('∀`)勇者30174のようです 四十三話
297 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 16:34:21 ID:CpZMHN.E0

【前回までのあらすじ】

アイリス 旅立ち

イギス 西の塔 攻略

オスドニア大陸上陸

ウラヌス王国 王様のイベントから逃亡

エミジア廃鉱にて メタルスライムでレベルアップ

オスカーテルミノ 魔法使いと出会う

カールモンキー ギャンブルで大敗
占い師 貞子から助言をもらい東へ

荒巻コピーと出会いギャリバン地方に到達

妖精の森から妖精の国へ 氷の女王を撃破

魔法少女渡辺さんと、ベビーパンサーに出会う

キーリカ砂漠で遭難しかけるもクラウンへ到着
サンドワームを(母者が)撃破





298 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 16:35:25 ID:CpZMHN.E0

ケブ地方のコリカコルルカへ到着 勇者ギルド本部
サンドラ城のブラッディマリー撃破

ジェルミア王国でアホ王子と出会う
ジェリーマンが大臣になりモンスターと共存する国へ

荒巻コピー三体目に北へ行くと言われるがシカト

カンダタたちに連れ去られる 魔族のドヤと謎の魔法使いに遭遇
悟りの書を入手する

海賊の国スジャータ王国でハインと幽霊船退治

難破した先でルドマン開催の武闘大会が開かれていた
挫折したモララーが再び立ち上がる 一方ドクオフルボッコ

セルヴァ大陸上陸 ソーヤ地方のダディ神殿へ
オスドニア大陸北部にある修行の里へ行けと言われる

北上しチェルノヤリスク地方へ ツリークでヘリカルと出会う
テルミン廃鉱でキングヒドラを撃破 天空の城を浮上させる

修行の里で ドクオはモンスターマスターの修行を
デレは賢者になるための修行を行うことになった ←いまここ

一言:逃げてはいけないときがある




299 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 16:38:24 ID:CpZMHN.E0

所持金 5408G

 ('A`) レベル35 勇者
 HP219/219
 MP0

 ζ(゚ー゚*ζ レベル36 踊り子
 HP171/171
 MP0


その夜、荒巻宅の使われていない部屋を貸してもらい、
二人はその部屋で寝ることになった。


('A`) 空が近いなー

ζ(゚ー゚*ζ 天空の城ほどじゃないけど…

二人は中々寝付けず、窓から空を眺めていた。


ζ(゚ー゚*ζ しばらく会えなくなるね

('A`) そうだな

ζ(゚ー゚*ζ 寂しいね…




300 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 16:41:13 ID:CpZMHN.E0

('A`) 修行って何年かかるんだろ…十年とか絶対いやだぞ

ζ(゚ー゚*ζ おじさんとおばさんになっちゃうね

('A`) 世界を救うのは好青年って相場が決まってるのに…
    主人公とヒロインがどっちも三十代のRPGがあったか?

ζ(゚ー゚;ζ 斬新でいいかもよ?

('A`) はぁ…

ζ(゚−゚*ζ …勇者様……

('A`) うん?


眺めていた空に、一つの星が流れた。


ζ(゚ー゚*ζ 絶対…魔法使いに…賢者になるから

('A`)


('∀`) …おう


二人は別れを惜しむように、そのままずっと空を眺めていた。




302 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 16:43:45 ID:CpZMHN.E0



そして修行の日が始まる。



/ ,' 3 集まったな


('A`) 今日から毎日お前と顔を合わすのか…

/ ,' 3 ふん、安心せい。その心配は全く無い

(;'A`) え?


/ ,' 3 では…デレ。本を開くがよい

ζ(゚ー゚;ζ う、うん

/ ,' 3 何が待っているのか、わしもはっきりとは知らん
    だが本が選んだのはお主じゃ。気合いじゃ!気合いで乗り切るんじゃ!

ζ(゚ー゚;ζ わかった!

('A`) もちっと役に立ちそうなアドバイスしてやれよ




303 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 16:45:40 ID:CpZMHN.E0

デレは意を決して本を開く。


ζ(゚、゚;ζ ……っ!


/ ,' 3 むっ

(;'A`) うお…!


まばゆい光が辺りを包んだ。


 「勇者様!」

光の中、デレが叫ぶ。


 「……死なないで―――」


(;'A`) で、デレ!


光が消えると、デレの姿は無くなり、本がぱたりと床に落ちた。


/ ,' 3 ……さあ、今度はお主の番じゃ




305 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 16:48:32 ID:CpZMHN.E0

(;'A`) おい、デレは本当に大丈夫だろうな?中には賢者の魂があるんだろ
    そいつってまた変人とかじゃないだろうな?

/ ,' 3 お前は何じゃ、新キャラ=変人だとでもおもっとるんか

(;'A`) 正直おかしくない奴はいなかったぞ

/ ,' 3 厳しい人生を歩んでおるな…



/ ,' 3 だが安心せい。デレの身が危ないということはない
    修行はおそらく、厳しいものだろうが…

('A`) そうか。ならいいんだが…

/ ,' 3 むしろ自分の心配をした方がいいぞ?

(;'A`) モンスターマスターの修行ってのは、そんなに厳しいのか?

/ ,' 3 厳しいなどとんでもない!



/ ,' 3 下手したら死ぬ。初日で

(;゚A゚) MAJIKAYO?




306 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 16:53:43 ID:CpZMHN.E0


/ ,' 3 お主はこの修行の里に生息する全種類のモンスターを仲間にすることを課す!
    よわっちいのから超凶悪なモンスターまで、その数およそ200種類!


(;'A`) うっ、何てめんどくさい修行…!


/ ,' 3 さらにルールを設ける!
    1.モンスターを殺してはならない
    2.修行が終わるまでモンスター出現エリアから出てはならない
    これを守ってもらう


(;゚A゚) この家に帰ってきちゃ駄目なのか!


/ 。' 3 バッカモーン!モンスターと共に生活することで
     モンスターマスターの才能は開花されるのじゃ!
     今からお主はモンスター同然の生活じゃ!自給自足じゃ!

(;゚A゚) それを十年近く続けろってのか!?野人になるぞ俺!

/ ,' 3 限りなくモンスターには近づけるじゃろう。それこそがモンスターマスターの真髄

(;'A`) せめてデレが帰ってきてから始めようぜ…
    一人だと交代で寝ることもできねえじゃんか!




307 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 16:58:14 ID:CpZMHN.E0

/ ,' 3 だーかーらーモンスターを仲間にすればいいじゃろ!
    仲間にできたモンスターは全てお主の味方じゃ!

(;'A`) な、なるほど。そう言われてみれば合理的な修行に思えなくもない…



/ ,' 3 くれぐれもモンスターを必要以上に傷つけるなよ
    モンスターの中にはわしの友達も多い

/ ,' 3 まあ割と無尽蔵に集めてきたやつがほとんどじゃがな
    あとは勝手にやってきたやつもおる


(;'A`) なるべく弱い奴から始めたいんだが…

/ ,' 3 安心せい!モンスターの強さ、仲間にしやすやで大体のランクを分けておいた
    A〜Zエリアに生息地が分かれていて、Zになるほど難しいやつらじゃ


/ ,' 3 お主はまずAエリアから始めるのじゃ!
    ほら、支度せい!

(;゚A゚) もう始めるのか!?心の準備が…

/ ,' 3 そんなもんいらん!気合いじゃー!




309 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:02:18 ID:CpZMHN.E0


ドクオは半ば引っ張られるように外に連れ出され、
Aエリアと呼ばれる場所まで連れてこられた。


/ ,' 3 ではわしは帰って紅茶でも飲んでおく。死ぬなよドクオ

(;'A`) ちょっと待て!せめてアドバイスとか…

/ ,' 3 気合いじゃ!

(;゚A゚) だからそれは役に立たねえんだよ!
    モンスターを仲間にするなんてどうすりゃいいんだ!



/ ,' 3 安心せい。今までの旅で、モンスターに力を貸してもらった経験があるじゃろう

(;'A`) …あっ、ジェルミアの大くちばし…!

/ ,' 3 わしにはわしのやり方があるが、お主にはお主のやり方がある
    自分で色々と考えてみるがいい。じゃあなー


(;゚A゚) えっ、マジで帰るの!?おーい!


荒巻は振り返ることもせず、さっさと家に帰ってしまった。




310 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:05:05 ID:CpZMHN.E0

(;'A`) ぐっ…やるしかねえ。デレだって頑張ってるんだ…俺だって…


鬱蒼と茂った森の中、一人取り残されたドクオは、
時折聞こえるモンスターの咆吼に怯えながら、奥へ進んでいった。



 モンスターが 現れた!


(;'A`) 早速か!相当モンスターが密集してやがる!


 スライムが三体 現れた!


('A`) ……お?


スライム「うー!ニンゲンがこの森に何の用だ!」

スライム「帰れ!」


('∀`) そうだ…最初は弱いモンスターつってたな!よーしやる気出てきた!




311 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:07:28 ID:CpZMHN.E0

 スライムの攻撃!
 ドクオは ひらりとかわした!


('A`) ハイパードクオチョップ×3!


 ドクオの攻撃!
 スライムたちを倒した!


スライム「うぅ…」

('∀`) 命までは取らんさ。さあ、俺の仲間になるのだ!さあ!

弱いものには強気のドクオ。



スライム「…やだ!」

(;'A`) …え?

スライム「誰がお前の仲間になるもんか!」

スライム「殺すなら殺せ!」

スライム「ニンゲンの指図なんて受けないぞ!」




313 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:10:24 ID:CpZMHN.E0


(;'A`) うっ…!


 ドクオはいたたまれなくなり 逃げ出した!



('A`) 結構難しいもんだな。よーし次だ、次


Aエリアにはスライムの他に、
大がらすや一角うさぎ、とげぼうずなどのモンスターがいた。

彼らに負けることは無いが、かといって簡単に仲間になってくれるものもおらず。


(;'A`) ははは…まあこんなもんだろ。夜までには一匹くらい仲間になるよな



そして、夜になった。



(;A;)


(;A;) うぅ…誰か……




314 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:13:49 ID:CpZMHN.E0


ずっとモンスターを追いかけていたため、
夕食の準備も寝床の準備もできていない。


モンスターは結局一匹も捕まえられず、
夜になって視界が悪くなった途端、逆に彼らから襲撃を受けるようになった。



 モンスターが現れた!


(;'A`) またかよ!



負けることはない。
だが勝ったからといって、仲間にできなければ意味がない。


幾度となく襲撃を受け、その度に追い払わなくてはならず、休む暇がなかった。
ダメージを負うことはないにせよ、体力と気力は徐々に削られていった。


(;'A`)(デレさえいてくれたら…)

ドクオは旅に出てから、初めて孤独を味わっていた。




315 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:17:23 ID:CpZMHN.E0

(;'A`) うぅ……腹減った…
    こんな調子でモンスターマスターになんてなれるのかよ…


(;'A`) やっぱ俺、才能無いのかな……



木々の間から見える空は、落ち込んだドクオの目にも美しく映った。
木に背を預け、惚けた顔で夜空を眺める。


そのとき、近くの茂みが動いた。



(;'A`) ま、またか!

ドクオは剣を持って身構える。





 「ドクオ?」


(;'A`) ……え?




316 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:20:26 ID:CpZMHN.E0



(;゚A゚) あっ――――!



ミ,,゚Д゚) ドクオ!どうしたんだ、こんな場所で



(;゚A゚) フサ!フサか!?


現れたのは、以前村を荒らしていたあのベビーパンサーであった。


ミ,,゚Д゚) 久しぶりだな

(*'∀`) お、お前…どうしてここに!?

ミ,,゚Д゚) あっちこっち旅してたんだけど、ここはモンスターしかいない森で、
    食べ物もたくさんあって、すみやすいんだ。ドクオはどうして…

(*'∀`) うひょー!フサフサやー!もふもふやー!

ミ,;゚Д゚) うわっ、やめろ!気持ち悪い!




319 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:23:59 ID:CpZMHN.E0

(;'A`)グ〜

(;'A`) うっ…急に動いたから目眩が…

ミ,,゚Д゚) はらへってるのか?魚が捕れる場所があるからおしえてやるよ

('∀`) うっひょー!頼りになる!流石はフサさんやで!

ミ,,゚Д゚) 変なやつ…でも、おまえには借りがあるからな!

('∀`) よしよし、さあ行こう行こう!キラーパンサーイエーーーーー!

ミ,;゚Д゚) て、テンション高いな……





/ ,' 3 むふふ…

ドクオの様子を、魔法の力で覗いている荒巻が、押し殺した笑いを漏らした。

/ ,' 3(どうなることかと思ったが…運のいい奴
    さて、わしはもう寝るかの)




321 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:28:03 ID:CpZMHN.E0

寝室に行く前に、ちらりと賢者の本に目をやる。

デレが入ってからは光ることもなくなり、ただの本となってしまった。
試しに荒巻が中を開いてみると、そこには何の文字も書かれていない、白紙の束だけがあった。

/ ,' 3 むふふ、未来はいつだって白紙…何を書くか、どうやって書くか…じゃ


/ ,' 3 おお、これいい言葉じゃな
   今度出版する勇者マニュアル第15版には載せておこう…



そしてこのときデレは、賢者と出会っていた。


所持金 5408G

 ('A`) レベル35 勇者
 HP219/219
 MP0

 ζ(゚ー゚*ζ レベル36 踊り子
 HP171/171
 MP0

続く


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