('∀`)勇者30174のようです 三十八話2
141 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 20:55:30 ID:O9D2vOT20

【前回までのあらすじ】

アイリス 旅立ち

イギス 西の塔 攻略

オスドニア大陸上陸

ウラヌス王国 王様のイベントから逃亡

エミジア廃鉱にて メタルスライムでレベルアップ

オスカーテルミノ 魔法使いと出会う

カールモンキー ギャンブルで大敗
占い師 貞子から助言をもらい東へ

荒巻コピーと出会いギャリバン地方に到達

妖精の森から妖精の国へ 氷の女王を撃破

魔法少女渡辺さんと、ベビーパンサーに出会う

キーリカ砂漠で遭難しかけるもクラウンへ到着
サンドワームを(母者が)撃破





142 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 20:58:11 ID:O9D2vOT20

ケブ地方のコリカコルルカへ到着 勇者ギルド本部
サンドラ城のブラッディマリー撃破

ジェルミア王国でアホ王子と出会う
ジェリーマンが大臣になりモンスターと共存する国へ

荒巻コピー三体目に北へ行くと言われるがシカト

カンダタたちに連れ去られる 魔族のドヤと謎の魔法使いに遭遇
悟りの書を入手する

海賊の国スジャータ王国でハインと幽霊船退治 ミセ*゚3(゚д゚ )

難破した先でルドマン開催の武闘大会が開かれていた
挫折したモララーが再び立ち上がる 一方ドクオフルボッコ

セルヴァ大陸上陸 ソーヤ地方のダディ神殿へ
オスドニア大陸北部にある修行の里へ行けと言われる

とりあえず北上しチェルノヤリスク地方へ ←いまここ

一言:幕間




145 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 21:02:17 ID:O9D2vOT20

所持金 2905G

 ('A`) レベル34 勇者
 HP187/214
 MP0

 ζ(゚ー゚*ζ レベル35 踊り子
 HP144/165
 MP0


魔界―――――――。

魔王城の一室、天井が高く、広く設計された部屋で、一人の魔族が
せっせと装置をいじっていた。


(=゚ω゚)ノ ふぅ。完成までまだかかりそうだよぅ

【+  】ゞ゚) 一体それは何の装置なのですか、ぃょぅ博士

(=;゚ω゚)ノ お、オサム様!?ここは立ち入り禁止ですよぅ!

【+  】ゞ゚) ……前々から気になってたんですよ
       わざわざ人間たちの魔力を集めて、何をやろうとしているのか


オサムは壁と同化している巨大な装置を見上げて言った。




146 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 21:07:22 ID:O9D2vOT20

(=;゚ω゚)ノ こ、これは極秘プロジェクトなんですよぅ!
      僕と魔王様だけの秘密なんですよぅ!

【+  】ゞ゚) ふうん。まあ、それでしたら詮索はしないようにしておきます
       ああ、そうそう。しばらく消えるので、魔王様にそう仰っておいて下さいます?

(=゚ω゚)ノ 何処か行かれるんですかよぅ?


オサムは黒いマントを翻した。

マントの中に包まれたかと思うと、空中でふわりと消えてしまった。


 「まあ――――ちょっとした里帰りです」



(=;゚ω゚)ノ(うーん、よくわからない方だよぅ)

オサムの気配が完全に消えると、ぃょぅ博士はまた作業に戻った。




その頃ドクオたちは、チェルノヤリスク地方特有の唐突な吹雪に襲われていた。

(;'A`) デレー!何処だー!?




147 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 21:11:11 ID:O9D2vOT20


ζ(゚ー゚;ζ こっちよー!


(;'A`) そこか!離れないように手を繋ぐぞ!

ζ(゚ー゚;ζ う、うん!


吹雪は凄まじく、目の前のすぐ先が見えなくなるほどだ。
足下に積もった雪でただ歩くのもおぼつかない。


二人はちょうどよいほら穴を見つけたので、その中に避難した。
吹き込む吹雪に当たらないよう、奥に陣取って腰を下ろす。

(;'A`) 吹雪が止むまでここで休憩だな

ζ(゚ー゚;ζ びっくりしたね。急に吹雪くんだもん

('A`) 勇者マニュアルに書いてあった通りだ


【勇者マニュアル】

〜チェルノヤリスク編〜

雪やばい。




149 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 21:15:05 ID:O9D2vOT20

荷物の中から野営キットを取りだし、ランプをつけてほら穴を照らす。

あらかじめ集めておいた薪を組んで、火打ち石でたき火を起こした。
二人は毛布にくるまり、寄り添い合って火に当たった。


('A`) …その本、まだ持ってたか


デレの荷物の中に、古びた本を見つけてドクオが呟く。


ζ(゚ー゚*ζ うん。何だか捨てられなくて

('A`) 何が書いてあるんだ?

ζ(゚ー゚*ζ まだ開けてないの

('A`) え、どうして?


ζ(゚ー゚*ζ 不思議なんだけど…開けようとすると、本が光るの
       そのまま中に吸い込まれちゃいそうになるから、怖くて開けられないの

(;'A`) えー?まさか呪いの本じゃ…

ζ(゚ー゚;ζ ち、違うよ。たぶん…。光はするけど、何だか暖かい感じがするし…




150 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 21:17:59 ID:O9D2vOT20

デレが本を手に取る。
確かにデレが触れた途端、本が淡い光を放ち始めた。


(;'A`) うへえ、怖いな。開けた瞬間爆発してドリフヘアーっていうオチじゃないだろうな

ζ(゚ー゚;ζ 爆発したらそれで済みそうにないけど……ハクシュッ

('A`) まだ寒いか?

ζ(゚ー゚*ζ うん…もうちょっとそっち寄っていい?

(;'A`) お…おお



デレがドクオの傍によると、お互いの呼吸が聞こえるほど距離が近くなった。


('A`)(あぁ…ええ匂いや…)

ζ(゚ー゚*ζ 勇者様も暖かいね…

二人はしばらく無言になった。




151 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 21:23:50 ID:O9D2vOT20

('A`) 思えば、遠くまで来たな

ζ(゚ー゚*ζ 旅に出るまで、私はアイリスしか知らなかったけど、
       色んな町に行けてすごい楽しいよ

('A`) 俺はきっついダンジョンの思い出と、森と海と砂漠で遭難した記憶の方が濃いな…

ζ(゚ー゚;ζ 楽しいことの方が多かったよ!
       変な王子とか、変な姫とか、変な勇者とか…あれ?

(;'A`) どんだけ変人に出会ってんだ俺たち

ζ(゚ー゚*ζ る、類友…?

(;'A`) いーや、あいつらに比べればまだマシ…だと思いたい


ζ(゚ー゚*ζ ……………

('A`) ……………


旅に出てから、随分と長い間一緒にいる。

デレはもう敬語は使っていない。
お互いが無言でも、既に気にならない。




152 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 21:26:53 ID:O9D2vOT20

ζ(゚ー゚*ζ 勇者様は……あの…付き合ったこととか、ある?

(;'A`) あると思う?

ζ(゚ー゚;ζ わ、わかんない…

('A`) ……お、お前は…?

ζ(゚ー゚*ζ 無いよ……一度も

('∀`) そ、そうかそうか


ζ(゚ー゚*ζ …肩ちょうだい

('∀`) おう


デレはドクオの肩に頭を乗せた。
冷え切っていた体も、いつのまにか体温を取り戻してきた。



そんな彼らを見つめる三匹の影があった。

 「お、おい。お前から行けよ…」

 「何でだよ!お前が先行けって!」




153 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 21:30:11 ID:O9D2vOT20

彼らはこの地方のモンスターである。


ビッグスロース「同時に行こうぜ!いっせーのーでで…」

とつげきへい「ちょっと待て!いーっせーのでの、で、で行くのか?での後に行くのか?」

キメラ「めんどくせえよ!適当にやれよ!」

とつげきへい「適当にやったら俺が一番最初になるじゃねえか!」

キメラ「いいじゃねえか別に!」


とつげきへい「じゃ、じゃあお前、あの空間に突っ込めるのか!?」



   ('∀`)(^ー^*ζ



ほら穴の奥で寄り添う二人が、時折言葉を交わして笑い合っているのが見える。


キメラ「……いや、俺は嫌だけど」

とつげきへい「俺も嫌なんだよ!」




156 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 21:33:05 ID:O9D2vOT20

キメラ「じゃあビッグスロースから行けよ」

ビッグスロース「だから何で俺なんだよ!」

とつげきへい「お前雪男っぽいから急に出てきても違和感ねえだろ」

ビッグスロース「そういう問題じゃねえんだよ!」

キメラ「あ、あ、あ、キスしそう!」

とつげきへい「え!?」

キメラ「あっ!……あー、しなかった」

ビッグスロース「あっぶねー…心折れそうになったわ」




ζ(゚ー゚*ζ 魔王を倒したら…どうする?

('A`) そうだな…また、旅を続けたいな

ζ(゚ー゚*ζ 私も一緒に…?

('∀`) 当たり前だろ?

ζ(^ー^*ζ でへへへへ




157 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 21:35:59 ID:O9D2vOT20

キメラ「うわ…めっちゃ笑ってる」

ビッグスロース「いいなあ…いいなあぁー…」

とつげきへい「どうして俺はこんな奴らと一緒にいるんだろう…」

キメラ「俺の台詞だ!何が悲しくて雪男とのっぽさんと一緒に行動しなきゃいけねえんだ!」

ビッグスロース「俺は雪男に似てるだけで雪男じゃねえからな!」

とつげきへい「誰がのっぽさんだてめえ!何にも作れねえぞ!むしろ不器用だぞ!」



ζ(゚ー゚*ζ 眠くなってきちゃった…眠ったら危ないかな?

('A`) 俺が火をみとくから、先に寝ろよ

ζ(゚ー゚*ζ ありがとう…んしょ

(;'A`) お、おい



キメラ「あーっ!」

とつげきへい「今度は何だよ!?」




158 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 21:39:06 ID:O9D2vOT20

キメラ「ぎゃ…逆膝枕してる!うおっ…羨ましい!俺もしたい!」

ビッグスロース「鳥のくせに目いいな」

とつげきへい「お前膝ねえだろ」

キメラ「襲うならいつだ?今だろ!ほら行け!」

とつげきへい「お前から行けよ!そしたら後に続くから」

キメラ「ぜってぇーこねえだろお前!」

ビッグスロース「行く行く。約束する。俺嘘ついたことないし」

キメラ「まずそれが嘘だろ!」




('A`)(……あいつら、何やってんだ)

ζ(-、-*ζ ん……zz


ドクオの目線の先で、三匹のモンスターはずっと言い争いをしていた。

その間デレはドクオの膝の上で、安らかな寝息を立てていた。




161 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 21:40:56 ID:O9D2vOT20


吹雪が止むまで、旅は休憩だ。

しかしドクオは、少しだけ吹雪が続くことを願った。




所持金 2905G

 ('A`) レベル34 勇者
 HP187/214
 MP0

 ζ(゚ー゚*ζ レベル35 踊り子
 HP144/165
 MP0

続く


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