('∀`)勇者30174のようです 三十一話
859 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 10:51:37 ID:f4NIl4a.0

【前回までのあらすじ】

アイリス 旅立ち

イギス 西の塔 攻略

オスドニア大陸上陸

ウラヌス王国 王様のイベントから逃亡

エミジア廃鉱にて メタルスライムでレベルアップ

オスカーテルミノ 魔法使いと出会う

カールモンキー ギャンブルで大敗
占い師 貞子から助言をもらい東へ

荒巻コピーと出会いギャリバン地方に到達

妖精の森から妖精の国へ 氷の女王を撃破

魔法少女渡辺さんと、ベビーパンサーに出会う

キーリカ砂漠で遭難しかけるもクラウンへ到着
サンドワームを(母者が)撃破





860 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 10:53:10 ID:f4NIl4a.0

ケブ地方のコリカコルルカへ到着 勇者ギルド本部
サンドラ城のブラッディマリー撃破

ジェルミア王国でアホ王子と出会う
ジェリーマンが大臣になりモンスターと共存する国へ

荒巻コピー三体目に北へ行くと言われるがシカト

トンネル内で何者かに連れ去られる←いまここ

一言:ピンチ!




862 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 10:55:19 ID:f4NIl4a.0

所持金 0G

 ('A`) レベル28 勇者
 HP146/185
 MP0

 ζ(゚ー゚*ζ レベル30 踊り子
 HP140/150
 MP0



 「勇者様!起きて!」


(-A-) ん……デレ?


ζ(゚ー゚;ζ 勇者様!大変だよ!

('A`) おー…?どうした…?


ζ(゚ー゚;ζ 私たち、誘拐されちゃったみたい!

(;゚A゚) え……うわっ!




863 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:01:40 ID:f4NIl4a.0

目を覚ましたとき、そこは牢獄だった。
ろうそくの明かりがか細く揺れているだけの、薄暗い石の牢に二人は捕らえられている。


(;゚A゚) な、何だここは!?

ζ(゚ー゚;ζ わかんない…

(;'A`) あっ、装備が無くなってる!金もふくろも無い!

ζ(゚ー゚;ζ そうなの。全部取られちゃってて…あとね、体が上手く動かないの

(;'A`) うっ…

デレの言う通りだった。

立ち上がったり、歩くことは簡単だったが、体の動きがかなり鈍っている感じがする。
痺れ薬を盛られたようだ。


盗賊「おい、うるさいぞ」


牢獄の外にいる粗暴な男が二人をたしなめる。
格好を見て、盗賊だとわかった。




864 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:05:27 ID:f4NIl4a.0

(;'A`) 俺たちをどうするつもりだ…?


盗賊「まあ…生きて帰れないことは確かだな」


(;゚A゚)ヒィィィィィィィィィィィィィ!

ζ(゚ー゚;ζ お金なら取ったでしょ!

盗賊「俺たちが本当に欲しいのは金じゃない」

(;'A`) ということは…


(;゚A゚) まさか俺の肉体美に惚れて…!?イヤァァァ!

盗賊「お前にそういう用事はねえよ!クク、まあその時になればわかるさ」

ζ(゚ー゚;ζ 早く帰してよぉ

盗賊「へへ、お前は特別可愛がってやるからな。期待しとけよ」

ζ(゚ー゚;ζ うぅ…


盗賊はデレの体を見ながら、舌なめずりをした。




865 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:09:53 ID:f4NIl4a.0


盗賊「おい、新しい勇者が来たらしいぞ」


盗賊「そうか、運ぶのを手伝おう」



そのとき、別の盗賊が牢獄にやってきて、
看守役らしき盗賊はその者と何処かへ行ってしまった。

(;'A`) やばいことになった…一体何なんだ…



 「こんな低俗な奴らに捕まるなんて、勇者失格だね」


(;'A`) …!?誰…だ?

ζ(゚ー゚;ζ 聞いたことある声…


 「この声を忘れたのか?ならば教えてやろう」




866 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:14:18 ID:f4NIl4a.0



 頭脳明晰! 威風堂々! 人間万事塞翁が馬!



(´・ω・`) アルティメット勇者ショボン様とは僕のことさ!




|(|・|ω|・|)|



(;'A`)  ζ(゚ー゚;ζ



ショボンは向かい側の牢屋にいた。


(;'A`) お前も捕まってんじゃねえか!

(;´・ω・) 道ばたに落ちていたプリンを食べたら、意識を失ってしまったんだ
      何て巧妙な罠を!

(;'A`) お前頭脳明晰じゃねえだろ!




868 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:17:44 ID:f4NIl4a.0


( ^Д^) どうやらここは、カンダタのアジトらしいぜ

(*゚−゚) 私たち、どうなっちゃうんだろ…

(,,゚Д゚) 旅も終わりかゴルァ…


(;´・ω・) こら、弱気なことを言うな!
     今スーパーコンピュータを搭載した僕の頭脳が解決策を導こうとしているんだ!



(;'A`) カンダタ…勇者狩りか…!
    ということは、俺たち殺されちまうのかよー!

ζ(゚ー゚;ζ お金取ったんだから命まで取らなくてもいいのに…!



(´・ω・`) ふむ…そこなんだ、僕が気になっているのは


(´・ω・`) カンダタといえば昔からいる有名な盗賊だが、数年前から勇者狩りなるものを始めた
     もしかすると、彼らは金品以外の何かを勇者パーティから集めようとしているのかもしれない

(;'A`) 金品以外って…俺にはこの肉体美しかないが




869 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:21:50 ID:f4NIl4a.0

(´・ω・`) 例えば貴重なアイテムや…もしかすると、それ以外の…
      物ではない、別の何かかもしれない

('A`) 物ではないって…何だ?

(´・ω・`) ………この美しい肉体とかかな

( ^Д^) あっちの勇者と同じレベルだぞ、ショボン



(;´・ω・) とにかく脱出策を考えねば!
     このままだと僕の栄光なる勇者ロードが終わりを告げてしまう!

ζ(゚ー゚;ζ でも闘おうにも、装備が無いし、体は痺れてるし…


(;'A`) モララーさんとかが颯爽と助けてくれないかな?

(´・ω・`) そういえばこの前彼に会ったぞ
     船を手に入れたらしく、最近はずっと海上にいるらしい

(;'∀`) あら優雅な旅でつね…



やがて盗賊の集団が牢獄へとやってきた。




870 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:27:14 ID:f4NIl4a.0


盗賊「出ろ!カンダタ様の所へ連れていく!」

盗賊「おら、きびきび歩け!」


(;´・ω・) 痛い!僕は将来魔王を倒す予定の伝説の勇者なんだぞ!
      もっと丁重に扱え!

盗賊「残念だったな。それは来世の話だ」

(´;ω;`) うぉーん!いやじゃああ!わしゃまだ旅がしたいんじゃー!

盗賊「うるせえ!さっさと歩け!」



ドクオたちは手錠をかけられ、引っ立てられながら連れて行かれる。

曲がりくねった迷路のような通路を歩かされると、
やがて広い部屋に突き当たった。


部屋の中には勇者たちから巻き上げたものであろう、
装備品や金品が散らばっている。


盗賊「親分、連れてきやした」




871 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:31:05 ID:f4NIl4a.0


部屋の中心にある台座に、大柄な覆面の男が座っている。



カンダタ「ふははは!大漁じゃないか!」


(;´・ω・) 僕たちをどうする気だ!

カンダタ「そうだな…男はすぐにでも死んでもらおう
     女は…まあ、言わずともわかるだろう?」

(*;゚ー゚) うっ…


ζ(゚ー゚;ζ もしかして、家事手伝いとかしなきゃいけないの!?
      絶対やらないわよ!勇者様が死んだら私も死ぬ!

カンダタ「頭の中平和か!察せよ!」



(;'A`)(あれは…何だ?)

ドクオの目線は、カンダタが座っている台座の後方に向いていた。




872 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:35:14 ID:f4NIl4a.0

何かの機関に見える、仰々しい装置だった。

鉄で出来た巨大なタルのような外見で、
人が中に入れそうな扉がついている。


カンダタ「俺の後ろに装置が見えるだろう?
      男共はすぐにその中に入ってもらおう。女共は俺たちが楽しんだあとだ」

( ;^Д^) そりゃ何だ?サウナか?

(´・ω・`) 何だサウナか。僕が一番に入るぞ


カンダタ「これは魔力を全て吸っちまう装置だ。入ったらもちろん死ぬ」

(;´・ω・) 僕は体調が悪いから後日入らせてもらおうかな!うん!

カンダタ「安心しろ、体調は関係ない」

(´゚ω゚`) いやだあああああ!


(;'A`) 魔力を集めてるのか?どうして…

カンダタ「ククク、これから死ぬやつには関係ないだろ」




873 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:40:21 ID:f4NIl4a.0

(;'A`) お前…もしかして……


カンダタ「ククク…」

カンダタ(これくらい集められれば、あの方も満足してくれるだろう)


盗賊「さっさと中に入れ!そこの垂れ眉毛からだ!」


(`・ω・´)


盗賊「急にキリッとしても無駄だ!」

(´;ω;`) やーめーろーやー!
     未来のスーパースターをこんな所で失ってもいいのか!?

盗賊「知るか!俺たちゃただ褒美がもらえればいいだけだ」


カンダタ「勇者…か。ククク、今の時代、そんなもん時代遅れなんだよ」

(;'A`) わかった!お前、魔族だな…!


ζ(゚ー゚;ζ え!?




874 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:44:00 ID:f4NIl4a.0

(*;゚ー゚) 魔族!?

(,;゚Д゚) こ、こいつが!?


(;'A`) 変な「臭い」がするぜ…!
    人間以外の気配がぷんぷんしやがる!


カンダタ「おー、中々鋭いね。だが残念ながら俺は人間だ」

(;'A`) でも…

カンダタ「臭い…ククク。もしかすると、ついてるかもな」



(;´・ω・) まさか、お前のバックについてるのは………ん?

カンダタ「…?地震か?」


アジト全体が揺れているようだ。

すぐに収まるかと思った揺れは次第に激しくなり、
天井や壁に小さな亀裂が走ってきた。




875 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:50:00 ID:f4NIl4a.0

カンダタ「な、何だ!?」

(((;'A`)) うお、おおおおお!?

((((´゚ω゚`)))) じじじじ次元の法則がみみみみみ乱れるるるるるるるるる


アジトが倒壊してしまうのではないかと思ってしまう程の激しい揺れ方だ。
揺れはかなりの長時間に渡って続き、唐突に収まった。


盗賊「親分大変だ!さっき運び込んだ勇者が…!」


揺れが収まるのとほぼ同時に、盗賊の一人が部屋に駆け込んでくる。

彼は全てを言い終わる前に、その場に崩れ落ちた。


カンダタ「む……っ!?」


倒れた盗賊の後ろから、一人の女が顔を出す。


 「カンダタってのは、誰?」




876 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:53:15 ID:f4NIl4a.0

カンダタ「誰だ…貴様!」



('、`*川 あんたが、カンダタ?



部屋にはカンダタだけでなく、十人以上の盗賊たちもいる。
だが彼女は気にも留めていないようだ。


ζ(゚ー゚;ζ あっ…あの人、以前どこかで…

(;'A`) え……あ!


(;゚A゚) 俺がおっぱい見たお姉ちゃんだ!


('、`;川 ………………

部屋の空気が固まった。


ζ(゚、゚;ζ ど、どういう覚え方してるのよ!

(;'A`) すまん…頭の中に浮かんできたんや…男のサガなんや…




877 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 11:56:42 ID:f4NIl4a.0

(´・ω・`) ふむ、詳しく聞かせてもらおう

(,;゚Д゚) 今そんなことやってる場合か!



カンダタ「つ、捕まった振りをしてここまでやってきたのか…!
     おまえら、やっちまえ!」

盗賊「うおおお!」


('、`*川 邪魔…


(;゚A゚) …っ!?



女が片手を上げたと思った瞬間、まばゆい閃光が起こった。

目が光に慣れたときには、部屋にいた盗賊は全て気絶していた。


(;゚A゚) つ……強い…!

(;´・ω・) 今のは魔法…じゃない。魔力を解放しただけだ…!
      凄まじい魔力だ!人間業じゃない…




878 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 12:01:13 ID:f4NIl4a.0

('、`*川 さあ、出しなさい

カンダタ「な、何を…」

('、`*川 聞いたわ。あんたが「聖なるオーブ」を持ってるって


カンダタ「聖なるオーブ……?あの光る玉のことか?」


('、`*川 早く、出しなさい

カンダタ「うぅ……ぐっ……」



カンダタは決して弱くない。
ならず者たちを纏め巨大な組織を作り、統括できる知力と戦闘力を備えている。

それ以上に、この女は圧倒的であった。


('、`*川 あと一度しか訊かない

カンダタ「ちょ、ちょっと待っ…!」

('、`*川 聖なるオーブを、出しなさい




879 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 12:04:42 ID:f4NIl4a.0

 「んー、乱暴はよくないねえ」


('、`*川 …!



男は、誰にも悟られることなく、いつの間にか部屋に入っていた。



(;´・ω・) 新手か!

(;'A`) うっ…

ζ(゚ー゚;ζ な…何…体が震えてくる…


デレと同じ感覚を、ドクオたちは皆共有していた。


('・ι_,・`) その辺で見逃してやってもらえないかね?


人間に近い姿をしているが、肌は青白く、
笑みに歪む口元から尖った牙がむき出しになっている。




880 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 12:07:57 ID:f4NIl4a.0

圧倒的な魔力を持つ女でさえ、うかつに踏み込めないでいた。

それほどまでに、この男は強かった。


('・ι_,・`) 初めまして、勇者諸君。私はドヤ―――――魔族だ



所持金 0G

 ('A`) レベル28 勇者
 HP146/185
 MP0

 ζ(゚ー゚*ζ レベル30 踊り子
 HP140/150
 MP0

続く


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