('∀`)勇者30174のようです 三十九話
173 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 23:08:33 ID:O9D2vOT20

所持金 4630G

 ('A`) レベル35 勇者
 HP201/219
 MP0

 ζ(゚ー゚*ζ レベル36 踊り子
 HP171/171
 MP0


広大な雪原に、二人分の足跡が続いていた。


(;'∀`) …おっ、町っぽいのがあるぞ!

ζ(゚ー゚;ζ ほんと!?


雪のせいで普段の倍以上疲れていたが、
町を見つけたことで疲労も吹き飛ぶ。

遠くに見える町まで、二人は競うように走っていった。




174 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 23:12:43 ID:O9D2vOT20

二人がたどり着いたのは、ツリークという町である。

煉瓦造りの家が並び、コートを着込んだ者たちが道ばたで火を囲んでいる。
あまり大きくはないが、宿屋や酒場はちゃんとある。


宿屋「10Gだよ」

('A`) あいよー

宿屋「お客さん、どこからやってきたの」

ζ(゚ー゚*ζ ダディ神殿から来ました

('A`) 一応勇者っす

宿屋「え……!?」


('A`) ? ζ(゚ー゚*ζ


宿屋「そ、そうかい!はははっ。まあ、ゆっくりしていってよ
    夜になったら酒場に行くといい。美味しい地酒もあるから。ははは」




175 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 23:15:20 ID:O9D2vOT20


勇者はイベントの気配を悟った。



(;'A`) ………



('A`) いや、逃げん!

ζ(゚ー゚*ζ 勇者様、珍しい!

('A`) 逃げてばっかりだったからな。おかげで遠回りすることになっちまった
    今日からは何があろうと俺は逃げんぞ


('A`) 面倒そうなやつでない限りな…!

ζ(゚ー゚;ζ 勇者様、正直!



小さな町なので、観光するような場所はあまりなかった。

そうこうしている内に夜が来る。
二人は言われた通り、町に一軒だけある小さな酒場を訪れた。




176 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 23:19:22 ID:O9D2vOT20


('A`) こ、こんちゃーす

ζ(゚ー゚*ζ こんばんはー…



中に入ると、酒を飲んでいた客全員の手が一瞬止まった。

カウンター席に座っても、ちらちらとこっちに送られてくる視線のせいで、
全く落ち着かなかった。


(;'A`) やっぱ何かありそうだぞ…

ζ(゚ー゚;ζ た、単純に勇者が珍しいだけなのかもよ


マスター「こ、こほん…お客さん、た、旅人っぽくないね…」

('A`) …勇者だけど

マスター「そ、ソウダッタノカー!いやあ、こんな辺鄙な場所によく来てくれた。
      今日はサービスだ。好きなだけ飲んでいいよ」


マスターの態度はどこかおかしい。
やはりこの町は、勇者に対して何かあるようだ。




177 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 23:24:23 ID:O9D2vOT20

('A`) そうだ、勇者マニュアルに何か書いてあるかも…


【勇者マニュアル】

〜ツリーク編〜

セルヴァ大陸北部にあるツリークは、チェルノヤリスク地方でも
比較的気候が穏やかな場所にあり、近くには魚の釣れる大きな湖もある。

かつて湖の上には天空の城があり、天空人、すなわち天使が住んでいた。
竜の長、マスタードラゴンが統治していた国だったが、
現在、天空の城は見ることができない。
落ちちゃったのかな?



(;'A`) かな?…じゃねえよ

ζ(゚ー゚*ζ 天空の城!?素敵だわー。一度見てみたかったなあ

マスター「お客さん、もしかして天空の城に興味あるの?」

ζ(゚ー゚*ζ うん!きっと美しいお城なんでしょうね

マスター「そうとも!あそこは素晴らしい場所さ!地上も中々楽しいが、
      やはり天空から眺める景色が最高だと最近は思ってるね」




179 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 23:26:48 ID:O9D2vOT20

(;'A`)  ζ(゚ー゚;ζ


マスター「あっ……」

町人「おい!」

マスター「しまっ…!」


マスターはカウンターに殴り込んできた数人の町人たちに
唐突にしばかれ始めた。


マスター「いやあ…すまない。何でもないんだ」


マスターは何ごとも無かったかのようにグラスを拭き始める。



ζ(゚ー゚;ζ どう思う?勇者様…ヒソヒソ

(;'∀`) ああ、何か面倒そうだな…ヒソヒソ

 「こ、こほん」

そのとき、可愛らしい咳払いが聞こえた。




180 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 23:31:36 ID:O9D2vOT20


*(‘‘)* あのぅ……お兄ちゃん、勇者さんなの?


声のした方へ目を向けると、幼い少女がドクオを見上げていた。


ζ(゚ー゚*ζ(あら可愛い)

('A`) ああ、そう……だよ?


視線を感じ、さり気なく周りに目を走らせると、
店の中にいた客が全員こちらを盗み見していた。


*(‘‘)* あのね…私、ちょっと落とし物しちゃって…
    お兄ちゃんたちに、落とし物した場所までついてきて欲しいんだけど…

ζ(゚ー゚*ζ いいわよー。何処なの?


*(‘‘)* 本当!?ありがとう!落とし物はねえ、湖の下の採掘場の最深部なの!

(;'∀`) 凄い場所に落とし物したなー




185 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 23:35:48 ID:O9D2vOT20

*(‘‘)* そうなの、凄い場所なの!

('∀`) アレだろ?モンスターとかもいるんだろ?

*(‘‘)* いーっぱいいるの!

('∀`) でその奥に天空の城があるから、帰るに帰れないんだな

*(‘‘)* そうな…………


*(;‘‘)*    ('A`;)ζ(゚ー゚;ζ



酒場内の空気が固まった。


*( ; ;)* ひ…うわあああああああん!お兄ちゃんが鋭過ぎるー!

町人「お気を確かにマスタードラゴン様!」

マスター「大丈夫!まだ挽回できます!」


(;'A`) おまえらが最後のだめ押ししたぞ!

ζ(゚ー゚;ζ マスタードラゴン!?




188 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 23:40:50 ID:O9D2vOT20

町人「え?何のことだかさっぱりわかりませんが」

マスター「マスターは私ですが?」

*(‘‘)*「我がマスタードラゴンに見えるとでも言うのか人間よ」


(;'A`) キャラ設定もっと練っとけよ!

*(;‘‘)* うぅ…流石は勇者。その観察眼は褒めてつかわす



*(‘‘)* そう、我が名はマスタードラゴン
     かつて天空の城を治めておった者だ

ζ(゚ー゚;ζ どう見ても女の子だけど…

*(‘‘)* これは仮の姿だ。地上で暮らせるよう、人間に化けておる

(;'A`) 性別はともかく、何故幼女に化けようと思ったんだ…


マスター「お察しの通り、かつて我々は天空で暮らしておりました…」

町人「今は人間たちと同じような生活を送っておりますが…」




189 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 23:44:33 ID:O9D2vOT20

*(‘‘)* かつて天空の城で…


*(‘‘)* あっ、ちなみに地上ではヘリカルって名乗ってるから、そう呼んでね!

(;'A`) ……はい


*(‘‘)* かつて天空の城でちょっとしたいざこざがあった
     ある天空人が堕天し、勝手に城から出て行ったのだ

町人「そのときの騒動でマスタードラゴン様が台座からお離れになり…」

町人「天空の城は浮遊力を失い、湖へ真っ逆さま」


マスター「へっへっへ、こいつはラッキー!と思った我々は町を作り、
      かねてから憧れだった地上での生活を送りました」

*(‘‘)* 楽しかったー。地上の食べ物美味すぎ

町人「特に魚が好きですね」

マスター「私はやはり酒かな」

('A`) あ、どうでもいいす




190 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 23:49:31 ID:O9D2vOT20

*(‘‘)* しかし!そろそろ帰ろうと天空の城に戻ろうとしたときには…

('A`) モンスターがいて、帰るに帰れなくなったと…

*(‘‘)* そういう訳だ


*(;‘‘)* 頼む愚かな人間よ!我を再び天空の城の台座まで送ってくれ!

町人「お願いだ愚鈍な民よ!その穢れた手で我々を助けてくれ!」

町人「この通りだ下劣な人間たちよ!」

(;゚A゚) もっとマシな態度があるだろ!



ζ(゚ー゚*ζ 勇者様!天空の城に行ってみたいよー

(;'A`) うーん、まあ、やってもいいけど…何か、腹が立つんだが…

*(‘‘)* お兄ちゃん…


(;゚A゚) うっ

*(‘‘)* お願い………キラキラキラキラキラ




193 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 23:53:11 ID:O9D2vOT20

(;'A`) でも、モンスターが強かったら、俺の手には負えん…

*(‘‘)* お願い…お兄ちゃん……キラキラキラキラキラ

(;゚A゚) ぐっ!


ζ(゚ー゚;ζ どうしたの?

(;゚A゚) わからん!わからんが…断り切れない!

ζ(゚ー゚;ζ こ、こんな小さい女の子の色仕掛けに…

(;゚A゚) 違う!そういう性的なものじゃなくて…ああ何だこの気持ちは!
    言葉では言い表せない!もはや宇宙の意志だ!


宇宙の意志には逆らえず、ドクオたちはマスタードラゴン改めヘリカルを
天空の城まで護衛することを約束してしまった。


(;>'A`)> お、俺は変態じゃない…!違うんだ…!

ζ(゚、゚*ζ ふーん、ああいうのがいいんだー

(;'A`) そんな目で見ないで!




194 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 23:56:14 ID:O9D2vOT20

町人「ナイスですマスタードラゴン様!」

町人「悪女!」

*(‘‘)* ふふふ、私の魅力の勝ちだな。誰が悪女だこら


いもうとの つぶらなひとみ さからえず

ドクオ 魂の俳句  ('A`) 本物の妹じゃないってのがポイントだな



所持金 4630G

 ('A`) レベル35 勇者
 HP201/219
 MP0

 ζ(゚ー゚*ζ レベル36 踊り子
 HP171/171
 MP0

続く


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