('∀`)勇者30174のようです 四十四話
323 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:30:38 ID:CpZMHN.E0

所持金 5408G

 ('A`) レベル35 勇者
 HP219/219
 MP0

 ζ(゚ー゚*ζ レベル36 踊り子
 HP171/171
 MP0


ドクオがAエリアで苦戦している頃、デレは不思議な空間の中にいた。


ζ(゚ー゚;ζ あの…すいませーん!


上も下も右も左もない空間の中で、七色の光が混ざり合い、
解け合い、消えてはまた生まれていく。


ζ(゚、゚*ζ ここは…一体…


 「ここは魔法空間。私が作り出した現実とは違う場所よ」


ζ(゚ー゚;ζ !?




324 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:33:35 ID:CpZMHN.E0


後ろから声が聞こえ、振り返る。


さっきまで誰もいなかった場所に、一人の女が立っていた。



|゚ノ ^∀^) 初めまして。デレさん


ζ(゚ー゚;ζ は…初めまして…


ζ(゚ー゚;ζ(綺麗な人…)

決して若くはない、しかし精悍な顔立ちをした女性は、
小さく微笑みながら、デレに近寄ってきた。



|゚ノ ^∀^) 私はレモナ。魔法使いとか、魔法博士とか、賢者とか…呼ばれていたわ

ζ(゚ー゚;ζ レモナさん……レモナさん!?モナーさんのお母さん!

|゚ノ ^∀^) 私の子に会ったのね…世界って広そうに見えて狭いわ




325 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:37:49 ID:CpZMHN.E0

ζ(゚ー゚*ζ そうか…レモナさんが賢者だったんだ!

|゚ノ ^∀^) 私の子供は元気にしてた?

ζ(゚ー゚*ζ はい!マジックマリモの唐揚げ作ってくれました!

|゚ノ ^∀^) う、うん。そう、良かったわね



ζ(゚ー゚;ζ あの…訊きたいことがあるんですけど…
       私って、賢者になれるんですか?

|゚ノ ^∀^) なれるわよ。素質があるもの

ζ(゚ー゚*ζ でも、私魔法って何一つ使えないし…

|゚ノ ^∀^) だってあなたは、私の転生先なのよ?

ζ(゚ー゚*ζ ……テンセーサキ?

|゚ノ;^∀^) 魂が流れ着いた先。私は死んだ。そしてあなたとして生まれ変わったの



ζ(゚、゚;ζ ? ? ?でも魂は本の中に閉じ込めたんじゃ…?

|゚ノ ^∀^) 半分だけね。転生は神によって行われる神聖な行為。私がどうこうできるものじゃないの




328 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:40:46 ID:CpZMHN.E0

ζ(゚ー゚;ζ 私があのレモナさんの生まれ変わりだなんて…!
       でもそれなら私が選ばれるのは納得…


|゚ノ ^∀^) でも、勘違いしないでちょうだいね

ζ(゚ー゚*ζ え…

|゚ノ ^∀^) 私があなたに転生したのは、きっとあなたが本来持つ資質に惹かれたからよ
      それは大切なものを守ろうとする強い思い。私の魂がそれに引き寄せられた…


|゚ノ ^∀^) だから、全てはあなたの才能。私は関係ないわ

ζ(゚ー゚*ζ ……そう、かな

|゚ノ ^∀^) 自信を持っていいのよ。デレさん



ζ(゚ー゚*ζ じゃあこれから修行を始めるんですね!頑張りまふ!

|゚ノ ^∀^) 待って。その前に、一つだけ確認させて欲しいことがある

ζ(゚ー゚*ζ 確認って…?


|゚ノ ^∀^) あなたが何故、勇者と旅をするのか。その理由を教えて欲しいの




329 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:43:41 ID:CpZMHN.E0

ζ(゚ー゚*ζ ああ、それは…



|゚ノ ^∀^) 死んだ母親の影をなぞろうとしているだけではないの?



ζ(゚ー゚;ζ ―――――…!



デレの表情が固まる。

それを見たレモナは、また小さく笑った。


|゚ノ ^∀^) ここに選択肢がある


そう言った瞬間、デレの目の前に二つの扉が出現した。


|゚ノ ^∀^) 行きたい方へ行きなさい。あなたの判断を責める者はいない
      あなたの道はあなたが選びなさい

ζ(゚ー゚;ζ れ、レモナさん…!?




330 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:48:07 ID:CpZMHN.E0


|゚ノ ^∀^) 中を開いて、決めるの…


ζ(゚ー゚;ζ



デレは恐る恐る、右側の扉に手をかけ、ゆっくりと開いた。



ζ(゚−゚*ζ …あっ――――



そこには、


o川*゚ー゚)o デレちゃん、お母さんはまたお父さんと旅に出るから、
       ちょっとだけうちでお留守番しててね?

(゚ー゚*ζ うん!わかった!



ζ(゚ー゚;ζ お母さん……!

幼き自分と、母親の姿が映っていた。




331 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:53:08 ID:CpZMHN.E0



(゚ー゚*ζ おばあちゃん!おかあさんはいつかえってくるの!?

 「すまないねえ馬鹿娘で。また当分は帰ってこないよ」

(゚ー゚*ζ そう…でもいいの!
     だっておかあさんは、おとうさんのお仕事てつだってるんだもんね!
     おとうさんは、魔王をたおすんだもん!

 「そうよ。あなたのお父さんとお母さんは、勇者パーティなんだから」



ζ( 、 ;ζ ………っ


|゚ノ ^∀^) あなたの母親は、父親を慕い、いつもあなたを家に残し、旅に出ていた
      でもあなたは勇者の父親と、それを支える母親を、心から尊敬していた
      傍目には子供を構ってやらない親に映っていたかもしれない
      でもあなただけは、いつも両親の味方を……母親のことを考えていた



(゚ー゚*ζ おかあさん、いまどこにいるのかなー?



|゚ノ ^∀^) 旅先でモンスターに襲われ、二人が亡くなっても…あなたは母親の影を追おうとした




332 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:56:12 ID:CpZMHN.E0

ζ( 、 ;ζ 違うっ……!


|゚ノ ^∀^) あなたが勇者に尽くしていたのは、亡くなった母親の真似をしていただけ


ζ(゚、゚;ζ 違う!


|゚ノ ^∀^) 魔王を倒すなんて…いや、勇者を守るなんて、あなたにとっては些細な問題
      実際は自分がどれだけ母親に近づけるか。ただそれだけが目的だった



ζ(゚、゚;ζ 違うって言ってるでしょ!




|゚ノ ^∀^)     ζ(゚、゚:ζ



|゚ノ ^∀^) では、もう一つの扉を開きなさい…

ζ(゚、゚;ζ ………………




334 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 17:58:47 ID:CpZMHN.E0


もう一方の扉の前にたち、ノブに手をかけた。



ζ(゚ー゚;ζ あっ……




(;'A`) うおっ、無理だ!逃げよう!

ζ(゚ー゚;ζ スライム三匹だよ!?

(;'A`) 二匹が限界だ!引き際がいいのが俺の長所なんだよ!

ζ(゚ー゚;ζ ものは言い様過ぎます!



ζ(゚−゚*ζ 勇者様……!


そこに映っていたのは、デレが歩んだ旅の軌跡であった。


ζ(゚ー゚*ζ …この頃は、まだ弱かったな…




336 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 18:01:13 ID:CpZMHN.E0

メタルスライムを倒した。

オスカーテルミノで魔法使いと出会った。


ζ(゚ー゚*ζ 懐かしい…


カールモンキーのダンス大会で優勝した。

妖精の国で魔族と闘った。

砂漠で遭難し、死にそうになった。

変な王子に会った。

変なお姫様に会った。



全てが懐かしく、愛おしい記憶だった。


ζ(;ー;*ζ 勇者様……


|゚ノ ^∀^) もう一度尋ねます。あなたはどうして、旅を続けるのですか?




337 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 18:04:43 ID:CpZMHN.E0


ζ(;ー;*ζ 私は…っ


|゚ノ ^∀^)


ζ(;ー;*ζ 始めは…そう。レモナさんの言う通りだった…
       勇者と旅をするのが、女として生まれたことの最高の喜びだって…
       そう思ってた……

|゚ノ ^∀^) ……うん

ζ(;ー;*ζ でも…違う…今は……違う

|゚ノ ^∀^)


ζ(;ー;*ζ 私は勇者様が…好き。大好き
       頼りないときもあるけど、いつも私の心配をしてくれる
       それから…この世界が好き。変な人だらけだけど…でも、みんな優しい
       美しい景色だって、失いたくない


ζ(;ー;*ζ 守りたい。好きな人を。好きなものを…だから、旅をするの

|゚ノ ^∀^) ……それがあなたの答えね

ζ(;ー;*ζ ええ…




338 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 18:08:21 ID:CpZMHN.E0


レモナはデレに近寄り、その身をしっかりと抱いた。



|゚ノ ^∀^) その気持ちこそが、あなたの素質
      大事にしなさい。あなたの守りたいものと同様に…

ζ(;ー;*ζ ……はい






|゚ノ ^∀^) じゃあレッスンスタートしまーす

ζ(゚ー゚;ζ 軽いなー!?

|゚ノ ^∀^) もうぶっちゃけ結果わかってたんだけど、
      試すようなことしてごめんね。それじゃあゼロから魔法の特訓しようね

ζ(゚ー゚*ζ は、はい…


|゚ノ ^∀^) ただし魔法の特訓は…本当に厳しいわよ

ζ(゚−゚*ζ か、覚悟してまふ!




339 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 18:11:38 ID:CpZMHN.E0

|゚ノ ^∀^) ちなみに、この魔法空間は、現実よりも時間が流れるのが遅い
      およそ十分の一程度よ

ζ(゚−゚*ζ えっと…?


|゚ノ ^∀^) つまり現実で一日経過するとき、この空間では十日過ぎてるってこと
      だから修行の時間もみっちり取れるわ

ζ(゚ー゚;ζ じゃあその分早くおばちゃんになっちゃう!

|゚ノ ^∀^) おばちゃんの前でそういう発言は控えるように

ζ(゚−゚*ζ すいません…


|゚ノ ^∀^) 安心して。加速されるのは意識だけ。肉体は現実と同じように歳を取るから

ζ(゚−゚*ζ 結局は…勇者様とはしばらく会えないってことですかね?

|゚ノ ^∀^) そういうこと。帰りたくなった?


ζ(゚ー゚*ζ ……ううん。勇者様も頑張ってるんだから、私が逃げ出す訳にはいきません

|゚ノ ^∀^) うん、よろしい




341 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 18:15:14 ID:CpZMHN.E0



こうして二人の修行は始まったのである。



ドクオはフサと共にモンスター集めを。


('A`) フサ、後ろだ!

ミ,,゚Д゚) あいよ!


デレはレモナから魔法の特訓を。


|゚ノ ^∀^) あなた、滑舌悪いわね。まずは早口言葉から始めましょうか

ζ(゚ー゚;ζ そ、そこからスタートなんですか…



着々と年月を重ね、レベルを高め、能力を上げていった。

/ ,' 3 うーむ、暇じゃ…

時々挫けそうになるが、そのときはお互いのことを思いだし―――。




342 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 18:17:04 ID:CpZMHN.E0







そして、四年の歳月が経った。







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 ζ(゚ー゚*ζ レベル? ?
 HP?/?
 MP?/?

続く


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