('∀`)勇者30174のようです 十三話
239 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 19:14:07 ID:iPgCJlng0

【前回までのあらすじ】

アイリス 旅立ち

イギス 野宿

西の塔 攻略

オスドニア大陸上陸

ウラヌス 勇者ギルドで宿泊
王様に会う。フラグ回避で逃亡

エミジア廃鉱にて メタルスライムでレベルアップ

オスカーテルミノ 魔法使いと出会う

カールモンキー ギャンブルで大敗
占い師 貞子の元へ ← いまここ




240 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 19:16:46 ID:iPgCJlng0

所持金 500038G

 ('A`) レベル10 勇者
 HP72/72
 MP0

 ζ(゚ー゚*ζ レベル11 踊り子
 HP55/55
 MP0


三組の勇者パーティはそれぞれが50万Gをためることができたので、
さっそく占い師貞子の元へ向かうことにした。


( ^ω^) 貞子さんなら、町の北にあるお屋敷にいますお

( ・∀・) そうか。世話になったな

( ^ω^) いえいえ。4号も勇者様のお世話ができて嬉しい限りですお


  _
( "∀")

(´・ω・`) ところで、彼が遠い場所からずっと戻ってきていないんだが

川 ゚ -゚) 二、三日もすれば時が癒してくれる




243 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 19:20:41 ID:iPgCJlng0

貞子の屋敷は豪華といえば豪華だが、薄気味悪い装飾がいくつもついていて、
近寄りがたい雰囲気をもっていた。


門番「貞子様に鑑定のご用事か?」

('A`) そうそう。50万Gきっちりあるぜ

門番「予約は?」

('A`) え?


門番「予約していないのか?スケジュールがきっちり一ヶ月後まで埋まっているんだ。
   もしも予約していないのなら、今から予約して一ヶ月後にまた来てくれ」

ζ(゚ー゚;ζ そんなあ!

(*゚−゚) そんなに待てないしー

( ^Д^) 何とかなんねえのかよ

門番「しかし……いや、待て、そういえば今日は特別な者が来店すると言われていたな…」

('A`) 特別な者?




245 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 19:23:51 ID:iPgCJlng0

門番「この中に、ショボン、モララー、デレ、ドクオという者はおるか?」


(;'A`) 俺がドクオだけど…

( ・∀・) モララーだ

(´・ω・`) 勇者オブ勇者ショボンとは僕のことさ

ζ(゚ー゚*ζ はーいデレです!


門番「失礼した。今名を挙げた者は元々スケジュールに入っている。
   一人ずつ、順番に中に入るがよい」

  _
( ;゚∀゚) えー!俺は占ってもらえねえのかよ!

川 ゚ -゚) あ、生き返った

門番「そもそも鑑定料は一人50万Gだ。払えるのか?」

(,,゚Д゚) チッ。それなら仕方ねえぞゴルァ


(;'A`)(何で予約してないのにスケジュールに入ってんだ…?)




246 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 19:28:02 ID:iPgCJlng0

(´・ω・`) ふん。流石は希代の天才占い師、といったところかな

(´・ω・`) このブレイブナイトオブレジェンド ショボン様が、今日やってくるとわかっていたとはな!


(´・ω・`) という訳で僕が最初に入ろう。異論は受け付けん

( ・∀・) 順番はこの際どうでもいい。行ってこい


ショボンは自信満々の足取りで、一人屋敷へ向かっていった。


ζ(゚、゚*ζ 私たち、50万Gしかないけど、二人とも見てもらえるかなあ?

(;'A`) いざとなったらまけてもらおう。今の内に申し訳なさそうな顔を練習しておくんだ

ζ(゚ー゚;ζ やだぁー格好悪い


およそ十数分後、ショボンは大股歩きで屋敷から戻ってきた。
妙に険しい顔をしている。

( ・∀・) 割と早かったな。どうだった?




247 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 19:32:44 ID:iPgCJlng0

(´゚ω゚`) 何じゃこのクソ占い師はああああああ!!!

(;'A`) うわあ!目がきもい!


(#´゚ω゚`) 「勇者は向いてない」とか「転職すべき」とか訳のわからんこといちびりおって!
      勇者生まれ勇者育ちタンスのある家は大体漁ってるショボン様に向かって何て口を!!!


(,,゚Д゚) そりゃあ、魔法使えるのにピオリムとかベホマラーとか

(*゚ー゚) 私より補助系魔法使えるような人は勇者って感じじゃないよねー

( ^Д^) アドバイスに従って転職したら?

(#´゚ω゚`) するかボケがぁぁ!もうわしゃ知らん!次の町を目指すぞ!

( ^Д^) 何処に行けばいいか聞いたか?

(´゚ω゚`) あのクソ占い師はもう信用ならん!信じるべきは己のみ!ほらさっさと行くぞ!

(,,゚Д゚) 占ってもらった意味ねえぞゴルァ


ショボンは猛った怒りを抑えることなく、ぶつぶつと愚痴を叫びながら去っていった。




248 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 19:36:34 ID:iPgCJlng0

('∀`) 気の毒になあ

ζ(゚ー゚*ζ 勇者様。凄くいい笑顔だよ


( ・∀・) じゃあ、次は俺が行っていいかい?

('A`) あー、どうぞどうぞ

( ・∀・) 悪いな

ショボンの結果がさんざんなものだったにも関わらず、
モララーは何処か自信に満ちていた。


川 ゚ -゚) 変なこと言われてモチベ下がらなければいいけど
  _
( ゚∀゚) ああ見えて繊細なやつだからな。しかも占いは結構信じる方だ


('A`) 大丈夫かな

ζ(゚−゚*ζ んー、肉まん小僧(ショボン)みたいになってなきゃいいけどね


モララーは、三十分ほど経ってから屋敷から出てきた。




249 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 19:38:40 ID:iPgCJlng0

顔つきは普段と変わらないように見えるが、何処か目が真剣に見える。


川 ゚ -゚) どうだった?

( ・∀・)
  _
( ゚∀゚) おい、大丈夫かよ

( ・∀・) ああ―――大丈夫だ。ただ、ちょっと、心の整理がな…

川 ゚ -゚) 心の整理?


('A`) 何言われたんですか?

( ・∀・) それは……悪いな。ちょっと俺の心にしまわせてくれ

(;'A`) えぇー、気になる


( ・∀・) さあ、俺たちも出発するぞ!ぐずぐずしてはいられない
      俺たちは勇者パーティなんだ。立ち止まったら終わりだぜ!
  _
( ゚∀゚) おいおい、何だよ。めちゃくちゃやる気満々じゃねえか

川 ゚ -゚) さてはいいこと言われたな




250 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 19:43:01 ID:iPgCJlng0

( ・∀・) いいこと、か……まだわからない。だが、もう前進するしかねえんだ

川 ゚ -゚) ふうん……?

モララーの様子は、昂ぶりを抑えられないといった感じだった。
さっきショボンが激昂していたようなそれとは、明らかに種類が違う。


( ・∀・)(まさか……まさか俺が……



    ……選ばれし「真の」勇者だったなんて……)



(;'A`) も、モララーさん…

( ・∀・) ドクオ。また何処かで会えたらいいな。そのときまで、死ぬなよ

(;'A`) は、はいっ!


急に先輩風を吹かし始めたモララーは、挨拶もそこそこにし、
クーとジョルジュを連れて町を出発した。

早く旅に出たくて仕方が無いといった様子だ。




251 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 19:46:54 ID:iPgCJlng0

(;'A`)  ζ(゚ー゚;ζ


ζ(゚ー゚;ζ 何か、行っちゃったね

(;'A`) うーん、ショボンはどうでもいいが、モララーさんはちょっと気になるな


ζ(゚ー゚;ζ ていうか何で私も呼ばれたんだろう!これって死亡フラグ?

(;'A`) いやーまだ大丈夫だろ!でも死亡フラグだと思ったらとにかく即逃げだ
     いいか、この世界ではフラグが全てだ!回避したいフラグはいつだって全力で逃げるんだ!

ζ(゚、゚;ζ よくわからないけど、いつでも逃げる準備をしておくね


どちらが先に行くか話し合ったが、結局二人一緒に屋敷へ入ることにした。

門番に止められるかと思ったが、彼は元々わかっていたよう気がするほど、
すんなりとドクオたちを屋敷へ通した。


屋敷は薄暗く、中の壁は全てカーテンで覆われていた。
看板に従って貞子のいる奥の間へと進む。


('A`) こ、この部屋か。こんちゃーす…




252 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 19:49:53 ID:iPgCJlng0




川ー川



(;'A`)   ζ(゚ー゚;ζ



川ー川 待ってた。ドクオ。デレ

ζ(゚ー゚;ζ あの、どうして、私たちの名前を…

川д川 過去も未来も現在も、全て一本の線で繋がっているだけ
     私はそれを少しだけたぐり寄せることができるの
     あなたたちが来るのは、最初からわかっていたことなのよ


(;'A`) す、すげえ!モノホンの占い師だ…

川д川 さあ、何を占って欲しい?……と聞きたいところだけど
     あなたたち二人には、直接アドバイスしたいことが山ほどあるの

ζ(゚−゚*ζ アドバイス…ですか?




253 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 19:54:06 ID:iPgCJlng0

川д川 あなたたちは面白い運命を背負ってる。しかも一つじゃない
     様々な運命の糸が絡まって、何かもう、訳わかんね

(;'A`) わからないの!?

川д川 見えないの。あまりにも運命の色が濃すぎて
     こんなこと、私は初めてだわ


川ー川 だからこそ面白い!あなたたちの運命、私も共に見守っていきたい

(;'A`) は、はぁ ζ(゚ー゚;ζ


川д川 それじゃあ、少ししかわかってないけど、ちょっと助言を与えるわ
     あなたたちはこれから東に向かいなさい

('A`) 東に…

川д川 そして、うんと迷いなさい。迷えば迷うほど、道は拓けるわ


%('A`)(メモっておこう…)

ζ(゚ー゚;ζ あの、お聞きしたいことがあるんですけど!

川д川 何かしら?




254 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 19:57:50 ID:iPgCJlng0

ζ(゚ー゚*ζ 私、魔法使いになりたいんです!私に魔法の才能ってありまふか?

川д川



川;д川 えーっと…

ζ(;ー;*ζ うわああああああんはっきり言われるよりきついよぉぉぉ!!

(;'A`) 泣くな!泣いたらあかん!笑顔の先に明日があるんやで!

川;д川 ち、違うの!ちょっと聞いて!


川д川 魔法使いには……なれない、と思う、悪いけど
     でも、あなたの後ろに…その、凄いものが見えるの

ζ(゚−゚*ζ 凄いもの…?

川д川 守護霊…じゃないみたいだけど、何だろう…
     つまりは、あなたが背負っている運命も、相当フクザツで大きなものだってことね


('A`) 凄いもの…パンツいっちょでブレイクダンス踊る老人の大群とか…?

ζ(゚ー゚;ζイヤァァァ!確かにフクザツそうだけどイヤァァァ!




255 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 20:01:25 ID:iPgCJlng0

川д川 残念だけど私の口からははっきり言えない
     教えすぎるのは、運命に対しての冒涜だからね


川д川 ただ、これだけは言っておく!


川д川 ドクオ…あなたは、私の考える「本当の」勇者になり得る存在よ

(;'A`) 本当の勇者…?

川д川 役職とかロールとか、そんな陳腐な意味での勇者じゃない
     「勇気」を持ち、「勇気」を与えることが出来る者
     つまりは「本当の」意味での「勇者」……


貞子はドクオの手を固く握った。


川д川 もしかすると、世界の命運はあなたにかかっているかもしれない

(;゚A゚) ええぇぇぇぇぇ!?

川д川 怯えないで…怖がることはない。あなたは、あなたの出来ることをしていけばいいの
     それが必ず一本の線となって、運命があるべき形を作ってくれる




256 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 20:04:22 ID:iPgCJlng0

川д川 それから、デレ

ζ(゚ー゚;ζ はい!

川д川 あなたもそう。あなたしか出来ないことが必ずある
     例えば、大切な人を支える役目

ζ(゚−゚*ζ 支える……


川д川 精一杯笑って、精一杯泣きなさい。うんと悩んで、また歩き出しなさい
     あなたは光。勇者を導く光となる存在なの


川ー川 なんて…ちょっと大げさ過ぎたかな

(;'A`) 何だ…冗談だったのか


貞子は前髪の隙間から、八重歯を覗かせて笑っている。


川ー川 冗談にするかどうかも、全てはあなたたち次第
     ここから全て見させてもらうわ。あなたたちが歩む道と、あなたたちが作る世界を




257 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 20:08:39 ID:iPgCJlng0


 ――――それから、あと一つだけ教えてあげる。あなたたちと私は、必ずまた出会う



('A`) その時が来たら、必ずまた出会う……か


ドクオたちは屋敷から出たあと、あてもなく町をぶらついていた。
貞子から言われた言葉がぐるぐると頭を回っている。



ζ(゚−゚*ζ 勇者様。私にしか出来ないことって、本当にあるのかな

('A`) そんなもん……何の才能も無い俺に聞くな…


ζ(゚ー゚*ζ うん……そうだね!

(;'A`) ちょっとフォローして欲しかった!

ζ(゚ー゚;ζ 違うよ!結局は、貞子さんの言う通りなんだ


ζ(゚ー゚*ζ 私たちは出来ることを一つずつしていくしかないの!
       そうすれば、いつかきっと、いい方向へ向かうの




258 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 20:12:46 ID:iPgCJlng0

('A`)


('∀`) ま、そういうもんか!

ζ(゚ー゚*ζ うん!


ドクオたちはひとしきり笑い合ってから、ゆっくりと歩き出した。

これから何が待ち受けるかわからない冒険。
それは最初からずっとそうだった。

今はただ、自分たちが歩んできた今までと、
希望に満ちた明日を信じて、歩くだけだった。



門番「こらあああああお前ら誰一人50万G払ってねえだろ!!!」


(;'A`) しまった!ばれた!

ζ(゚ー゚;ζ 今こそフラグ回避の全力ダッシュだね!

(;'∀`) その通りだ!

 × 歩くだけだった。 ○ 全力ダッシュだった。




259 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 20:14:41 ID:iPgCJlng0



川ー川 頑張ってね。ショボン。モララー。ドクオ。デレ





そして、東へ。




所持金 38G

 (#)A`) レベル10 勇者
 HP58/72
 MP0

 ζ(゚ー゚*ζ レベル11 踊り子
 HP55/55
 MP0


続く


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