(*゚ー゚)クーの涙が命を削り取っていくようです
1 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 20:49:14.32 ID:jdsCqAg30




◆◆第1話ここから◆◆
4 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 20:50:44.34 ID:jdsCqAg30
―ここは、王族の魔法によって治められている『フィーリィ王国』。
―お城には『ツン』という女王様が住んでいます。

―ツンには妹がいました。
―優しく、気立てがいい、国民から慕われる双子の妹。

―その名を『クー』といいます。

―二人はいつも魔法で国を動かしてきました。
―代々魔法の動力に頼った仕組みが国には多く存在しています。

―王国史上初の双子である二人は、協力しあって国を支えていました。
―魔法の使用には"寿命の消耗"を伴う、と知っていても国のために魔法を使いました。
―それが、王族にとっては、昔から当然のことでした。


――――ところが、ある日――――







     【(*゚ー゚)クーの涙が命を削り取っていくようです】




6 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 20:52:53.10 ID:jdsCqAg30
〜〜フィーリィ城〜〜

川 ゚ -゚)「……快い冬晴れですね、今日は」
(´・ω・`)「はい」
川 ゚ -゚)「気持ちよく政務に取り掛かれそうです」


テクテクテクテク……


川 ゚ -゚)「昨日は申し訳ありませんでした、執事長。今日は問題ありません」
(´・ω・`)「過労がたたったのかも知れません。ご無理なさりませんよう」


テクテクテクテク……


川 ゚ -゚)「大丈夫です。魔力にも問題はありません。本日の政務についてお願いします」
(´・ω・`)「いえ、それよりも先に」
川 ゚ -゚)「どうかしましたか?」


(´・ω・`)「ツン女王陛下が、王室へ来るようにと」


川 ゚ -゚)「……分かりました」
(´・ω・`)「それでは、私はこれにて」


川 ゚ -゚)「……ふぅ……」




7 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 20:54:47.76 ID:jdsCqAg30
川 ゚ -゚)(どうしたんだろう……お姉ちゃん……)
川 ゚ -゚)(昨日、私が倒れて政務休んだこと……怒ってる……?)

川 ゚ -゚)「…………」


コンコン


川 ゚ -゚)「失礼します」


ガチャッ


川 ゚ -゚)「クーです。ツン女王陛下、ご用件は――――」


ξ )ξ「…………」


川;゚ -゚)「――――ッ!?」


シュオオオォォォッ!!


川;゚ -゚)「おね――――ッ!!」




9 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 20:56:45.57 ID:jdsCqAg30
ボウッ!!
ダダダダダッ!!


ξ゚听)ξ「…………」


……スタスタスタ



〜〜城外の森〜〜

(;゚ -゚)「ハァ、ハァ、ハァ……!!」
(;゚ -゚)(お姉ちゃん……なんで……どうして……!?)


タッタッタッタッ……


(;゚ -゚)(なんなの、これ……!? いったい、何の魔法をかけたの……!?)
(;゚ -゚)(感覚がおかしい……まるで自分じゃないみたいに……!!)

(;゚ -゚)「わっ!!」


バタッ




10 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 20:58:41.81 ID:jdsCqAg30
(;゚ -゚)「いたっ……木の根っこ……?」

(;゚ -゚)(やばい……足、挫いたかも……)
(;゚ -゚)(とりあえず、どっかに隠れなきゃ……あの草むらがいいかな……)


ズルズル……ズルズル……


(;゚ -゚)(……ここなら大丈夫かな……)
(;゚ -゚)「……【ヒール】」


ポゥッ……


(;゚ -゚)(足の怪我は、これで大丈夫だけど……)
(;゚ -゚)(どうしよう……何にも持たずに逃げ出してきちゃった……寒い……)
(;゚ -゚)(……お姉ちゃん……)

(;゚ -゚)(部屋に入ったら……もう、明らかに空気が違った……)
(;゚ -゚)(お姉ちゃん……すごく、怖い顔で……私に魔法かけた……)

(;゚ -゚)(……でも、何の魔法かわかんない……無言だった……)
(;゚ -゚)(だけど……あんな表情でかける魔法って……)


ブルブル




12 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:00:30.00 ID:jdsCqAg30
(;゚ -゚)(……寒い……森は陽が届かないし……)
(;゚ -゚)(これから、どうしよう……)

(;゚ -゚)(……ん……?)

「クー様はいないか? よく探せ」
「バニッシュの魔法で消えている可能性もあるな」
「何もないところにも手を伸ばしてみるんだ」

(;゚ -゚)(追っ手!? まずい……!!)
(;゚ -゚)(【バニッシュ】!)


ボゥッ……


「……いないな」
「町に逃げた可能性もある」
「捜索域を拡範しよう。民衆の家も調べるんだ」


タッタッタッ……


(;゚ -゚)(……やりすごせた、かな……)

(;゚ -゚)(でもまさか、兵士さんまで追いかけてくるなんて……)
(;゚ -゚)(私、なにか過ちを犯したの……?)
(;゚ -゚)(お姉ちゃん……)




14 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:03:44.81 ID:jdsCqAg30
シュゥゥ……


(;゚ -゚)(バニッシュが、短い時間しか持たない……魔法を上手くイメージできなかったんだ……)
(;゚ -゚)(でも、多用はできないし……)


タッタッタ……


(;゚ -゚)(ッ!? また人が来た……!!)
(;゚ -゚)(【バニッシュ】!!)


(,,゚Д゚)「……えーっと……確かこのへんだったと思うんだけど……」

(,,゚Д゚)「ん〜……」


(;゚ -゚)(また追っ手……? キコリの人みたいだけど……)
(;゚ -゚)(……やばい……! 咄嗟にかけた魔法だから、持続時間が……!)


シュゥゥ……


(,,゚Д゚)「ん?」
(;゚ -゚)「あっ……」




15 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:05:44.20 ID:jdsCqAg30
(,,;゚Д゚)「な、なんだ? いきなり現われて……あんた誰だ?」
(;゚ -゚)「あ、あの……」
(,,゚Д゚)「ん……待てよ?」

(,,゚Д゚)「さっき消えてたのは……魔法?」
(;゚ -゚)「ッ!!」

(,,゚Д゚)「いや、でもツン様でもクー様でもねぇみたいだし……」
(,,゚Д゚)「他に魔法が使える人なんて、聞いたことないぞ……」

(;゚ -゚)「あ、あの!」
(,,;゚Д゚)「おっ!?」

(;゚ -゚)「お願いです! 私を助けていただけませんか!?」



〜〜ギコの小屋〜〜

(*゚ -゚)「……以上が事の顛末です。信じてもらえないかも知れませんけど……」
(,,゚Д゚)「いや……信じるさ。っと……信じます、クー様」
(*゚ -゚)「やめてください、そんな言葉遣い……今の私は、ただの……」
(,,゚Д゚)「……そうか……」

(,,゚Д゚)「クー様、アンタがつけてるその指輪……それ、王族だけが嵌めてるもんだろ?」
(*゚ -゚)「あ、はい」
(,,゚Д゚)「それ見りゃ分かるよ。アンタがクー様ってことは」

(,,゚Д゚)「でも、なんで外見が変わってんだ?」




16 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:08:27.32 ID:jdsCqAg30
(,,゚Д゚)「それに……クー様はあまり感情を表に出さない人って聞いてたが……そうも見えねぇし」
(*゚ -゚)「私も、この小屋で鏡を見て初めて気づいたのですが……」
(*゚ -゚)「恐らく、姉の魔法によるものだと思います」
(,,;゚Д゚)「魔法……!? 人の姿形や性格まで変える魔法があるのか!?」
(*゚ -゚)「確か、『禁忌カテゴリー』に属する魔法に、そのようなものがあると聞いたことがあります」

(*゚ -゚)「禁忌魔法は使用に多くの魔力を消耗する代わりに、絶大な威力を発すると聞きます」
(*゚ -゚)「何故そんな魔法を私にかけたのかは、分かりませんが……」

(,,゚Д゚)「うーん……不可解だよなぁ……だって、兵隊が女王の命でアンタを探してるんだろ?」
(,,゚Д゚)「探させるくらいなら、いっそ姿なんて変えなきゃよかったのに……」
(,,゚Д゚)「何らかの理由で、姿や性格を変える必要があった……ってことか……?」

(*゚ -゚)「それと……もうひとつの魔法も気になります」
(,,゚Д゚)「もうひとつ?」
(*゚ -゚)「かけられた魔法が二つありました。無言でかけられたので、どんな魔法かは分からなかったのですが……」

(*゚ -゚)「一般魔法であればすぐに効果が出るはずです。でも、何もないとなると……」
(,,;゚Д゚)「禁忌魔法なのか?」
(*゚ -゚)「恐らくは……」

(*゚ -゚)「姉が何故、こんなことをしたのかは分かりませんが……でも、ひとつだけ確実なのは」
(*゚ -゚)「……私の身に、危機が迫っているという」


ガタンッ!!


(,,;゚Д゚)「ッ!?」
(;゚ -゚)(ッ!! 【バニッシュ】!!)




17 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:10:28.17 ID:jdsCqAg30
(,,;゚Д゚)「な、なんだ?」
(兵`ヘ´)「失礼する。ここにクー様は来ていないか?」
(,,;゚Д゚)「き、来てるわけねぇだろ。クー様が、こんなキコリの小屋に」

(兵`ヘ´)「実は、クー様が大罪を犯したとのことで国は大騒ぎになっているのだ」
(,,;゚Д゚)「大罪……!?」
(兵`ヘ´)「まだ詳細は知らされとらんが、ツン女王は全力でクー様を見つけ出すよう厳命なされた」

(兵`ヘ´)「隠匿も同罪とされるはずだ。もし匿っていようものなら……分かるな?」
(,,;゚Д゚)(くそっ……さっきみたいに突然、魔法が切れたりしたらマズイな……)

(,,゚Д゚)「……ここにはいねぇよ。さっきも言ったとおりだ」
(,,゚Д゚)「クー様がもし大罪を犯したってんなら、俺に匿う理由もねぇだろ」

(;゚ -゚)(……ギコさん……)

(兵`ヘ´)「……まぁいい。とにかく、クー様を見つけたらすぐ王城に知らせることだ」
(,,゚Д゚)「はいはいっと」


バタン


(,,;゚Д゚)「あー焦った。探すとこ的確すぎだろ」
(;゚ -゚)「ごめんなさい……ご迷惑おかけして……」
(,,゚Д゚)「いや、いいさ……ただ、気になるのは『大罪を犯した』ってセリフだな」

(,,゚Д゚)「一応聞くだけ聞いてみるが……なんか心当たりはあるのか?」
(;゚ -゚)「……ありませんが、姉は国家の主ですから……」




18 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:12:21.25 ID:jdsCqAg30
(,,;゚Д゚)「場合によっちゃ法を後付けできるってか? 事後法じゃねぇか」
(;゚ -゚)「そうですが、それさえ通ってしまうのが現状です……」

(,,゚Д゚)「……とにかく、ここにいるのはマズイな」
(,,゚Д゚)「この小屋、実は国家から借り受けてるものなんだ。国有の森林でキコリやってる立場だからな」
(,,゚Д゚)「で……ちょうど今日が期限で、もう返さなきゃいけねぇ」
(;゚ -゚)「そうなのですか……」

(,,゚Д゚)「そこらへんフラフラしてたらすぐ見つかるだろうし、俺の家まで来てくれるか?」
(,,゚Д゚)「今は母親がいるだけだ。匿うには問題ないと思う」

(;゚ -゚)「……よろしいのですか? 多大なご迷惑を……」

(,,゚Д゚)「いいさ。俺らはツン様やクー様のおかげで生きてられてんだから」
(,,゚Д゚)「国民として、力になるのは当然のことだ。俺はそう思う」

(*゚ -゚)「ギコさん……」

( ; -;)「あ……ありがとうございます」
(,,;゚Д゚)「おいおい、泣くこたないだろ」
( ; -;)「すみません……人前で泣いたことなど、今まで一度もなかったのですが……」

(,,゚Д゚)「今日は色々とありすぎたんだな……いいさ、俺しか見てねぇんだし」
( ; -;)「申し訳、ありません……」

(,,゚Д゚)「とにかく、行こう。これからどうなるか、わかんねぇけど……」
(,,゚Д゚)「なんとか元通りになれるように、だよな?」
(*゚ー゚)「はい、もちろんです」
(,,゚Д゚)「よし、協力するぜ。とりあえずは街へ!」




19 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:14:06.05 ID:jdsCqAg30
◆◆ここまで第1話◆◆





◆◆ここから第2話◆◆
20 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:17:06.86 ID:jdsCqAg30
〜〜フィーリィ国・王城〜〜

ξ゚听)ξ「…………」


コンコン


(´・ω・`)「失礼します、ツン女王陛下」
ξ゚听)ξ「……どうかした?」
(´・ω・`)「いえ……」

(´・ω・`)「……クー様は?」
ξ゚听)ξ「【リサーチ】……クー・フィーリィ」

ξ゚听)ξ「……【プロテクション】をかけてるわね。【リサーチ】も【サーチ】も効かないわ」
(´・ω・`)「やはり、そうですか」
ξ゚听)ξ「……だけど、次に向かう場所は分かりきってるわ」

ξ゚听)ξ「森林での捜索は中止。全兵を城下町へと向かわせて」
(´・ω・`)「……了解致しました」


ガチャッ バタン


ξ゚听)ξ(……期限は、あと61時間……)




23 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:19:36.59 ID:jdsCqAg30
〜〜フィーリィ王国・城下町〜〜

(,,゚Д゚)「堂々としてりゃいいよ。見た目には分かんねぇだろ、アンタがクー様だってことは」
(*゚ー゚)「そうですね……完全に別人ですから……」

(,,゚Д゚)「兵士が顔を知ってるかどうかって点は気になるが……」
(*゚ー゚)「……皆さんが私を探しているということは……恐らく、顔も知れているのでしょうね」

(*゚ー゚)「そう考えると……やはり顔は隠しておいたほうがいいのかも知れません」
(,,゚Д゚)「そうか……そうだな……」

(,,゚Д゚)「町の入り口からはちょっと遠いところにあるんだ、俺の家は」
(* ー )「区名は?」
(,,゚Д゚)「シルバーアローだな。ちょっと歩いてもらうことになるが……」
(* ー )「問題ありません。ありがとうございます」


テクテクテクテク……


(,,゚Д゚)「なぁ、禁忌魔法について聞きたいんだが」
(* ー )「はい。私もあまり、詳しくはありませんが……」

(,,゚Д゚)「今かかってる……見た目とかが変わる魔法はすぐに効果が現れたんだよな?」
(,,゚Д゚)「ってことは、もうひとつかけられた魔法も、既に発現してる可能性が……」
(* ー )「……絶対ないとは言い切れませんが、恐らくありません。発現しているかどうかは、おおよその感覚で分かりますから」

(* ー )「姿を消す【バニッシュ】などの『一般魔法』は、全てすぐに効果が現れ、すぐ効果が切れますが……」
(* ー )「禁忌魔法には二種類あって……ひとつは、『即座に発現するが、時間制限があるもの』」
(* ー )「もう一つは、『条件を満たさないと発現しないもの』。いずれかだと言われています」




24 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:21:32.62 ID:jdsCqAg30
(* ー )「私の見た目や性格を変えたのは前者……もう一つの魔法は、後者だと思われます」

(,,゚Д゚)「そうか……しかし、見た目が変わってる魔法には時間制限があるんだな」
(* ー )「それも、恐らくという推測に過ぎませんが……」
(,,゚Д゚)「いずれは解けるのか……だとすると、ますますツン様の狙いが見えねぇなぁ……」


テクテクテクテク……


( ・∀・)「おーい、ギコ」
(,,゚Д゚)「ん? あ、モララーさん」

( ・∀・)「久しぶりだな。森での仕事は終わったのか」
(,,゚Д゚)「えぇ。草臥れました」

( ・∀・)「御母堂の病気、具合はどうだ?」
(,,゚Д゚)「これから帰宅するところですから、はっきりとは分かりませんが……最近は悪くありませんよ」
( ・∀・)「そうか。それならいいんだが」

( ・∀・)「ま、早く病状が良くなるように……ウチの果物でも買ってってくれよ」
(,,;゚Д゚)「そういう手でしたか……」
( ・∀・)「一応、やっとかねぇとな。暮らしてけなくなっちまうよ」


( ・∀・)「明日はツン様も街にいらっしゃる予定だしな」


(,,゚Д゚)「……えぇ、そうですね」




25 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:23:12.59 ID:jdsCqAg30
(,,゚Д゚)「じゃあ林檎と……洋梨をいただきます」
( ・∀・)「おう。また御贔屓に」


テクテクテクテク……


(,,゚Д゚)「予定にない買い物になっちまった」
(; - )「…………」
(,,゚Д゚)「……ん、どうしたんだ、クー様」
(; - )「あっ……いえ、その……」

(; - )「……なんでもありません」
(,,゚Д゚)「?」
(; - )(気のせい……だと思うけど……)


テクテクテクテク……


(,,゚Д゚)「ん……そういや、明日は式典か」
(,,゚Д゚)「なんか街がゴチャついてるなぁと思ったが……」
(* ー )「そうですね……フィーリィ王国、創立782年目の記念式典です」

(,,゚Д゚)「800年近くも魔法で運営されてきた国なんて、世界でもここだけだよな」
(* ー )「はい。偉大なる御先祖様あってこその繁栄です」

(,,゚Д゚)「たとえばあの噴水……あれも魔法で動いてるんだよな?」
(* ー )「【ムーブ】の魔法で、水をくみ上げて放出させています」




27 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:25:33.68 ID:jdsCqAg30
(* ー )「交通インフラも……街中を回る『空動車』は、姉が定期的に【ムーブ】で動かしています」
(,,゚Д゚)「ん? モノによってツン様担当かクー様担当かが違うのか?」
(* ー )「そうですね。街中にある多くのものは、姉ですが」

(,,゚Д゚)「そうか……王族にとっちゃ初めての双子だもんな」
(,,゚Д゚)「今まで一人でやってたことも、二人で分担したほうが効率いいよな」
(* ー )「はい。なんといっても、魔法は――――」

(* - )「…………」

(,,゚Д゚)「ん? なんだ、魔法は?」
(* ー )「……いえ……」

(* - )(……魔法は、使用者の寿命を削って生み出されるものだから……)


〜〜城下町・シルバーアロー区〜〜

(,,゚Д゚)「ここまで来りゃ顔出しても大丈夫だろ」
(*゚ー゚)「そうですね……」
(,,゚Д゚)「街中の気配から察するに、まだクー様がいなくなってるってことは街じゃ伝わってねぇみたいだな」
(*゚ー゚)「はい……大罪を犯したという噂は広まっていないようでした」
(,,゚Д゚)「でもまぁ、それも時間の問題かもな……」


テクテクテクテク……


(,,゚Д゚)「ウチはココだ。クー様が過ごす場所としてはあまりにも質素すぎるが……」
(*゚ー゚)「いえ、そのようなことは」




28 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:27:23.91 ID:jdsCqAg30
(,,゚Д゚)「まぁ、とりあえずは人心地つけるだろうし、ゆっくりしてってくれ」


ガチャッ


J( 'ー`)し「お帰り、ギコ」
(,,゚Д゚)「母さん。体調は?」
J( 'ー`)し「悪くないわ。こうやって歩き回れているのは、そういうことでしょう?」
(,,゚Д゚)「確かにそうか……良かった」

J( 'ー`)し「……あら……そちらの方は?」

(;゚ー゚)「あ、私は……」
(,,゚Д゚)「国有の森で仕事やってるときに出会ったんだ。王城で女中をやってる、しぃさんだ」
J( 'ー`)し「しぃさん……そうなのですか」
(,,゚Д゚)「ちょっと仲良くなったから、遊びに来いよって誘ったんだ」

J( 'ー`)し「しぃさん。狭小な住居で申し訳ありませんが、どうぞ寛いでいってください」
(*゚ー゚)「あっ……はい、ありがとうございます」
J( 'ー`)し「ギコ、私は夕飯の用意をしておくわ」
(,,゚Д゚)「じゃあ俺は部屋に行くよ」


テクテクテクテク……


(*゚ー゚)「ありがとうございます、ギコさん。嘘を吐かせることにはなってしまいましたが……」
(,,゚Д゚)「いや、いいさ。母さんには悪いけど……あんまり広めないほうがいいだろ?」
(*゚ー゚)「はい……今は、そうですね……」




29 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:29:40.30 ID:jdsCqAg30
(,,゚Д゚)「ところで」
(*゚ー゚)「はい?」

(,,゚Д゚)「明日は式典、だよな? さっきモララーさんも言ってたけど……式典ってことは……」


(*゚ -゚)「……姉が、城下町に来ます」


(,,゚Д゚)「万一、見つかったらマズイだろうし……明日はここで大人しくするか?」
(,,゚Д゚)「一日くらいなら母さんも何にも言わないだろうし……」
(*゚ -゚)「……いえ……」

(*゚ -゚)「不安はありますが……式典を、見に行こうと思います」
(,,;゚Д゚)「本気か? 大丈夫なのか?」
(*゚ -゚)「大人しくしていたほうが、いいとは思いますが……」

(*゚ -゚)「姉の気持ちを探りたいのです。姉が、どんな顔で式典に出てくるのか、どんな調子で言葉を発するのか……」
(*゚ -゚)「そうすれば、姉の目的が……もしかしたら、分かるかも知れません」

(,,゚Д゚)「……そうか、そうだな……よし」
(,,゚Д゚)「俺もついてくよ。何かあったら逃げなきゃいけねぇし、その手助けはできると思う」
(*゚ー゚)「はい。ありがとうございます」

(*゚ー゚)「【バニッシュ】で消えていれば、まず見つかることはないと思います」
(*゚ー゚)「あまり、乱用はできないので……姉の、式典挨拶のときのみ使用するつもりですが……」
(,,゚Д゚)「ん? 乱用できないって……あ、そうか」
(,,;゚Д゚)「いや、違うか……理由が分かんねぇ。魔力を消費するからか?」
(*゚ー゚)「……そうですね……魔力を……消費するからです」




31 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:31:34.85 ID:jdsCqAg30
(,,゚Д゚)「まぁ、消費しすぎたらダメなんだってのは分かるよ。体力みたいなもんだろうし」
(,,゚Д゚)「【バニッシュ】が頻用できないってことは、また顔は隠していったほうがいいな」
(*゚ー゚)「そうですね。明日はそうしようと思います」

(*゚ー゚)「あとは……【コーション】」


スゥゥゥゥ……


(,,゚Д゚)「ん?」
(*゚ー゚)「警戒網を張る魔法を発動させました。家の付近に何かが近付けば、その瞬間に対象の存在を把握します」
(,,゚Д゚)「へぇ……便利なもんだな」

(*゚ー゚)「私では、せいぜい人か動物か、といった程度しか感知できませんが……」
(*゚ー゚)「恐らく姉なら、姿かたちまで細かく把握すると思います」
(,,゚Д゚)「使用者によって効力が違うのか?」
(*゚ー゚)「一般魔法は、そうですね。使用者によって変わりますし……」

(*゚ー゚)「同じ者が使っても、そのときちゃんと集中できていたかどうかで、効力が変わります」
(*゚ー゚)「魔法名を口に出すのは、そのほうがイメージしやすくて、効力が強まるからです」
(,,゚Д゚)「無言でもいけるってことか」
(*゚ー゚)「はい。基本的には、有言で使用しますが」

(*゚ー゚)「ちなみに今、ずっと【プロテクション】をかけつづけています」
(*゚ー゚)「これは物理的な攻撃や、魔法の効果から身を守る魔法です」
(,,゚Д゚)「おぉ……そうか、ツン様から察知されないように、か」
(*゚ー゚)「はい。【リサーチ】を使われると、私の居場所が向こうに発覚してしまいますから」




33 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:33:43.02 ID:jdsCqAg30
(*゚ー゚)「姉に比べれば、私の魔法は効果に乏しいところがあるのですが……自己防衛系の魔法には、多少優れています」
(,,゚Д゚)「そういや、聞いたことあるよ。クー様は兵士の傷を癒したりすることが多いって」
(*゚ー゚)「そうですね……【ヒール】で人を治療したり、【リペア】で物を修復したりするのは、大抵私がこなしてきました」

(*゚ー゚)「国家運営に直接関わる部分……国家防衛や社会インフラ整備は、姉の担当です」
(,,゚Д゚)「まぁ、女王はツン様だもんな……」


コンコン


J( 'ー`)し「ギコ、お夕飯の用意ができたわ」
(,,゚Д゚)「おぉ、ありがとう。行こうか、しぃさん」
(*゚ー゚)「あ、はい。ありがとうございます」


テクテクテクテク……


(*゚ー゚)「いただきます」
J( 'ー`)し「あまり多くを用意できなくて、ごめんなさいね」
(*゚ー゚)「いえ、そのようなことは」

(,,゚Д゚)「食べる気力あるか? 大丈夫か?」
(*゚ー゚)「はい。いただきます」


パクパク




34 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:35:29.59 ID:jdsCqAg30
(*゚ー゚)「このミートパイ、美味しいですね……王城で食べるものよりも」
J( 'ー`)し「あら、宮廷以上だなんて、お上手ね」
(,,;゚Д゚)(女中は宮廷料理を食べられるもんなのか……? 母さん気づいてないみたいだからいいけど……)

J( 'ー`)し「しぃさんは、おいくつなの?」
(*゚ー゚)「あ、17歳です」
J( 'ー`)し「若いのに王城でお勤めなんて……苦労なさってるのね」
(*゚ー゚)「いえ……」

J( 'ー`)し「二人とも、明日の式典には行くの?」
(,,゚Д゚)「あぁ、毎年行ってるしな」
(*゚ー゚)「私は、外から見るのは初めてなので、とても楽しみです」
(,,゚Д゚)「そうか、そうなるんだよな」

(,,゚Д゚)「人ごみスゲーからなぁ。気をつけてくれよ」
(*゚ー゚)「そうですね、確かにいつも凄い人波で……賑わっていますね」
(,,゚Д゚)「ま、お祭りみたいなもんだしな。出店だの売り歩きだのもあるし」


カチャカチャ


(,,゚Д゚)「ふー……ごちそうさま、母さん」
(*゚ー゚)「ご馳走様です。ありがとうございます」
J( 'ー`)し「いえいえ。じゃあ、片付けちゃうわね」

(*゚ー゚)「あ、お手伝いします」
J( 'ー`)し「いいのよ。お客さんにそんなことさせられないわ」
(*゚ー゚)「でも……」




36 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:37:20.93 ID:jdsCqAg30
(,,゚Д゚)「いいよ、しぃさん。今日は疲れたろうし、ゆっくり休んでくれ」
(*゚ー゚)「……はい、ありがとうございます」


テクテクテクテク……


(,,゚Д゚)「魔力って、寝れば回復するもんなのか?」
(*゚ー゚)「……いえ、睡眠とは特に関係は……」
(,,゚Д゚)「そうなのか。でも連発はキツイんだよな」
(*゚ー゚)「それは、そうです。やはり疲労があります」

(,,゚Д゚)「ま、狭いとこだし、俺と一緒の部屋ってことになっちまうが……」


ガチャッ


(,,゚Д゚)「少しでも体と心を休めてくれ」
(*゚ー゚)「はい、ありがとうございます」
(,,;゚Д゚)「っつーか一緒でいいのか? 一応、護衛がてら側にいるつもりだけど」
(*゚ー゚)「そうしていただけると、私としては心強く思います」
(,,゚Д゚)「よし、分かった。任してくれ」

(,,゚Д゚)「なんか必要なもんあるか? なけりゃもう、灯り消しちまうが」
(*゚ー゚)「いえ、特にありません」
(,,゚Д゚)「そうか。まぁ俺はしばらく起きてるから、なんかあったら言ってくれ。おやすみ」
(*゚ー゚)「はい。おやすみなさい」




37 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:39:07.79 ID:jdsCqAg30
(*゚ -゚)(……静かだなぁ……)

(*゚ -゚)(色々、あったなぁ……ありすぎたくらいに……)
(*゚ -゚)(……お姉ちゃん……なんで……どうして……?)
(*゚ -゚)(分かんないよ、お姉ちゃん……)

(*- -)(…………)


(,,゚Д゚)(……クー様、寝たかな?)
(,,゚Д゚)(今日は色々あって、疲れただろうな……)

(,,゚Д゚)(誰かが来る気配はないし……とりあえず、今日は大丈夫そうか……?)
(,,゚Д゚)(俺もちょっと、休んどかねぇとな……また明日から大変だろうし……)


(*- -)Zzz...


 ・
 ・
 ・


ξ><)ξ『ムーブ! ムーブ! ムーブ!』
ξ;゚听)ξ『はぁ……だめだ、できないなぁ……難しい』
川 ゚ -゚)『うん……難しいね、お姉ちゃん』

川 ゚ -゚)『グラヴィティ、スロウ……効いてない?』
ξ゚听)ξ『うーん……身体も動きも重くなった感じはないかな……』




38 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:41:33.27 ID:jdsCqAg30
ξ゚听)ξ『魔法をイメージするのって難しいなぁ……』
ξ゚听)ξ『お母様はあんなに華麗にやってるのに……』

川 ゚ -゚)『でも、お母様も初めて使えたのは6歳のときだったって言ってたよ』
川 ゚ -゚)『私たちも、あと一年すれば使えるようになるかも……』
ξ゚听)ξ『私は今すぐ使いたいなぁ……だってかっこいいんだもん』

川 ゚ -゚)『だけどお姉ちゃん、寿命が……』
ξ゚听)ξ『それは、王族なんだから仕方ないでしょ?』
川 ゚ -゚)『……そうだね……』

ξ゚听)ξ『めげずに頑張れば、きっとできるよ』
川 ゚ -゚)『うん、そうだね』
ξ゚听)ξ『頭の中で、魔法をイメージして……』

ξ゚听)ξ『【ムーブ】!』


フワッ


ξ*゚听)ξ『あっ……!!』
川 ゚ -゚)『石が動いた!』
ξ*゚听)ξ『やった! 遂にできた! 私も魔法が……』

ξ;゚听)ξ『あっ!』


ビシッ!!




39 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:43:19.23 ID:jdsCqAg30
ξ;゚听)ξ『クー!! 大丈夫!?』
川メ゚ -゚)『う、うん……平気だよ』
ξ;゚听)ξ『でも傷が……! 【ヒール】!』


シーン……


ξ;゚听)ξ『だめだ、ヒールはまだ使えない……』
ξ;゚听)ξ『ごめんね、ごめんねクー……』

川メ゚ -゚)『大丈夫……ちょっと痛かったけど、もう平気だから……』
ξ;゚听)ξ『お城に戻ろう! 手当てしてもらわなきゃ……!』


タッタッタッ……


〜〜フィーリィ城〜〜

ミセ*゚ー゚)リ「【ヒール】」


ポゥ……


川 ゚ -゚)『治った……』
ミセ*゚ー゚)リ『これでもう大丈夫ね。大した傷じゃなくてよかったわ』




40 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:45:13.20 ID:jdsCqAg30
ξ;゚听)ξ『ごめんなさい、お母様……』
ミセ*゚ー゚)リ『いいのよ。初めてだから、上手く制御できなかったんでしょ?』

ミセ*゚ー゚)リ『それよりツンが魔法を使えるようになって、嬉しいの。まだ5歳なのに』
ξ*゚ー゚)ξ『うん! これでお母様のお手伝いができるよ!』
ミセ*゚ー゚)リ『ふふ、そうね。でもそれはまだ先の話だわ。これからもっと、練習しなきゃ』
ξ*゚ー゚)ξ『うん、頑張る!』

ξ*゚ー゚)ξ『クー、また一緒に練習しようね! 私ができたんだから、きっとクーもすぐだよ!』
川 ゚ -゚)『……うん、私も早く使えるようになりたい』
ミセ*゚ー゚)リ『そうね。クーにも魔法が使えるようになってほしいわ』

ミセ*゚ー゚)リ『だけど、王位を継承するのはツンだから、クーはそんなに無理しなくてもいいのよ?』
ミセ*゚ー゚)リ『万一のことを考えると、魔法を使えるようにはなってもらいたいけれど』
川 ゚ -゚)『……でも、私も……いつかはお姉ちゃんを……』

ミセ*゚ー゚)リ『魔法の使用には寿命の消費を伴う。それは、クーも知ってるはずよ?』

川 ゚ -゚)『……うん……』
ミセ*゚ー゚)リ『だから、クーは魔法が使えるようになれば充分よ』
ミセ*゚ー゚)リ『魔法が使えるようになって、初めて魔力が芽生える。魔力がなきゃ子供にも魔力は継承されないわ』


ξ゚听)ξ『…………』


ミセ*゚ー゚)リ『二人とも、明日からも頑張ってね』
ミセ*゚ー゚)リ『フィーリィ王国繁栄のために』




41 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:46:40.76 ID:jdsCqAg30
 ・
 ・
 ・


(*- -)(……お姉ちゃん……)
(*- -)(あんなに……あんなに優しかったのに……)
(*- -)(……どうしてなの……?)


……ピィン


(;゚ー゚)「ッ!!」

(;゚ー゚)(コーションの警戒網に反応……!! 誰か来た!?)



〜〜ギコの家の玄関口〜〜

コンコン


J( 'ー`)し「あら……誰かしら、こんな夜更けに……」




42 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:48:08.58 ID:jdsCqAg30
◆◆ここまで第2話◆◆





◆◆ここから第3話◆◆
43 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:49:22.71 ID:jdsCqAg30
(兵`フ´)「夜分遅くに失礼します」
J( 'ー`)し「あら……兵士さん……?」

(兵`フ´)「実は今、城下町の民家を調べているのです」
J( 'ー`)し「それは……どうしてですか?」
(兵`フ´)「クー様が現在、行方を晦ましているためです」
J(;'ー`)し「!! クー様が……!?」

(兵`フ´)「どこかの民家に匿われているとの情報があり、捜索しているところです」
(兵`フ´)「ここに、クー様は?」
J(;'ー`)し「いらっしゃるはずがありません。クー様が、こんなところに……」

(兵`フ´)「……そうですか……ただ、一応家内を調べさせていただきます」
(兵`フ´)「ご存じのとおり、クー様は魔法が使える……貴女が知らないうちに家に忍び込んでいるかも知れません」
J(;'ー`)し「……はい、お調べになってください。クー様の大事とあれば……」
(兵`フ´)「ご協力に心より感謝いたします」


〜〜ギコの部屋〜〜

(;゚ー゚)「ギコさん!」
(,,;゚Д゚)「誰か来たんだな!? すぐに逃げよう!!」
(,,;゚Д゚)「窓から外に出れる!! 今なら逃げ切れるはずだ!!」
(;゚ー゚)「はい!! 【バニッシュ】!!」


ボゥッ……




44 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:51:30.39 ID:jdsCqAg30
『クー様は消えている可能性がある! 隈なく探せ!』
『多少手荒でもいい! とにかく見つけ出すんだ!』


(,,;゚Д゚)「ッ……兵士のやつ、声でけぇな……」
(;゚ -゚)「…………」


タッタッタッ……


(,,;゚Д゚)「町の外れに誰も使ってない廃屋がある。そこに隠れよう」
(;゚ー゚)「はい」


〜〜町はずれの廃屋〜〜

(,,;゚Д゚)「兵士はいないな……あからさまに怪しい廃屋だから、もう調べ終わったあとか……?」
(;゚ー゚)「そうかもしれません……」

(,,゚Д゚)「……汚いとこだし、寒いが、もう夜明けは近い……眠る必要はないと思うが……」
(;゚ー゚)「はい、大丈夫です。このまま式典まで起きつづけます」

(,,゚Д゚)「しかし、あいつら……森のときと同じように、またクー様の居場所を探し当てやがった……」
(,,゚Д゚)「なんかおかしい気もするが……」

(,,;゚Д゚)「……あ、もしかして……」
(;゚ー゚)「なにか心当たりが?」




45 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:54:01.61 ID:jdsCqAg30
(,,;゚Д゚)「もし、俺がクー様と一緒にいることがバレてるとしたら……リサーチで情報が……」
(;゚ー゚)「……いえ、それはありません」

(;゚ー゚)「実は……念を入れて、ギコさんにも【プロテクション】をかけています」
(,,;゚Д゚)「そうなのか?」
(;゚ー゚)「はい……同じことを私も考えたので……」

(,,゚Д゚)「そうか……でも、ツン様はこっちの情報をある程度掴んでるような気がするな……」
(,,゚Д゚)「……もしかして、禁忌魔法か……?」

(*゚ー゚)「私は……禁忌魔法にはあまり詳しくないため、分かりませんが……」
(*゚ー゚)「もしかしたら、プロテクションを突破するような情報取得魔法があるのかもしれません……」
(,,゚Д゚)「だとしたらお手上げだけど、今のところまだ助かってる……そこも不可解だ」

(*゚ -゚)「もし禁忌魔法だとしたら、そのこと自体が不可解です」
(*゚ -゚)「姉は……この短期間に、三つも禁忌魔法を使っていることになります」
(*゚ -゚)「禁忌魔法は莫大な魔力を必要とする魔法……いかに姉といえど、それはあまりに無茶です」
(,,゚Д゚)「そうか……そうだよな……」


(*゚ -゚)(……お姉ちゃんは、二つ使用しただけでも既に魔力を大きく消費している……)
(*゚ -゚)(そこまでして得たいものがあるってことなの……?)
(*゚ -゚)(あんな風に……兵士さんを駆りだしてまで……)

 ・
 ・

『クー様は消えている可能性がある! 隈なく探せ!』
『多少手荒でもいい! とにかく見つけ出すんだ!』




46 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:55:22.73 ID:jdsCqAg30
 ・
 ・

(*; -;)「……ッ……」
(,,;゚Д゚)「な、なんだ? 突然どうした?」
(*; -;)「いえ……その……」

(*; -;)「先ほどの、兵士さんの声を思い出したら……」
(*; -;)「凄く、怖くなってしまって……」

(,,゚Д゚)「あいつらか……酷いこと言ってたな……」
(*; -;)「……いつも凄く優しい方たちだったのに……あんな風に……」
(,,゚Д゚)「そうだな……俺も同じ立場だったら、すげぇ怖ぇと思うよ……」

(*゚ -゚)「……すみません、もう大丈夫です」
(,,゚Д゚)「ん……いつの間にか、夜は明けたな」


〜〜城下町・大広場〜〜

(,,゚Д゚)「すげー……やっぱ式典のときはみんな頑張って準備してるなぁ……」


ワイワイガヤガヤ


(,,゚Д゚)「出店もあんなにいっぱい……ツン様がスピーチするための台も……」
(*゚ -゚)(…………)
(,,;゚Д゚)(っと、そうか。消えてるクー様に話しかけちゃダメだよな)




48 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:57:04.98 ID:jdsCqAg30
( ・∀・)「おーっすギコ」
(,,゚Д゚)「モララーさん。昨日ぶりです」

( ・∀・)「いやー、やっぱ式典のときは人が凄いな」
(,,゚Д゚)「そうですね。みんな頑張ってますね」
( ・∀・)「一年に一回だからな。ツン様が来るときくらいは頑張るだろ」

(,,゚Д゚)「モララーさんも出店してるんですか?」
( ・∀・)「おう。フルーツ串だ! 買ってってくれよ!」
(,,;゚Д゚)「去年さっぱり売れなかったのに、全然懲りてませんね」
( ・∀・)「今年はいける! パインを追加した!」
(,,;゚Д゚)「フルーツを串で刺すってのがダメな気もするんですけどね……鮮度落ちるし……」

(,,゚Д゚)「まぁ、後で行けたら行きます」
( ・∀・)「待ってるからなー」


(,,゚Д゚)「さて……ツン様のスピーチがもうすぐ始まるな……」
(*゚ -゚)(……お姉ちゃん……)

(,,゚Д゚)「……来た!」
(;゚ -゚)(……!!)

(,,;゚Д゚)(うわ、すげぇ……場が一瞬で静まり返った……)


ξ゚听)ξ『国民の皆様、本日は創立782年目の記念式典にお集まりいただき、ありがとうございます』

(;゚ -゚)(……お姉ちゃん……いつもと変わらないように見える、けど……)




50 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 21:58:50.14 ID:jdsCqAg30
ξ゚听)ξ『私が即位してから早1年……皆様の多大なるご支援のおかげで、この日を迎えることができました』
ξ゚听)ξ『素晴らしき蒼穹が広がり、まるで空もフィーリィ王国を祝福してくれているかのようです』

ξ゚听)ξ『……しかし、そんな好き日に、あるまじき報告を皆様にはしなければなりません』


ザワザワ……


(;・∀・)「……おい、どうしたんだ? 何があった?」
(,,;゚Д゚)「モララーさん……まだ、分かりませんが……」

(;゚ -゚)(うそ、まさか……お姉ちゃん……!)

ξ゚听)ξ『既に知っている方もいらっしゃると思いますが……昨日より、妹クーが行方を晦ましています』
ξ゚听)ξ『国軍兵士が総出で捜索していますが、まだ発見には至っておりません』

(;・∀・)「クー様が? どうして……」
(,,;゚Д゚)「それは……」

ξ゚听)ξ『妹が逃亡している理由……それを皆様に申し上げるのは、大変心苦しいのですが……』
ξ゚听)ξ『フィーリィ王国は魔法なしでは成り立たない国……国家運営は私たちに課せられた責務です』


ξ゚听)ξ『……その責務から、妹は逃げ出しました』

ξ゚听)ξ『政務放棄です』




51 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:01:15.66 ID:jdsCqAg30
ザワザワ……
ザワザワ……


(;・∀・)「おいおいおいおい……どういうことだ」
(;・∀・)「クー様が政務を投げ出したなんて……この国はどうなっちまうんだ?」

(;゚ -゚)(……政務……放棄……!?)
(;゚ -゚)(確かに私は、一昨日、倒れて政務を休んだけど……もしかして、そのことを言ってるの……!?)

(;゚ -゚)(でもあんなの、一日休んだだけで……無断だったわけでもないし……)
(;゚ -゚)(……お姉ちゃん……)

ξ゚听)ξ『詳細は現在確認中です。しかし、政務放棄は、いかなる理由があろうとも決して許されない罪です』
ξ゚听)ξ『……私は、一国の主として……たとえ実の妹であろうと、必ず断罪します』

ξ゚听)ξ『必ずです』

((((( ; -;)))(お……お姉ちゃん……!)


ξ゚听)ξ『式典の場でこのような報告をすることになってしまい、申し訳ありません』
ξ゚听)ξ『……妹の件が片付くまで、私は当面、妹の仕事を補うことになります』
ξ゚听)ξ『王城での政務が増え、恐らく、町にまで手が回らなくなることと思います』

ξ゚听)ξ『国民の皆様にはご迷惑をおかけすることになりますが……』
ξ゚听)ξ『町の運営をしばらくの間は、皆様でお願いいたします』
ξ゚听)ξ『その間に私は、問題を処理しますので』

ξ゚听)ξ『以上で、ツン・フィーリィからのスピーチを終了いたします』




52 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:03:05.77 ID:jdsCqAg30
ザワザワ
ザワザワ


(;・∀・)「おいおい、しばらく町から魔法がなくなるってことか?」
(,,;゚Д゚)「空動車は使えなくなりますね。あれがないと物流も郵便も……」
(;・∀・)「それだけじゃねーよ。銀行はどうなっちまうんだ」
(,,;゚Д゚)「確かに……あれもほとんど魔法に頼ってて、銀行員なんて数える程度しか……」
(;・∀・)「他にも色々……あー、マジでヤバいな」

(;・∀・)「出店やってる場合じゃねーぞ! 魔法に頼ってる部分に人をあてねーと!」
(,,;゚Д゚)「俺も後で行きます!」
(;・∀・)「おう! また後でな!」


(,,;゚Д゚)「……クー様、聞こえるか?」ボソボソ
(,,;゚Д゚)「町はかなり混乱してる。ひとまず廃屋に戻ろう」ボソボソ
( ; -;)「は、はい……」ボソボソ


タッタッタ……


〜〜フィーリィ城〜〜

(´・ω・`)「……お疲れ様でした、ツン女王陛下」
ξ゚听)ξ「町の様子は?」
(´・ω・`)「やはり、混乱はあるようですが、致し方ありません」




54 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:04:53.75 ID:jdsCqAg30
(´・ω・`)「兵士はどうしますか?」
ξ゚听)ξ「城に引き上げさせて。外を捜索させても労力の無駄だわ」
(´・ω・`)「了解いたしました。そのように指示を出します」


ξ゚听)ξ「……もう、ほとんど時間がないわ……」

ξ゚听)ξ「困るのよ……早めに、クーに死んでもらわないと……」


(´・ω・`)「……そうですね……ツン女王陛下の、寿命が尽きる前に……」
ξ゚听)ξ「えぇ……私たち双子は、二人で血を分けあったから……」
ξ゚听)ξ「魔力が半分……当然、寿命も半分……」

ξ゚听)ξ「……お母様もそうだったように……王族の血を引く者は、40歳前後が寿命……」
ξ゚听)ξ「私たちの場合は、20歳……いえ、小さい頃から使っているから、もっと短いわ……」

(´・ω・`)「ツン女王陛下は、特に……クー様に対しての禁忌魔法で、寿命が……」
ξ゚听)ξ「……魔法が発動すれば、それももう、関係のないことだわ」
ξ゚听)ξ「フィーリィ王国のためだもの……仕方がないわよ」

(´・ω・`)「そう……ですね」

(´・ω・`)「……失礼します、ツン女王陛下」


スタスタスタ……


ξ゚听)ξ(……さて、私は……)




55 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:07:31.00 ID:jdsCqAg30
〜〜フィーリィ城・書物庫〜〜

ξ゚听)ξ「…………」
ξ゚听)ξ(……禁忌魔法に関する書物は……107番の棚……)
ξ゚听)ξ(背表紙は、青と黒……)

ξ゚听)ξ「…………」


ペラペラ

『【ドレイン】
 対象者の魔力を奪う。
 発動には一定の条件を満たす必要がある。
 発動条件は、対象者にとって満たしにくいものが自動的に設定され、同時に制限時間も設定される。
 術者は使用後から発動までの間に、自動設定された発動条件や制限時間を把握することができる。』


ξ゚听)ξ「……【イミテーション】』


ポウッ……


『【ドレイン】
 対象者の魔力を奪う。
 発動には一定の条件を満たす必要がある。
 ”発動条件は自動的に設定され”、同時に制限時間も設定される。
 術者は使用後から発動までの間に、自動設定された発動条件や制限時間を把握することができる。
 ”また、当該魔法には固定の発動キャンセル条件が存在する。発動キャンセル条件は、一定量の涙を流すこと。”』




56 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:09:33.86 ID:jdsCqAg30
ξ゚听)ξ(……もう一つ……)


『【メタモルフォシス】
 対象者の姿形と性格を変える。
 姿形は同姓のものになり、性格は真逆のものになる。
 発動に条件は必要ない代わりに、多大な魔力を消費する。』


ξ゚听)ξ「【イミテーション】」


『【メタモルフォシス】
 対象者の姿形と性格を変える。
 ”姿形や性格は原型から類似したものになる。”
 発動に条件は必要ない代わりに、多大な魔力を消費する。
 ”また、当該魔法には固定の解除条件が存在する。解除条件は、一定量の涙を流すこと。”』


ξ゚听)ξ(……書き換え完了。そして……【プロテクション】)

ξ゚听)ξ(これで、イミテーションが見破られることはないわ……)


ξ゚听)ξ(……一般魔法に一般魔法を重ねる技術、きっとクーは知らないわね)
ξ゚听)ξ(知っているはずがないわ……誰も教えなかったから……)

ξ゚听)ξ(……全ては、こうするために、ね)




57 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:10:43.87 ID:jdsCqAg30
◆◆ここまで第3話◆◆





◆◆ここから第4話◆◆
59 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:12:35.61 ID:jdsCqAg30
〜〜町外れの廃屋〜〜

(,,;゚Д゚)「……しかし、ツン様のスピーチ……あれはなんなんだ、どういう意味だ?」
(,,;゚Д゚)「政務放棄なんて……」

(;゚ -゚)「思い当たる節が、ないわけではありません」
(;゚ -゚)「ただ、先代女王が逝去してから今までに、政務を休んだのは一日だけです」
(;゚ -゚)「……一日たりとも休んでいない姉から見れば、そう映るのかも知れませんが……」

(,,;゚Д゚)「いやいや、たった一日休んだだけで放棄なんて、そんなまさか……」
(,,;゚Д゚)「でもあのツン様の表情……本気で怒ってたな……すげー怖かった……」

(*; -;)「本当に分かりません……姉が、何をしたいのか……」
(*; -;)「これからどうすればいいのかも……私には……」

(,,゚Д゚)「……クー様、このまま手を拱いていても事態は好転しない」
(,,゚Д゚)「やっぱここからは、多少危険が伴ってでも実りある道を選ぶべきだ」

(,,゚Д゚)「王城に直接乗りこんで、打開策を見つけよう」
(;゚ -゚)「お、王城に……!? それは、本当に危険な……!」

(,,゚Д゚)「心配しないでくれ。クー様にそうしてくれってんじゃねぇんだ」
(,,゚Д゚)「俺が行く。城に忍び込んで、情報を持ってくる」
(;゚ -゚)「そ、それは……! 私が行くよりも無茶な話です!」

(,,゚Д゚)「ところが、そうでもねぇんだ」


チャリ




60 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:14:06.92 ID:jdsCqAg30
(,,゚Д゚)「俺、森で小屋を国から借りてただろ? これがその小屋の鍵なんだ」
(,,゚Д゚)「こいつを今日返しに行く予定だ。城に入るのは容易い」

(,,゚Д゚)「前にも城には何回か入ったことあって、城内構造は把握してるよ」
(*゚ -゚)「……そうなのですか……」

(,,゚Д゚)「ただ、問題はそのあとだ」
(,,゚Д゚)「城に入った後、どういう情報を持ってくればいいのか……それが俺にはわかんねぇ」
(,,゚Д゚)「何が必要だと思う? クー様。知恵を貸してくれ」

(*゚ -゚)「……必要なのは、禁忌魔法についての情報です」

(*゚ -゚)「私は禁忌魔法がどのようなものか、どのような種類の魔法があるのかさえ、ほとんど分かっていません」
(*゚ -゚)「ですから……禁忌魔法について何か分かれば」
(,,゚Д゚)「よし、分かった。それに関する書物なり資料なりを持ってくればいいんだな?」

(;゚ -゚)「しかし、魔法に関する書物庫はほぼ確実に施錠されています」
(,,゚Д゚)「いざとなりゃ無理やりこじ開けるさ。鍵は物理的なもんだろ?」
(;゚ -゚)「そうですが……しかし……」

(,,゚Д゚)「大丈夫だ。俺を信じてくれ」
(,,゚Д゚)「きっと何とかしてみせる。だから、ここで待っててくれ」

(*゚ー゚)「……そうですね、信じます。ありがとうございます」

(*゚ー゚)「念のため、【プロテクション】は掛けなおしておきます」
(*゚ー゚)「それから動作を速める【クイック】も」
(,,゚Д゚)「おぉ。そんだけしてくれりゃ充分だ」
(*゚ー゚)「万一のことがあった場合は、強引にでも逃げてきてください」




62 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:16:04.77 ID:jdsCqAg30
(,,゚Д゚)「……よし、行ってくる」
(*゚ー゚)「はい……どうか、お気をつけて」
(,,゚Д゚)「あぁ」


タッタッタッ……


(*゚ -゚)(ギコさん……どうか、ご無事で……)


〜〜フィーリィ城〜〜

(,,゚Д゚)「小屋の鍵を返しに来たんです。お忙しいと思いますので、担当窓口に通していただけますか?」
(兵`ハ´)「うむ……いま王城は慌ただしいからな……直接担当窓口のほうへ行ってくれ」
(,,゚Д゚)「ありがとうございます」


(,,゚Д゚)(……よし、担当窓口に行く前に、書物庫に……)
(,,゚Д゚)(確か、こっちだな……)


タッタッタッ……


(,,゚Д゚)(書物庫……あった、ここだ)
(,,゚Д゚)(人通りはなし……鍵は……)

(,,゚Д゚)(……施錠なしだ。入れるぞ)




65 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:18:24.13 ID:jdsCqAg30
『おーい、誰か書物庫にこのハコ運んでってくれー』
『ん、じゃあ俺行ってくるわ』

(,,;゚Д゚)(ッ!! 誰か来るか!?)
(,,;゚Д゚)(まずいな……ここで兵士に見つかるわけには……)

(,,;゚Д゚)(書物庫の中は広いし暗い……隠れれば見つからずにやり過ごせるはずだ!)


ダダダッ


 ・
 ・
 ・


〜〜町外れの廃屋〜〜

(*゚ -゚)(……夜になっちゃった……)
(*゚ -゚)(ギコさん……大丈夫かな……)

(*゚ -゚)(……昨日は兵士さんが町中を捜索してたみたいだけど、今日は全然ないなぁ……)
(*゚ -゚)(町にはいないって判断されたのかな……?)
(*゚ -゚)(だとしたら……お姉ちゃんは私の居場所を全く掴んでないってことになるけど……)

(*゚ -゚)(……だけどやっぱり、なんだか見通されてるような気がする……気のせいかな……)


ガチャッ




66 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:20:10.60 ID:jdsCqAg30
(;゚ -゚)「ッ!!」
(,,゚Д゚)「クー様、いるか? 俺だ」
(*゚ー゚)「あっ……ギコさん!」
(,,゚Д゚)「バニッシュで消えてんのか。大丈夫だ、周りに兵士はいなかった」
(*゚ー゚)「はい。【バニッシュ】解除」

(,,゚Д゚)「ふー、大変だった……途中で兵士に見つかりそうになって……」
(,,゚Д゚)「でも、ちょうど書物庫に物を運び入れるタイミングだったみたいで、鍵はかかってなかったよ」
(,,゚Д゚)「そんで……禁忌魔法に関する書物も見つけてきた」


ドサッ


(,,゚Д゚)「この本だ。かなりチェックしたが、禁忌魔法について書かれてるのはこの本だけだった」
(;゚ -゚)「初めて見ました……」

(,,゚Д゚)「で、実際なかを見てみると、禁忌魔法についての情報が載ってる」
(,,゚Д゚)「【フレア】、【サンダーボルト】、【アースクエイク】……攻撃するような魔法は全部禁忌なんだな」
(,,゚Д゚)「でも、攻撃以外にも禁忌があって……【セレクト】、【リバース】、【フォーシー】などなど」

(,,゚Д゚)「そんで、クー様にかかった魔法のひとつはこいつだろうと思う」


『【メタモルフォシス】
 対象者の姿形と性格を変える。
 姿形や性格は原型から類似したものになる。
 発動に条件は必要ない代わりに、多大な魔力を消費する。
 また、当該魔法には固定の解除条件が存在する。解除条件は、一定量の涙を流すこと。』




69 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:22:10.18 ID:jdsCqAg30
(;゚ -゚)「……そうですね、これだと思います」
(;゚ -゚)「微かに聞き覚えのある魔法ではありますが……しかし、本当に存在していたんですね……」

(,,゚Д゚)「……それから、もう一つ……」
(,,゚Д゚)「これは……ちょっと、ショックを受けるかもしんねぇが……」


『【ドレイン】
 対象者の魔力を奪う。
 発動には一定の条件を満たす必要がある。
 発動条件は自動的に設定され、同時に制限時間も設定される。
 術者は使用後から発動までの間に、自動設定された発動条件や制限時間を把握することができる。
 また、当該魔法には固定の発動キャンセル条件が存在する。発動キャンセル条件は、一定量の涙を流すこと。』


(;゚ -゚)「ッ!!」

(;゚ -゚)「魔力を……奪う……!!」


(,,;゚Д゚)「……あくまで、最悪の事態を想定したら、この魔法になるってだけなんだが……」
(,,;゚Д゚)「ただ、その……噂話で聞いたことがあって……」
(;゚ -゚)「噂……ですか?」

(,,゚Д゚)「……魔法の使用には、寿命の消費を伴うって話だ」
(;゚ -゚)「ッ!!」

(,,;゚Д゚)「……やっぱりそうなのか。王族の血を引く人間は、寿命を削って魔法を……」
(,,;゚Д゚)「だから歴代の女王様たちは、みんな早世なんだな……」




71 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:23:43.54 ID:jdsCqAg30
(;゚ -゚)「すみません……今まで、黙っていて……」
(,,;゚Д゚)「いや、それはクー様が謝ることじゃないさ……俺たち国民のほうが、むしろ……」

(*゚ -゚)「……魔法で国を繁栄させていくのは、王族にとっての責務です」
(*゚ -゚)「寿命を消費して魔法を使用することは、私たちにとって当然……何ら躊躇いはありません」

(,,゚Д゚)「……そう、か……そうだよな……」

(,,゚Д゚)「ってことは、寿命の短いツン様が、寿命を延ばすためにドレインを使った……ってことなのか?」
(,,;゚Д゚)「いやでも、実の妹だぞ……そんな、あのツン様が、そんな冷酷な……」

(*゚ -゚)「……いえ……姉が、私の魔力を……命を奪いに来ているというのは……」
(*゚ -゚)「決してありえない話ではありません……」

(,,;゚Д゚)「そうなのか?」
(*゚ -゚)「はい……私と姉の、姉妹仲は……決して良好なものではないからです」

(*゚ -゚)「幼いころは、そうでもなかったのですが……ここ最近、姉は明らかに、私に対して冷たくなりました」
(*゚ -゚)「以前のように姉が笑うことはなくなり……政務のことでしか会話はありません」
(*゚ -゚)「正直、私は原因が分からず……ただ当惑している状態でした……」

(,,゚Д゚)「……ドレインを使われるほど……憎まれてたのか……?」
(*; -;)「わ、分かりませんが……そういう可能性も……」
(,,;゚Д゚)「っと、すまねぇ! 言葉が過ぎた……」
(*; -;)「いえ……」

(,,゚Д゚)「……とにかく、それだ」
(*; -;)「え……?」
(,,゚Д゚)「涙だ」




72 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:25:44.64 ID:jdsCqAg30
(,,゚Д゚)「書物の説明に書いてあったとおり、ドレインもメタモルフォシスも、解除条件は一緒なんだ」
(,,゚Д゚)「涙を一定量流すことで、魔法を解除できる」

(,,゚Д゚)「ドレインの発動条件は分からねぇが、今こうやってる間にも条件を満たしちまってるかもしれねぇ」
(,,゚Д゚)「ツン様の陰謀が予測どおりなら、クー様の魔力がなくなっちまう……俺たちは、やれることをやってくしかない」


(*゚ -゚)「……そうですね。私にはもう、そうするしかありません」


(,,゚Д゚)「つっても涙なんて、そう簡単に流せるものでも」
(*゚ -゚)「いえ……」

(*゚ -T) ツーッ……

(*T -T)「……たくさん、辛いことがありましたから……今は、すぐにでも……」
(,,゚Д゚)「そうか……そうだよな……」

(,,゚Д゚)「涙を我慢しなけりゃ、ちょっとは気も楽になるだろうし……」
(*T -T)「そうですね……城を出てから今までずっと、気を張っていたので……」

(,,゚Д゚)「俺はいないほうがいいか?」
(*T -T)「いえ……どちらでも構いません。どちらであれ、涙は出ます」

(,,゚Д゚)「とりあえず、食糧を調達してくるよ。この廃屋でも食えるようなもんを」
(*T -T)「はい、お願いします」


ガチャッ
バタン




77 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:35:19.48 ID:jdsCqAg30
(*T -T)(……お姉ちゃん……)


スッ……ペラペラ


(*T -T)(禁忌魔法に関する本……どっかにはあるんだと思ってたけど、見たことなかったな……)
(*T -T)(お母様も何も教えてくれなかったし……)

(*T -T)(お姉ちゃんが禁忌を使えるってことは、この本で勉強したってことだよね……)
(*T -T)(……だとしたら、本に対して何か魔法が使われてる可能性もあるのかな……?)

(*T -T)「……【ペネトレイト】」


シーン……


(*T -T)(……何も反応がない。【イミテーション】が使われてれば、検知できるはずだけど……)
(*T -T)(でも、この本を私が持ち出せてるなんて思ってないだろうし……当然といえば当然かな……)

(*T -T)(……ドレイン……魔力を奪う魔法が存在してたなんて……)
(*T -T)(魔力は寿命と同義……これが発動したら、私、死んじゃうんだよね……)
(*T -T)(お姉ちゃんは、私を殺そうとしてるってことだよね……?)

(*T -T)(でも、魔法を使うことで寿命が縮んで……普通の人よりは早く死んじゃう、なんて)
(*T -T)(そんなの、ちっちゃい頃から分かってたことなのに……)
(*T -T)(死が、怖くなったの……? だから私の魔力を……?)




78 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:37:05.32 ID:jdsCqAg30
(*T -T)(……分かんない……私たちだって、お母様と同じくらいは生きられるはずなのに……)
(*T -T)(もっと長く生きたいって……そう思ったことが、ないわけじゃないけど……)
(*T -T)(でも、仕方がないことだもん……王族の血を引く以上は……)

(*T -T)(お姉ちゃんも覚悟してるって思ってた……でも、違ってたのかな……)


ポタポタ


(*T -T)(涙、たくさん流れてる……)
(*T -T)(今まで我慢してたぶんが溢れてるのかな……)

(*T -T)(……なんか、体が……冷たくなってきた……)
(*T -T)(熱が出てる……? 寒気が……)


……シュゥゥゥ


(*T -T)「……え?」

(;゚ -゚)「ッ!! 身体が……!!」


シュゥゥゥ……


(;゚ -゚)「腕が……足が……!」
(;゚ -゚)「透明になってる……!!」




80 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:38:59.67 ID:jdsCqAg30
(;゚ -゚)「あ、あ……力が……身体から、抜けてく……!」

(;゚ -゚)「うそ……そんな……!」
(;゚ -゚)「ド、ドレイン……発動……!?」


グラッ……


(; - )「……う……ぁ……!!」

(; - )「ギ、ギコさん……たす、たすけ……」


(; - )「おね……ちゃ……」


グラッ……バタン!!





(  - )




81 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:40:51.24 ID:jdsCqAg30
〜〜フィーリィ城〜〜

ξ゚听)ξ「…………」


コンコン
ガチャッ


(´・ω・`)「失礼します。お呼びでしょうか、ツン様」
ξ゚听)ξ「えぇ……」

ξ゚听)ξ「……クーが死んだわ」
(´・ω・`)「!!」

(´・ω・`)「……お疲れ様でした」
ξ゚听)ξ「それは、彼に言ってあげてちょうだい」
(´・ω・`)「そうですね……」

ξ゚听)ξ「御苦労だったわ」
ξ゚听)ξ「ギコ・オンディック」


(,,゚Д゚)「……いえ……」


ξ゚听)ξ「約束の報酬についてだけれど、もう既に実行済みよ」
ξ゚听)ξ「家に帰れば、元気な笑顔を見ることができると思うわ」
(,,゚Д゚)「はい……ありがとうございます」




82 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:42:36.49 ID:jdsCqAg30
(,,゚Д゚)「ただ、やはり……私は、このような形は」
ξ゚听)ξ「口が過ぎるわよ、ギコ」
(,,;゚Д゚)「……申し訳ありません」

ξ゚听)ξ「これが、国にとって最善……それ以上は、必要ないわ」
ξ゚听)ξ「それに……貴方にはまだ、やるべきことがあるはずよ」
(,, Д )「ッ……」

(,,゚Д゚)「……ありがとうございました。失礼します」


ガチャッ
バタン


(´・ω・`)「……ツン様」
ξ゚听)ξ「何も言わないで、ショボン」
(´・ω・`)「……はい」

ξ゚听)ξ(……これで良かったのよ……)

ξ゚听)ξ(例え誰からも理解されない行いだったとしても……)
ξ゚听)ξ(……これで……)


ξ゚听)ξ「……いい月ね、ショボン」
(´・ω・`)「はい」

ξ゚听)ξ「……それ以上は、何も必要ないわ」




85 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:46:05.89 ID:jdsCqAg30
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 【(*゚ー゚)クーの涙が命を削り取っていくようです】

   〜Fin〜




89 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:49:14.94 ID:jdsCqAg30
◆◆ここまで第4話◆◆





◆◆ここから第0話◆◆
91 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:51:13.65 ID:jdsCqAg30
〜〜フィーリィ王国〜〜

ミセ;゚ -゚)リ「双子……!?」
(;´∀`)「お、おぉ……!?」


オギャーオギャー


ミセ;゚ -゚)リ「かつてないことだわ……王族から双子が生まれるだなんて……」
(;´∀`)「ど、どうなるモナ? 何かマズイモナ?」

ミセ;゚ -゚)リ「……王族は、子を産んだとき、子に寿命を……魔力の源を分け与える」
ミセ;゚ -゚)リ「その対象が二人になるということは……つまり……」

(;´∀`)「……この子たちは、寿命も魔力も、通常の半分しかないってことモナ……?」

ミセ;゚ -゚)リ「まずいわ……そうなると、この子たちは20歳くらいまでしか生きられないことになる……」
ミセ;゚ -゚)リ「無理に子を産んでも微量の魔力源しか継承されないことになる……」


ミセ;゚ -゚)リ「……国が……魔法の血筋が、途絶える……!!」


(;´∀`)「ど、どうすればいいモナ!? やばいモナ!!」
ミセ;゚ -゚)リ「ショボン!! 貴方、何か知らない!?」
(´・ω・`)「……いえ、私は先代からいくらか魔法について教えていただきましたが……」
(´・ω・`)「このような事態が起きるとは……」




92 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:53:03.88 ID:jdsCqAg30
ミセ;゚ -゚)リ「とにかく、血をここで途絶えさせるわけにはいかない」
ミセ;゚ -゚)リ「どんな手を使ってでも、守らなきゃ……王族の血を……!」


〜〜1年後〜〜

ξ*- -)ξZzz...
川*- -)Zzz...


(´・ω・`)「……見る限りでは、健やかに成長なさっていますね、ツン様もクー様も」
ミセ*゚ー゚)リ「そうね……」

ミセ*゚ー゚)リ「モナーが不慮の事故で死んでから……一人での子育ては、大変だったけれど」
ミセ*゚ー゚)リ「執事長さんが手伝ってくれたおかげで、なんとか無事に一年を過ごせたわね」
(´・ω・`)「いえ、私は何も」
ミセ*゚ー゚)リ「感謝はしているわよ、ショボン」

ミセ*゚ー゚)リ「……とりあえず一年、何事もなかったけれど」
ミセ*゚ー゚)リ「王族にとって初めての双子……何が起きるか分からないわ」
ミセ*゚ー゚)リ「これからも細心の注意を払っていかなきゃね」

ミセ*゚ー゚)リ「……せっかく王族の血を存続させる方法を見つけたんだもの」
ミセ*゚ー゚)リ「途中でフイになるようなことがあってはいけないわ」


(´・ω・`)「……本当に……実行するおつもりですか?」
(´・ω・`)「あの計画……失礼千万を承知で申し上げますが……」

(´・ω・`)「……人道に反しているとしか思えません」




93 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 22:55:05.13 ID:jdsCqAg30
ミセ*゚ー゚)リ「あら、随分な口を利くのね? ショボン」
ミセ*゚ー゚)リ「国への恩義は忘れたってわけ?」

(´・ω・`)「……忘れるはずがありません。ただの浮浪者だった自分を救ってくれたのは、王国です」
(´・ω・`)「ただ……やはり、魔力を奪わせるというのは……」

ミセ*゚ー゚)リ「魔法は、魔法名を口に出さなくてもイメージだけで使用することができるわ」
ミセ*゚ー゚)リ「つまり、イメージだけを【ドレイン】にして……」
ミセ*゚ー゚)リ「違う魔法名を唱えさせれば、使用者本人はドレインを使ったなんて分からないのよ」

ミセ*゚ー゚)リ「禁忌魔法の本には【イミテーション】をかけて、文面を細工する」
ミセ*゚ー゚)リ「そのうえに【プロテクション】をかければ、使用者にバレることは絶対にないのよ」
ミセ*゚ー゚)リ「そうすれば罪の意識に苛まれることもなく、魔力を手にすることができる」

ミセ*゚ー゚)リ「これをツンには実行させるわ」
ミセ*゚ー゚)リ「長女であるツンのほうが才覚は上のはず。クーの魔力を、ツンに奪わせる」
ミセ*゚ー゚)リ「そうすれば寿命は延びる。王族の血も途絶えることはないのよ」

(´・ω・`)「しかし……それはツン様に、クー様を殺させるということです」
ミセ*゚ー゚)リ「言葉が悪いわね。元々一つになるはずだった魔力を、一つにするだけじゃない」

ミセ*゚ー゚)リ「魔法が使えるようにならなきゃ、魔力は宿らない。源は生まれたときから存在してるけどね」
ミセ*゚ー゚)リ「だから、クーにも魔法の練習はさせるわ。多少、寿命を消費することになるけれど、それは仕方ない」

ミセ*゚ー゚)リ「あとはクーになるべく魔法を使わせないようにさせて……」
ミセ*゚ー゚)リ「ツンが大きくなって、禁忌魔法を使えるくらいになったら、計画を実行させるわ」

ミセ*゚ー゚)リ「そのときには私の寿命が近いかもしれない。もしかしたらもう、この世にはいないかも」
ミセ*゚ー゚)リ「だから、そのときは貴方に計画の実行をお願いしたいのよ。ショボン」




95 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 23:00:29.04 ID:jdsCqAg30
(´・ω・`)「…………」

ミセ*゚ー゚)リ「浮かない顔ね?」
(´・ω・`)「……ツン様を騙すことなど……私には……」
ミセ*゚ー゚)リ「貴方、この国がどうなってもいいっていうの?」

ミセ*゚ー゚)リ「フィーリィ王国は魔法に頼った仕組みが数多く存在してるわ」
ミセ*゚ー゚)リ「魔法なしじゃ成り立たない国……それは分かっているでしょう?」
(´・ω・`)「分かっていますが、しかし……」

ミセ*゚ー゚)リ「今はまだ決心がつかなくてもいいけれど、いずれは頼むわね」
ミセ*゚ー゚)リ「全ては、フィーリィ王国のために」

(´・ω・`)「…………」


〜〜3年後〜〜

ξ*゚ー゚)ξ「クー! クー! 見て見て! お花の輪っか!」
川 ゚ -゚)「あ、すごい……いいなぁ……どうやって作ったの?」
ξ*゚ー゚)ξ「えっとねー、こうやってこうやって……」

(´・ω・`)(……お二人とも、4歳になられたが……特段の問題はないように見える)
(´・ω・`)(ただやはり、寿命の短さは……)

ξ*゚ー゚)ξ「ショボン!」
(´・ω・`)「! はい、なんでしょうか」
ξ*゚ー゚)ξ「これあげる! 私とクーで作ったの! お花の冠!」




96 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 23:02:42.42 ID:jdsCqAg30
フワッ

ξ*゚ー゚)ξ「似合う似合う!」
川 ゚ -゚)「ショボンさん可愛い……」

(´・ω・`)「……ありがとうございます、ツン様、クー様」

ξ゚ -゚)ξ「なんか……しょぼくれた顔してるね」
ξ゚ -゚)ξ「どうかしたの?」
川 ゚ -゚)「…………」

(´・ω・`)「……いえ、しょぼくれた顔は生まれつきですよ」
(´・ω・`)「何でもありません」

ξ゚ -゚)ξ「ふーん……そうなんだ」
川 ゚ -゚)「体調が悪いようでしたら、あまり無理は」
(´・ω・`)「いえ、そのようなことはありません。お気遣いいただき、ありがとうございます」

(´・ω・`)「暗くなってきました。そろそろ中に戻りましょう」
ξ*゚ー゚)ξ「はーい!」

ξ*゚ー゚)ξ「クー、明日は東のお庭に行こうよ! あっちはおっきな木があるよ!」
川 ゚ -゚)「うん。かくれんぼしよう」
ξ*゚ー゚)ξ「しようしよう! 楽しみだね!」


(´・ω・`)(……姉妹仲は良好だ……)
(´・ω・`)(思わず、悲しくなるほどに……)

(´・ω・`)(……ツン様に、クー様を殺させるなど……やはり、無理だ……)




97 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 23:04:55.52 ID:jdsCqAg30
〜〜12年後〜〜

ミセ;゚ -゚)リ「貴方……まだそんなことを言ってるの……!?」
ミセ;゚ -゚)リ「私の寿命がもうほとんどないことは、見れば分かるでしょう……!?」

ミセ;゚ -゚)リ「貴方が計画を実行させなければ、国は滅びるのよ……!」

(´・ω・`)「……しかし、それでも……私にはできません」
(´・ω・`)「ツン様もクー様も、仲良くご立派に成長されました」
(´・ω・`)「あの二人を、そのような形で引き裂くなど……」

ミセ;゚ -゚)リ「……このままなら、二人とももうすぐ死ぬわ」
ミセ;゚ -゚)リ「二人とも失うくらいなら、いっそどちらかでも……そうは思わないの?」
ミセ;゚ -゚)リ「あの子たちを寵愛してきたショボンなら……」

(´・ω・`)「だからこそですよ、ミセリ様……だからこそ、私にはできないのです」

ミセ;゚ -゚)リ「ショボン……!」


〜〜10日後・城下町の大広場〜〜

ξ゚听)ξ『フィーリィ王国の王女に即位しました、ツン・フィーリィです』
ξ゚听)ξ『既報のとおり、昨夜、ミセリ・フィーリィが息を引き取りました』
ξ゚听)ξ『これからは私が、国民の皆様を支えていく所存です』

ξ゚听)ξ『私はまだ未熟ですから、皆様に支えていただくことも数多くあると思います』
ξ゚听)ξ『それでも、私は……いえ、私とクーは、ともに国を繁栄させていきます』
ξ゚听)ξ『皆様どうか、よろしくお願い致します』




98 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 23:06:59.63 ID:jdsCqAg30
川 ゚ -゚)(……凄いなぁ、お姉ちゃん……)
川 ゚ -゚)(あんなに大勢の人の前で、あんなに堂々と……)

川 ゚ -゚)(……私も頑張らなきゃ)
川 ゚ -゚)(頑張って、お姉ちゃんを支えなきゃ)


〜〜その晩〜〜

(´・ω・`)「ご立派でした、ツン女王陛下」
ξ゚听)ξ「ありがとう。やっぱり緊張しちゃうわね、あれだけの人がいると」

ξ゚听)ξ「でも頑張らなきゃ……これからは私が、何十年も国の中心なんだから……」
(´・ω・`)「…………」

(´・ω・`)(……黙っているべきではないな、やはり……)
(´・ω・`)(全てを……全てを、話してしまうべきだ)

ξ゚听)ξ「……ショボン?」

(´・ω・`)「……ツン女王陛下、どうか、心を静めてお聞きください」
(´・ω・`)「ツン女王陛下とクー様に関する……重大な秘密を」

 ・
 ・
 ・

ξ;゚听)ξ「……寿命が……?」
ξ;゚听)ξ「双子は……半分しか、ない……?」




101 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 23:08:58.20 ID:jdsCqAg30
ξ;゚听)ξ「そんな……! じゃあ、私もクーも……!」


(´・ω・`)「……もう、残された時間は……たった数年です」

ξ;゚听)ξ「ッ……!!」


(´・ω・`)「……申し訳ありません。ずっと、何も話さず……」
(´・ω・`)「私の罪は……決して償いきれるものではありません」

ξ;゚听)ξ「それは違うわ、ショボン……貴方が悪いわけじゃない……」

ξ )ξ「むしろ……私はその、お母様の計画が……」
ξ )ξ「私を騙して、クーを殺させようとした、その計画が許せない……!」

(´・ω・`)「……こういう言い方をしてはなんですが……ミセリ様も、悪気があったわけではありません」
(´・ω・`)「ただ、ミセリ様は……国や血というものに、相当な拘りがありました」
(´・ω・`)「700年以上の歴史を持つ国ですから、それも分かりますが……」

ξ゚听)ξ「……クーの魔力を奪うなんて、絶対にしない」
ξ゚听)ξ「そんなことをするくらいなら、私のほうからクーに分け与えて死ぬわ」
(´・ω・`)「……しかし、そのような魔法はありません。禁忌魔法については、かなり調べたのですが」

ξ゚听)ξ「……一つ、引っかかっていることがあるの」
ξ゚听)ξ「お母様は私に、イメージだけをドレインにして、クーの魔力を奪わせようとしたけれど……」
ξ゚听)ξ「口にする偽りの魔法は、何にする予定だったの?」

(´・ω・`)「それは……【リバース】です」
ξ゚听)ξ「リバース……?」




103 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 23:10:51.15 ID:jdsCqAg30
(´・ω・`)「リバース……転生魔法。対象者を、誰かの胎内へと転生させます」
(´・ω・`)「無論、転生すれば魔力は失われますから……こんな魔法では血筋の存続には繋がりませんが……」


ξ゚听)ξ「……リバース……」

ξ゚听)ξ「つまり……血が途絶えても構わないなら……その魔法で、どちらかは助かるわけよね?」


(´・ω・`)「……ツン女王陛下、何を仰っているのですか?」
(´・ω・`)「まさか……!」

ξ゚听)ξ「私がクーにリバースをかける。そうすればクーは……一度は死ぬけれど、また転生することができる」
(´・ω・`)「おやめください。リバースも禁忌魔法です」
(´・ω・`)「使用すればツン女王陛下の寿命は、ほとんど残りません」

(´・ω・`)「それに、王族の血も途絶えることになります」

ξ゚听)ξ「……ショボン。私はね、構わないと思っているのよ」
(´・ω・`)「え……?」

ξ゚听)ξ「確かにこの国は、魔法の力で繁栄してきた」
ξ゚听)ξ「今や魔法は必須……魔法なしでは生きていけない……」

ξ゚听)ξ「それってつまり……国民の自力は衰えてるってことだわ」

ξ゚听)ξ「”商売が上手くいかなくったって、最後は魔法が助けてくれる”」
ξ゚听)ξ「そういう風なことを考えている国民は、決して少なくないはずよ」
(´・ω・`)「それは……」




104 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 23:13:01.54 ID:jdsCqAg30
ξ゚听)ξ「私たちは双子だった。だから、この歳までは生きることができた」
ξ゚听)ξ「だけど、もし三つ子だったらどうなってたの?」
(´・ω・`)「……!!」
ξ゚听)ξ「禁忌魔法を使えるようになることさえなく、この世を去ってたはずだわ」

ξ゚听)ξ「……私たちが双子として生まれてきたのは、神の思し召しなのかもしれない」
ξ゚听)ξ「いつまでも魔法に頼って生きてたんじゃ、王族に何かあったとき、暮らしていけなくなる」
ξ゚听)ξ「……今がその、”何かあったとき”なのかもしれないのよ」

(´・ω・`)「しかし……クー様がリバースを受け入れるはずはありません」
(´・ω・`)「必ずやクー様は、自分がリバースを使用して、ツン女王陛下を助けると言うはずです」

ξ゚听)ξ「……そうね。クーのほうが、魔法の使用量は少ないから」
ξ゚听)ξ「寿命が長く残っている私のほうが……と言うでしょうね」

ξ゚听)ξ「だけど、あの子に禁忌魔法を使えるだけの技量はないわ」
ξ゚听)ξ「それに……私だって、受け入れられないのよ」

ξ゚听)ξ「クーはとっても優しくて……私の自慢の妹だわ」
ξ゚听)ξ「そのクーを犠牲にして……私だけが助かるだなんて……」
(´・ω・`)「クー様とてきっと同じ気持ちです。それはツン女王陛下の我が侭に過ぎません」
ξ゚听)ξ「それでいいわ。私の、精一杯の我が侭」

ξ゚听)ξ「クーに【リバース】をかける」
ξ゚听)ξ「ショボン……貴方には、辛いことかもしれないけれど……」
ξ゚听)ξ「……協力してほしいの」

(´・ω・`)「……私は……」

ξ゚听)ξ「クーを、騙す必要があるわ……あの子がリバースを受け入れるはずがないという貴方の言葉は、きっと正しいから……」




105 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 23:14:58.29 ID:jdsCqAg30
ξ゚听)ξ「お母様が使おうとしていた計画は、部分的に流用できる……そうよね?」
ξ゚听)ξ「私が【ドレイン】をかけた。そう思わせることができれば、クーは私を恨んだまま転生できるわ」

(´・ω・`)「……確かに、リバースは前世の記憶が残ることがある、とのことですので……」
(´・ω・`)「ツン女王陛下としては……恨まれたままのほうが、よろしいのだとは思います」
ξ゚听)ξ「えぇ……私が命を費やして転生させたなんて記憶、もし残ったらクーはきっと苛むわ」

(´・ω・`)「しかし、まだ課題はあります。【リバース】には発動条件が自動設定されるのです」
(´・ω・`)「それは”満たしにくい条件”……条件を満たす前に、ツン女王陛下の寿命が尽きる可能性があります」
ξ゚听)ξ「……変身の禁忌魔法がある、とは聞いたことがあるわよ、ショボン」
(´・ω・`)「ッ!!」

(´・ω・`)「【メタモルフォシス】……確かに、あの魔法は見た目や性格を変化させます」
ξ゚听)ξ「クーは、昔から何があっても絶対に涙を流さなかった……」
ξ゚听)ξ「だからきっと……条件には『涙を流すこと』が設定されるわ」

ξ゚听)ξ「リバースをかけた後で、メタモルフォシスをかける」
ξ゚听)ξ「そうすれば、発動の条件はかなり満たしやすくなるはずよ」
(´・ω・`)「しかし、それにも障壁はあります」

(´・ω・`)「メタモルフォシスは即時性がある代わりに、リバース以上に魔力を多く消費します」
(´・ω・`)「それに、同時に二つの禁忌魔法など……いかにツン女王陛下といえど困難です」

ξ゚听)ξ「……もう少し、時間が必要だわ。二つ同時に禁忌魔法を使用できるくらいの技術を身につけなきゃ」
ξ゚听)ξ「それに、性格が変わったところで、涙を流すような状況がそう多くあるとは思えない」

ξ゚听)ξ「……もう一人、必要ね」
ξ゚听)ξ「国に関係のない人物を、クーに近づかせて、涙を流させる役割を果たしてもらうわ」




107 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 23:16:55.22 ID:jdsCqAg30
(´・ω・`)「それは……」
ξ゚听)ξ「これから探すわ。【サーチ】」


ポゥッ……


ξ゚听)ξ「検索条件、『屈強』『聡明』『継続的な欲望』」


ブゥン……ブゥン……ブゥン……


ξ゚听)ξ「……いた」
ξ゚听)ξ「ギコ・オンディック……キコリね」

(´・ω・`)「……その検索条件の意味は?」
ξ゚听)ξ「『屈強』と『聡明』は、いざというときクーを守るため」
ξ゚听)ξ「『継続的な欲望』は、それを持ってる人間のほうが頼みを聞いてくれやすいからよ」
ξ゚听)ξ「計画実行のときになっても同じような、継続的な欲望を持ってる人間なら特にね」

ξ゚听)ξ「ギコに話をするのはもうちょっと後ね。とりあえず私は、禁忌魔法の準備にかかるわ」
(´・ω・`)「……ツン女王陛下」
ξ゚听)ξ「もう決めたことよ、ショボン」

(´・ω・`)「……はい……」




109 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 23:18:45.62 ID:jdsCqAg30
〜〜1年後〜〜

(,,゚Д゚)「失礼します、ツン女王陛下」
ξ゚听)ξ「ギコ。悪かったわね、わざわざ城まで」
(,,゚Д゚)「いえ」

(,,゚Д゚)「……いよいよ、明日ですね」
ξ゚听)ξ「えぇ……」

ξ゚听)ξ「明日からの行動、おさらいしておきましょう」
ξ゚听)ξ「まず私がこの部屋にクーを呼んで……魔法をかける」
ξ゚听)ξ「クーは危険を察知して城から逃げ出すはず……逃げる先は、ここから一番近い出口……森への入り口ね」

ξ゚听)ξ「城を出た直後のクーになら、【リサーチ】が効くはず……居場所はすぐに教えるわ」
ξ゚听)ξ「そこを探して、クーを小屋に連れてってもらう」
(,,゚Д゚)「はい」

ξ゚听)ξ「兵士を捜索に向かわせるけど、上手くあしらってね」
ξ゚听)ξ「目的はクーを怖がらせて、涙を流させるため……見つかっちゃダメよ」
ξ゚听)ξ「まぁ、クーは【バニッシュ】で消えるでしょうから、見つかることはないと思うけれど……」

ξ゚听)ξ「小屋はすぐ国に返さなきゃいけないってことにしといて、そのあとは貴方の家に向かってちょうだい」
ξ゚听)ξ「そこにもまた兵士を向けるから」
(,,゚Д゚)「……はい」
ξ゚听)ξ「母君の容体には、なるべく影響ないようにさせるわ」

ξ゚听)ξ「次の日は式典ね……そこでも私は、なるべくクーに涙を流させる努力をするわ」
ξ゚听)ξ「だからできれば、式典には連れ出してほしいところね」
(,,゚Д゚)「そこは恐らく、問題なくクリアできると思います」




113 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 23:29:27.69 ID:jdsCqAg30
ξ゚听)ξ「式典が終わったら、城まで小屋の鍵を返しに来て」
ξ゚听)ξ「そこで書物庫に入って、禁忌魔法の書物を持ち出す」
(,,゚Д゚)「書物庫の鍵は?」
ξ゚听)ξ「開けておくから、問題なく入れると思うわ」

ξ゚听)ξ「禁忌魔法の書物は、107番の棚にある青と黒の背表紙の本よ」
ξ゚听)ξ「持ち出して中身をクーと確認して。【ドレイン】と【メタモルフォシス】を」
(,,゚Д゚)「はい」

ξ゚听)ξ「そのあとはもう、ひたすら涙を……なるべく早めにね」
ξ゚听)ξ「くどいようだけど、兵士には何も話さないから、そこらへんは上手くやってほしいの」
ξ゚听)ξ「こっちでもなるべくフォローはするけど」
(,,゚Д゚)「はい。それに関しては、特に問題はないと思います」

ξ゚听)ξ「以上だけれど……何か質問はある?」
(,,゚Д゚)「質問……」

(,,゚Д゚)「……リバースという魔法は……」
ξ゚听)ξ「私の行為に関することなら、受け付けないわよ」
(,,゚Д゚)「しかし、寿命の短い双子の、方一方だけが犠牲になるというのは……!」

ξ゚听)ξ「……決めたことだわ。覚悟はもう、1年前に終えているの」

(,, Д )「私は……今まで魔法の恩恵を享受してきただけの存在です」
(,, Д )「でも、だからこそ、ツン女王陛下がこのような形で……」
(,, Д )「……その短い生涯を、終えられるなどと……信じたくはありません……」

ξ゚听)ξ「……ありがとう。その言葉だけで、充分だわ」
ξ゚听)ξ「きっと、運命なのよ。これが、この国の」




114 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 23:33:56.46 ID:jdsCqAg30
ξ゚听)ξ「貴方には、私たちがいなくなったあと……国を、自力で立ち上がらせる努力をしてほしいの」
ξ゚听)ξ「私の死を悲しんでくれるのなら……」

(,,゚Д゚)「……誓います。例え魔法がなくとも、フィーリィ王国を末永く繁栄させると」

ξ゚听)ξ「……そうね、きっと……貴方のような人がいれば……」


〜〜その晩〜〜

(´・ω・`)「クー様はただの疲労のようです。明日は政務に復帰しますと」
ξ゚听)ξ「そう。良かったわ、何事もなくて……」

(´・ω・`)「……最後の晩なのですから……見舞いに行かれてもよかったのでは?」
ξ゚听)ξ「ダメよ……計画を実行すると決めてから、クーには冷たく当たってきたもの」
ξ゚听)ξ「あまり仲良くしないように……」

ξ )ξ(そうじゃないと……私のほうが辛いから……)
ξ )ξ(最後の晩にクーの顔を見たりなんてしたら、きっと決心が鈍る……)
ξ )ξ(だから……これでいいの)

(´・ω・`)「……では、私は失礼します」
(´・ω・`)「明日から……どうか、ご健在で」
ξ゚ー゚)ξ「……ふふ。面白いことを言うのね。健在で、だなんて」

(´・ω・`)「矛盾を含んでいるかもしれません。しかし、偽りなき本心です」
ξ゚听)ξ「……貴方にも随分、迷惑をかけたわね」
(´・ω・`)「いえ……私は、ツン女王陛下に仕えられたことを――――」

(´・ω・`)「――――心より、誇りに思っております」




116 名前: ◆wnkFFgCrxW1b :2009/08/25(火) 23:36:43.28 ID:jdsCqAg30
ξ゚听)ξ「ショボン……」

ξ゚听)ξ「……ありがとう」


(´・ω・`)「……失礼します、ツン女王陛下」


ガチャッ
バタン


ξ゚听)ξ(……リバースとメタモルフォシスを使えば……私の命はきっと、あと数日だわ……)
ξ゚听)ξ(だけど不思議と、恐怖はないかな……)

ξ゚听)ξ(クー……ごめんね……)
ξ゚听)ξ(何も言わないまま……きっと、凄く不安になるよね……)
ξ゚听)ξ(私の勝手な我が侭……許してほしいとも、分かってほしいとも言わないけど……)

ξ;凵G)ξ(でもね、ずっとずっと大好きだよ)

ξ;凵G)ξ(転生したら、長生きしてね……私のぶんまで、ずっと……)

ξ;凵G)ξ(幸せになってね……)




ξ;凵G)ξ(バイバイ……クー……)





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