(‘_L’)「―――だが、そういうのも、嫌いじゃないな」
(‐_L‐)(クー会長)
フィレンクトは、静かに思い出していた。
己が左腕を失ったあの日の事、生徒会入りしたあの日の事。
- 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 20:31:38.90 ID:PcGbjwsu0
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(‐_L‐)(行こう――)
フィレンクトの足は、
自然にジョルジュを追っていた。
(‐_L‐)「鍵がない、それがどうした」
(‐_L‐)(勝機が無ければ、作ればいい、それだけの事だ)
(‘_L’)「よし」
- 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 20:37:35.28 ID:PcGbjwsu0
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―――タッタッタッタッ...
(-_-)「……まだ暖かいや...」
駆けながらヒッキーが呟いた。
まだ、両の掌に残っていた、しぃの暖かさを感じながら。
(-_-)「泣いていたな...しぃ...」
残していった、彼女を想い。
掌を握り締めた、彼女の温もりが、己の体温に混ざる。
(-_-)「けど――あいつ...荒巻だけは…!」
ヒッキーの向かう先、一年塔。
鳴動する殺気と、静寂する死の予感が満ちる場所。
(-_-)(あの戦闘音、殺気、間違いなく荒巻が戦っているはず
殺気を放ったのは荒巻なのか対峙する者なのかはわからない)
- 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 20:44:13.72 ID:PcGbjwsu0
-
(-_-)(荒巻が放ったとしたら、あれほどの殺気を放たないと闘えない相手と対峙しているという事
対峙する相手が放ったとすれば、あれほどの殺気を放てる強者という事
どちらにしても、相当な者が荒巻と戦っているという証! )
(-_-)「それほどの、強者なら……荒巻に勝て得る」
(-_-)「ぼくの持っている、荒巻の弱点を託せば――」
―――タッタッタッタッ...
復讐に身を埋め、策を施す事に関してはヒッキーは人外クラスであるが。
戦闘においては、常人、ただの四年生である。
(-_-)(故に......この弱点“鍵”は僕がつかった所で意味がない!
僕は余りに非力だからだ!)
(-_-)(だから…この“鍵”を託す、
今荒巻と闘っているであろう人に…!)
- 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 20:51:49.56 ID:PcGbjwsu0
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ヒッキーの誤算。
それはあの殺気を放ったヒートは
もう殺されているという事。
そして、あれ程の殺気を放つ者でさえ、
まともに荒巻と闘えずに葬り去られるという現在の荒巻の戦力。
そうとも知らずヒッキーは
≡=-_-)
一年塔へ、駆けていた。
- 128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 20:56:59.86 ID:PcGbjwsu0
-
( ゚∋(・;:; クックドゥルドゥー
発散された脳内物質を用い
私は筋肉のリミッターを外した。
“ほゥ、そんなこともできんのか?”
女は、感心しているようだが
私の姿を見て、恐れを抱いたり、死を感じてはいないようだった。
仕込まれた芸を披露するペットを見ているような視線...
その視線が、私を更にイラだたせた。
(#゚∋(・;:; クックドゥルドゥー
居てもたってもいられず、私は女へ飛び掛って言った。
- 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/27(水) 20:59:30.82 ID:PcGbjwsu0
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≡=-_-)
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/ V 3 ('A`#) (゚∀゚ ) (‘_L’ )
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(#゚∋(・;:;
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物語は、収束へと向かいつつあった――
〔第19話:残り10分〕
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