('∀`)勇者30174のようです 三十三話
915 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:03:02 ID:eiS7lRGM0

【前回までのあらすじ】

アイリス 旅立ち

イギス 西の塔 攻略

オスドニア大陸上陸

ウラヌス王国 王様のイベントから逃亡

エミジア廃鉱にて メタルスライムでレベルアップ

オスカーテルミノ 魔法使いと出会う

カールモンキー ギャンブルで大敗
占い師 貞子から助言をもらい東へ

荒巻コピーと出会いギャリバン地方に到達

妖精の森から妖精の国へ 氷の女王を撃破

魔法少女渡辺さんと、ベビーパンサーに出会う

キーリカ砂漠で遭難しかけるもクラウンへ到着
サンドワームを(母者が)撃破





917 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:04:23 ID:eiS7lRGM0

ケブ地方のコリカコルルカへ到着 勇者ギルド本部
サンドラ城のブラッディマリー撃破

ジェルミア王国でアホ王子と出会う
ジェリーマンが大臣になりモンスターと共存する国へ

荒巻コピー三体目に北へ行くと言われるがシカト

カンダタたちに連れ去られる 魔族のガヤと謎の魔法使いに遭遇
悟りの書を入手する

新たなる大陸へ向かうため 港を探す

一言:この世界には変人が多い




918 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:09:14 ID:eiS7lRGM0

所持金 1321G

 ('A`) レベル29 勇者
 HP175/192
 MP0

 ζ(゚ー゚*ζ レベル30 踊り子
 HP112/150
 MP0


ドクオたちは、海賊の国、スジャータ王国へたどり着いた。

千隻以上の船があり、水揚げ量で世界一を誇るスジャータ王国には、
清く正しい海賊たちでひしめき合っていた。

海賊の仕事とは「モンスターと戦い」、「魚を捕獲」することである。
屈強な海の男たちでなければできない仕事なのだ。



('A`) おー、たくさん船があるな

ζ(゚ー゚*ζ ねえ、けっこうお金あるし、一隻くらい買えないかな?

('A`) 船を買うとなると、船員も雇わないと駄目だろうからな…
    でもまあ、一応船の値段を聞いてみるか




919 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:12:54 ID:eiS7lRGM0

海賊「船?ああ、余ってるやつでいいなら、30万Gで売ってやるよ」

(゚A゚)

海賊「運がよかったな。本当はもうちょっと高いんだが、何せ今は…」

(゚A゚) 1000Gくらいにまけてもらえないっすかね…

海賊「すげえ強気に出たな!最初に諦めろよ!」



(;'A`) 駄目だー!やっぱり高い!小さい小舟でも一万Gはする!
    現実的に考えれば、まあそうなるか…

ζ(゚ー゚;ζ モララーさんはどうやって船を買ったんだろう?

(;'A`) さあ…お金貯めてたんじゃねえの?


船を買うのは諦めて、乗せてもらえる船を探し始めた。

しかしどの海賊に頼んでも、船には乗せてもらえない。
皆、何故か海に出るのを渋っているようだ。




920 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:17:00 ID:eiS7lRGM0

仕方なく宿屋にチェックインして、王様の所へ向かう。

スジャータ王国の城は外壁が水色に塗られていた。

兵士たちの鎧も全て青系の色で統一されている。
海に対する信仰が深いスジャータ王国ならではの文化であった。



王様「勇者様か、よく来てくれた。歓迎するよ」

('A`) 不躾で悪いんだが、東の大陸へ渡りたいんだ
    よかったら船とか出してもらえないかな?

王様「む…構いませんが…今はちょっと無理ですじゃ」

('A`) 無理?そういえば海賊たちも、時期が悪いとか今は駄目とか言ってたけど…



王様「勇者様は…幽霊船の話はご存じかな?」


(;'A`) 幽霊船!?

ζ(゚ー゚;ζ そ、そんなのがあるの!?




922 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:20:19 ID:eiS7lRGM0

王様「うむ。以前から目撃情報はあったんじゃが、噂の程度じゃった。
   しかし最近はますます影が強くなってきて、海賊たちは海に出たがらなくなったのじゃ」


(;'A`) 幽霊船か…そりゃ海には行きたくなくなるわ

ζ(゚ー゚;ζ よく船を難破させるとかいうもんね

(;'A`) あれだ、底の空いたひしゃくを投げるといいってやつだ

王様「それはなんか別のやつのような気が…」



 「勇者が来てんのか!?」

兵士「い、行けません!ただいま王とお話をしておりますので!」

 「うるせえ!話があんだよ!」


(;'A`) ? ζ(゚ー゚;ζ


急に入口の辺りが騒がしくなる。

間もなく扉が開き、どたどたと中へ入ってくる者がいた。




923 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:23:36 ID:eiS7lRGM0


从*゚∀从 勇者!お前みたいな奴を待ってたんだよ!
     俺と一緒に海に出て、幽霊船を退治しようぜ!


(;゚A゚) …えーっと

ζ(゚ー゚;ζ ……お姫…さま?


言葉遣いは乱暴だが、着ているドレスや風貌は、姫としか思えなかった。


从 ゚∀从 おっと、わりぃわりぃ。俺はハイン。海の男だ!

(;'A`) 女じゃん…

ζ(゚ー゚;ζ 女の子だよね?

王様「娘です…」


从;゚∀从 おいこら!俺が海の男っつったらそうなんだよ!


王様「勇者殿…少しお話を聞いてもらえるかな」

(;'A`) は、はあ




924 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:30:18 ID:eiS7lRGM0

王様「この通り、娘は海の男に憧れて、このような血迷ったことを言っているのです…。
    しかし、幽霊船の問題は深刻じゃ。このままでは我が国の経済は貧窮してしまう」


王様「お願いです!海賊たちと共に、幽霊船を退治してくだされ!」



(;'A`) で、でも幽霊船って…モンスターじゃないなら、退治できないぜ?

从 ゚∀从 おいおい、勇者と海の男が幽霊にびびってちゃ話にならねえ!
     俺とお前が組んで、幽霊退治だ!

(;'A`) 女じゃん…

王様「娘じゃん…お前は駄目だ!」

从;゚∀从 なんでだよ!

王様「当たり前じゃ!一国の姫が海に出るなど、あっちゃならん!」


从;゚∀从 ぐぐぐぐ…あーそうですかと黙って退く俺じゃねえぞ!


从 ゚∀从 こちとら二歳の頃からずっと海賊に囲まれて育ったんだ!
     毎日海を見て、波の音を聴いて、潮の匂いを嗅いで育ったんだぞ!




927 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:33:59 ID:eiS7lRGM0

从 ゚∀从 これで海に出なきゃ、俺は男じゃねえぜ!


(;'A`) 女じゃん…

王様「娘じゃん…」

ζ(゚ー゚*ζ 素敵なドレスね〜


从 ゚∀从 頼むよぉ親父…一度でいい。海に出てみたいんだ…

王様「む……お前の気持ちもわかるが…しかし、仮にも一国の姫が…」



兵士「ちょ、ちょっとあんたたち!入ったら駄目だ!」

 「うるせえ!」

 「キャプテンがここにいるんだ!」


(;'A`) また何か来るぞ…


今度扉を蹴破ってきたのは、港でよくみた海賊たちであった。




928 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:36:17 ID:eiS7lRGM0


海賊「失礼します!」



从 ゚∀从 おまえら…!



王様「誰じゃ貴様ら!勝手に王の部屋に入るなど…」

海賊「お願いです!キャプテンを…ハインキャプテンを海に出させてやって下さい!」

王様「なんじゃとぉ…?」


海賊「キャプテンは、誰よりも海を愛している、海の男だ!」


王様「娘じゃん…」


海賊「体は女でも、魂は海の男なんです!」

海賊「必ず俺たちが身を守ります!一度でいいんです!」

海賊「お願いします!」




929 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:38:48 ID:eiS7lRGM0

从 ;∀从 クッ…届いたぜ!お前らの熱いハートが!

海賊「キャプテン…!」


王様「ふ…ふふ、わかった!」

海賊「王様!じゃあ…」

王様「幽霊船退治、お主らと勇者殿に任せよう!」

('A`) え


从 ゚∀从 よぉーし!出港は明日だ!今日は朝まで飲むぞ!

王様「ふふふ…わしの若い頃を思い出すな」

('A`) え



 ドクオたちは イベントに回り込まれてしまった!




931 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:42:17 ID:eiS7lRGM0

(;>'A`)> 何故だ…!


从 ゚∀从 というわけだ。改めて自己紹介するぜ
      俺はハイン!大海原を駆ける海の男だ!

(;'A`) 女じゃん…俺はドクオ
    いますぐ全力ダッシュで何処か遠くに行きたい男だ…

ζ(゚ー゚*ζ 私はデレです。よろしくです


从 ゚∀从 おっと…最初に言っておくが、明日の討伐には、あんたは参加できない

ζ(゚ー゚;ζ え、どうして!?


从 ゚∀从 なぜなら、海は男のロマンだからだ!
      女が入っていい世界じゃないんだよ!

ζ(゚ー゚;ζ …………うん、わかった


 デレは 突っ込みたい!
 しかし 気力が無かった!




933 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:47:08 ID:eiS7lRGM0


その日、ハインと海賊たちは、前夜祭と称して大規模な宴会を行った。


从*゚∀从 よっしゃー!俺の裸踊りを見せてやるぜ!

海賊「キャプテン!それだけはやめて!」

海賊「誰かキャプテンを止めろ!」

(;'∀`) うぇーい俺も脱ぐぜー!(やけくそ)



ドクオは強制的に参加させられていたが、
この場でもデレは女だからという理由で外されてしまった。

ζ(゚ー゚;ζ 幽霊船を退治しないと船は出せないから、仕方ないにしても…
      どうして私は行っちゃ駄目なのよぉー


ζ(゚−゚*ζ つまんない…ちぇ

デレは一人、真夜中の静けさに包まれた波止場に来ていた。


ζ(゚−゚*ζ(あの星が勇者様で…隣にあるのが…)




934 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:50:34 ID:eiS7lRGM0


 「こっちみんな…」


ζ(゚ー゚;ζ こっちみんなって何!?


ミセ;゚ー゚)リ え!?



ミセ;゚ー゚)リ    ζ(゚ー゚;ζ


ミセ*゚ー゚)リ    ζ(゚ー゚*ζ



ζ(゚ー゚*ζ ど、どうも…

ミセ*゚ー゚)リ あ…こんばんは…


星を見ていたデレの隣に、いつの間にか一人の女がいた。
彼女はデレと違って、海を見ていたようだ。

ζ(゚ー゚*ζ あのぅ、この国の人ですよね?




936 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:53:28 ID:eiS7lRGM0

ミセ*゚ー゚)リ ええ、そうよ

ζ(゚ー゚*ζ もしかして、あなたも海の男…?

ミセ;゚ー゚)リ はい?あの…男に見えました?

ζ(゚ー゚;ζ いえ!とんでもありません!ごめんなさいです!


ミセ*゚ー゚)リ でも…そう、この国は海の男だらけ
      私の恋人も、海の男、海賊なのよ

ζ(゚ー゚*ζ へーそうなんですか!


ζ(゚ー゚*ζ


ζ(゚ー゚*ζ 私は勇者様と旅してます!

妙な対抗意識を燃やす踊り子デレ。


ミセ*゚ー゚)リ そうだったんだ!ただの旅人っぽくないとは思ってたけど…若いのに凄いわね

ζ(^ー^*ζ でっへっへっへ




938 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:56:54 ID:eiS7lRGM0

ミセ*゚ー゚)リ 私はミセリ

ζ(゚ー゚*ζ あっ…私はデレでふ!


ミセ*゚ー゚)リ ところで、勇者さんは何処に?

ζ(゚−゚*ζ 今飲んでます…私を置いて

ミセ*゚−゚)リ やあねえ。女を待たせるなんて、酷い男

ζ(゚、゚*ζ ほんとそう!私も飲みたい!


ミセ*゚ー゚)リ …でも、また会えるから、いいじゃない

ζ(゚ー゚*ζ …?


ミセ*゚ー゚)リ 私も、恋人に会いたい…ずっと長い間、会っていないの

ζ(゚ー゚*ζ だったら…会いに行きましょうよ!

ミセ*゚ー゚)リ でも、あの人は海にいるの

ζ(゚ー゚;ζ う…それは無理っぽい…




939 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 17:59:50 ID:eiS7lRGM0

ミセ*゚ー゚)リ 凄く近くまで来ているはずなんだけど…
      あの人は海の男。船を下りないのよ

ζ(゚ー゚*ζ あ…近いなら、会いに行こうと思えば行けるんじゃないかな!

ミセ*゚ー゚)リ 行けるかなー?

ζ(゚ー゚*ζ 行けるよ!


ζ(゚ー゚*ζ そこら辺の小舟をちょっと拝借すれば…

ミセ;゚ー゚)リ 本当に勇者パーティの人なの?

旅を経て妙な強さを得た踊り子デレ。


ミセ*゚ー゚)リ …でも…でも!会いたい…私…!


ミセ*゚ー゚)リ ねえ!一緒に船を出してくれない!?

ζ(゚ー゚;ζ え!?

ミセ*゚ー゚)リ 会いたいの!あの人に!




940 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 18:03:16 ID:eiS7lRGM0

ミセ*゚ー゚)リ お願い……………

ζ(゚、゚;ζ …………………


女だからなのか、それとも今一人でいて寂しい気持ちがわかっているからなのか、
デレは断ることができなかった。

ζ(゚ー゚*ζ じゃあ…明日、正午ごろ、ここで落ち合いましょう!

ミセ*゚ー゚)リ ありがとう!旅の邪魔してごめんね

ζ(゚ー゚*ζ いいの!どうせ明日は暇だもん


ミセ*^ー^)リ じゃあね、デレ


ζ(゚ー゚*ζ(ふふん、明日だけは私も海の男だよ!)


ζ(゚ー゚*ζ あ、そうだ!ミセリさん船の名前は何に…



          ζ(゚ー゚*ζ ………?




941 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 18:05:06 ID:eiS7lRGM0

振り返ったとき、既にミセリの姿はなかった。


ζ(゚ー゚;ζ ……?


気温も低くないのに、どこか寒気を感じたデレは、足早に宿屋へ戻っていった。



所持金 1301G

 (゚A゚) レベル29 勇者
 HP32/192 ←
 MP0

 ζ(゚ー゚*ζ レベル30 踊り子
 HP150/150
 MP0

続く


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